[CSD]2013年8月25日号《ヘッドライン》

[CSD]2013年8月25日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎平和を祈る鐘の音 東京でも——被爆都市長崎の思いを分かち合う

 = 2 面 ニュース=
★8・15集会:国防軍で再び「英霊」つくるのか——平和キャンドル行動に右翼系デモからの罵声
★8・15集会:同盟基督平和祈祷会:天皇元首化は戦前復帰——中山弘正氏(元明治学院長)で改憲に危機感
★8・15集会:「からし種の信仰 城壁崩す」——再軍備憂え 千鳥ヶ淵で平和祈る
★<落ち穂>人の感情に焦点が当てられている時代

 = 3 面 =
★<フクシマの声を聴く>[15]母たちからの声?——「原発は絶対大丈夫」とすり込まれ 記・中尾祐子
★エジプト:政変下で教会に敵意——「モルシ大統領追放はキリスト者の企み」と
★<オピニオン>長崎平和宣言に見る憲法の現実感 記・根田祥一
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4・5 面 韓国特集=
★「背後で働くサタン憎んだ」——東京中央教会・三井康憲さん
★互いに理解し合う努力大切——東京長老教会・朴鐘弼さん
★ヘイトスピーチに心痛め——平和を願う教会へ 福音ルーテル・東京教会
★ホーリークラブ朝餐祈祷会:日本宣教の使命新たに——韓国人宣教師ら「こういう時期だからこそ愛し合い」

 = 6 面 関西だより=
◎「もっと聴きたくなる」——ラジオ関西「聖書と福音」700回記念
★OCCカレッジ 第1回信徒伝道者認定証授与式——教会の柱となる信徒養成
★「聖霊の人として歩もう」——エンパワード21関西総決起大会 記・藤林イザヤ
★笑いと賛美のバラエティShow(9月28日にOCCホールで)

 = 7 面 伝道・牧会を考える=
★罪認め教会を証しする——戦前・戦中・戦後を生きた3人が証言
★<憲法が変わるってホント?>[18]政治か任せは無責任——なぜ放置していられるのか 記・内藤新吾[1]
*教会ルポ<ここも神の御国なれば>?は今週休載です。

 = 8 面 レビュー=
◎Movie:「日本の悲劇」(仲代達矢主演、8月31日公開)http://www.u-picc.com/nippon-no-higeki/
★CD:「小羊イエスよ」小坂 忠(ミクタムレコード、全14曲、2,940円)
★BOOK:『イエス入門』リチャード・ボウカム著(新教出版社、1,995円税込)評・遠藤勝信
★BOOK:『現代人の悩みに効く詩篇』高橋秀典著(いのちのことば社、1,575円税込)評・菅家庄一郎
★BOOK:『祈りを深める』工藤弘雄著(いのちのことば社、2,100円税込)
★BOOK:『聖人たちの祈り』石川康輔、浦田慎二郎訳(ドン・ボスコ社、315円税込)
★BOOK:『キリストの体である教会に仕える』齋藤孝志著(ヨベル、1,050円税込)
★BOOK:『海辺の教会から 東日本大震災記録集』千葉仁胤著(気仙沼聖書バプテスト教会、1,000円税込)
★BOOK:『ユダヤ教史』石田友雄著(山川出版、3,990円税込)


◎平和を祈る鐘の音 東京でも−−被爆都市長崎の思いを分かち合う=1308250101

 広島、長崎の原爆投下、敗戦から今年で68年。東京・板橋区常盤台のバプ連盟・常盤台バプテスト教会(友納靖史牧師)は今年初めて、広島原爆投下時刻の8月6日午前8時15分、長崎原爆投下時刻の9日午前11時2分、玉音放送が流された15日正午から約1分間、平和を祈る鐘を鳴らした。9日には午前10時半から、原爆投下時刻をはさんで「平和祈念会─世界を覚えて共に祈る─」を開催。約80人が集い、平和のために祈りを合わせた。被爆都市の長崎市内にあるバプ連盟・長崎バプテスト教会で13年間牧会し、昨年9月、同教会に赴任してきた友納牧師は、「こんなに早く長崎で大切にしていたことがこちらで生かされるとは、思ってもいませんでした」と驚く。

 平和祈念会ではまず、「主は多くの民の争いを裁き はるか遠くまでも、強い国々を戒められる。彼らは剣を打ち直して鋤とし槍を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず もはや戦うことを学ばない」(ミカ書4・3、新共同訳)が読み上げられ、友納牧師が「私たちすべての人に命を与え生かしてくださった平和の主よ、すべての戦争や争いで犠牲となった多くの方を覚え、私たち人間が愚かな罪を悔い改めて平和を実現することを祈るため、共に集まりました。どうか私たちを愛、喜び、平和に生きる者としてください」と代表祈祷をささげた。
 続いて同教会員でオペラ歌手のあめりせつこ・有銘哲也夫妻による特別賛美があり、「もう被爆は終焉。核兵器を絶対使ってはいけない」と訴える被爆クリスチャン女性の証言を映像で紹介。その後、参加者は10分間黙想による祈りを、11時2分に教会の鐘が鳴ると起立し、みんなで黙祷をささげた。参加者からは「広島、長崎の痛みが身近に感じた。日本が戦争の出来る国にならないように祈りたい」「これからも続けてほしい」といった感想が聞かれた。
 きっかけは、友納牧師が赴任してまもなく、教会にほど近い公園が「板橋平和公園」と呼ばれていることを知ったこと。調べてみると、板橋区は1985年に「板橋区平和都市宣言」を決議しており、平和公園内に「板橋平和の灯」が建てられた86年以降24時間365日、灯がともされ続けていること、板橋区役所前に長崎市と同じ像製作者の平和記念像が建立されていることを知った。「板橋区がこんなに平和とつながりがあることを全然知らなかった。長崎から赴任してきた牧師として、慰められました」
 教会に鐘が付いていることも後で知った。この鐘は24年前、会堂建築の時に信徒から寄贈されたものだったが、近所から「鳴らすとやかましい」とクレームがあり、ほとんど鳴らしてこなかった。だが、東日本大震災1周年の3月11日に鳴らしてみたら、「ありがとうございました」という連絡がたくさん入ったことを、友納牧師は聞いた。それで、「今年の3月11日は鐘を鳴らすだけでなく、震災を覚える祈り会を催したら、近隣の方々も来てくださいました」。
 前任地で友納牧師は、8月9日午前11時2分になると長崎市の町中の鐘が鳴るのを聞き、一緒に祈り合ってきた。その体験から、「震災の日、原爆投下の日などは宗教を超え、みんなが祈りたいという霊的な願いをもつもの。そういう祈りの場を教会は提供すべきではないか」と考えた。そのことを教会員に分かち合ったところ、「ぜひ常盤台バプテスト教会でもやりましょう、ということになっていきました」。
 近所の人々には、教会の季刊紙「めぐみ」の全戸配布や教会員の戸別訪問で鐘を鳴らす趣旨を伝えた。反対どころか「どうぞやってください」という好意的な反応が多かったという。
 「教会には平和を伝える使命がある」と友納牧師。今後も3月11日、8月6日、9日、15日に、また来年からは沖縄を覚える6月23日にも、平和を祈る鐘を鳴らしたいと願っている。 

◎「もっと聴きたくなる」−−ラジオ関西「聖書と福音」700回記念=1308250601

 毎週日曜日午前7時45分~8時、ラジオ関西(558 KHz)で放送中の「聖書と福音」( http://biblegospel.org )の700回記念公開録音イベント「聴くことから始まる新しい人生 ゴスぺルコンサートと聖書メッセージ」(福音プロダクションズ主催)が、8月31日(土)午後1時半から(開場1時)大阪市中央公会堂大ホールで開かれる。同番組は2012年4月からラジオ福島でも放送を開始。東北でも親しみやすくわかりやすい関西弁の聖書メッセージが好評を博している。
 今回の講師を務めるラジオ伝道者の高原剛一郎さん(東住吉キリスト集会)は、2000年4月の番組スタート時からメッセージを担当している。放送開始にあたって「聖書と福音」というそのまんまのタイトルにしたのは「新聞の番組欄はタイトルを略して載せる。新聞に『聖書』という文字を踊らせることができる!」と考えたからだ。これには、新聞を開けて見たら「宗教」と書いてあったというオチがつく。
 06年からiTunesに参加。インターネットで聴けるようになると、リスナーの幅が広がり、3割は海外在住の日本人が占めるようになった。伝道者として、大阪ヘブル研究所研究員として、全国を飛び回る高原さんに強力な助け手が与えられた。現在、尼川匡志氏、那須清志氏、三綿直人氏がメッセンジャーとして加わって、若者にも訴えられるパンチのあるメッセージを繰り出している。
 番組を通して、自殺を思いとどまった人、余命短い友人に番組CDを送って、ついに信仰告白を見届けた人、毎週各教室で番組を流すミッションスクール、治療室に番組を流しながらマッサージをし、幾人もキリストに導いた人、結婚式の引き出物としてもらった番組CDを聴いて教会に導かれた人など、リスナーからの喜びの手紙はスタッフを勇気づけている。
 1時間のメッセージより10分の方が難しいと高原氏。この10分に精魂傾ける。「マイクの向う側に見えないリスナーが渇望していると思うと1回もはずせません。わかりやすく、聖書的に、最後は希望で締めくくる」
 「信仰は聴くことから始まります。未知のものを知るためには、判断材料が多ければ多いほどいい。まったく聖書を知らない日本人に伝えるには、1回より10回、100回と聴いた方がいい。聴いた人の心に神への渇望が植え付けられることを願いながら準備するメッセンジャーは、毎回産みの苦しみに喘いでいます」
 90歳のおじいさんは、両耳にイヤホンを入れて聴き続けて信じた。大事にしていることは「聴きとりやすく話す」こと、「共感を呼ぶ」ことだという。自分の失敗談やつらかった体験も話す。共感からファンが生まれ、信頼につながり心が開く。
 今回の公開録音の音楽ゲストはゴスペルシンガーの向日かおりさんだ。高原さんの出身大学の後輩でもある。
 「このイベントがリスナーと地域の教会・集会と結びつくきっかけになればと願っています。思い切り福音を伝えさせてほしい! あ、参加者にはもれなく番組のマスコット・キャラクター?キーたん?のマーク入りジェットストリームのボールペンを差し上げます」

 入場無料。問い合わせは福音プロダクションズ Tel:6・4301・0875

◎Movie:「日本の悲劇」(仲代達矢主演、8月31日公開)=1308250801

 昨年12月末に刊行されたオランダ人ジャーナリストのカレル・ヴァン・ウォルフレン著『いまだ人間を幸福にしない日本というシステム』。東日本大地震、福島原発事故以後も、官僚独裁で動いている自動操縦システムの論理と実態を看破している。都市部だけにとどまらず地方社会にも浸透する地域コミュニティの崩壊。核家族が行き着いた無縁社会と孤立死。東日本大震災は、死亡・行方不明者は2万人におよび大惨事だったが、2010年の自殺・行方不明者は3万人を超えていた。目標を見いだしにくい閉塞的な社会の中で、この作品は、例年およそ3万人、非業の死に追いやられていく悲惨さ、切なさへの悼みに溢れている。
 この数年、家族の死亡を届けずに公的年金の受給を継続したまま生活する事件が発覚している。そうした出来事を短絡的に年金搾取事件として決めつけず、身近に起こりがちな出来事、これは、私たち家族の物語として捉えていく。
 大工職人として父親の不二男は、1年前に妻の良子を亡くしている。その日は、リストラされうつ状態になって失踪していた息子の義男が家に帰ってきた日だった。義男が失踪したとき、妻・とも子は、離婚届を置いて子どもと一緒に気仙沼の実家へ戻ってしまった。
 不二男は、義男が戻ると間もなく大病が発見され入院。良子の一周忌に一時退院すると、仏間の引き戸をくぎで打ちつけて、だれも入れないようにした。食事も水も摂らずミイラになるのだという。ただ、生存確認のために毎朝一度だけ挨拶の声を掛けろと義男に命じる。そして、職に就いて自立できるまで年金を受け取って食いつないで生きろと。
 自分の死後も年金で息子の自立を待とうとする父親の反骨。その反骨を意を決し受け止める息子。そう決意した緊迫感と切なさに、身がつまる思いになる。だが、暗くはない。弱い立場の民衆の一人ひとりが、静かだが、生への重い叫びを発している。

監督・脚本:小林政広2012年/日本/101分/映倫:G/配給:太秦 2013年8月31日(土)よりユーロスペース、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー。

公式サイト http://www.u-picc.com/nippon-no-higeki/