[CSD]2003年8月10日《ヘッドライン》

[CSD]2003年8月10日《ヘッドライン》
 = 1面 =
★礼拝は投下時間から:長崎バプテスト教会——原爆の痛み守り抜いた聖書
◎宮城北部地震:高齢信徒のため祈りを
★ホームレスの人 みな家族です(関連記事5面)
★各地の8・15集会案内
★<恵みのどんでん返し>待合室で知った病むことへの召しと主の姿 記・矢田 紫野
★<落穂抄>イエスの死と復活テーマに映画化するメル・ギブソン

 = 2 面 =
◎日本聖書福音教団書教会が日本同盟基督教団加入へ——同根の理念生かしたい
★日基教団聖霊刷新協議会全国大会:教団幹事長もエール——伝道路線のため祈る 記・井上 真一
★<論説>痛みを共有する教会——人間の原罪と醜さの視点から 記・杉本 玲子
★<詩>八月十五日 作・中山 直子
★<今週の本棚>『わたしの羊を飼いなさい』ヘンリー・ブラッカビー・、ヘンリー・ブライト共著(ICM出版、1900円) 評・大井 満
★<今週の本棚>『「新遊就館」ものがたり』西川 重則著(いのちのことば社、1000円)
★<今週の本棚>『ケン・ジョセフの世界中どこでも日本緊急救助隊』ケン・ジョセフ著(徳間書店、1700円)
<情報クリップ>催し情報ほか

 = 3 面 =
★「キリスト教への好意促進」調査結果を分析——シンポジウムで変革へ提言
★『日本人に贈る聖書ものがたり』——中川健一氏が出版
☆第20回ペンライト賞募集——締め切り:2004年1月15日

 = 4 面 8・15特集=
★家族全員を一瞬で失い——長崎・被爆体験を語る 山口カズ子さん
★「平和づくりを使命として」——「良心的軍事費拒否」の石谷 行氏追悼集
★靖国か千鳥が淵か 「新追悼施設」か」
★長野ピース・ウォーク:歩いてイラク攻撃に抗議
★若者が若者に伝える平和——有事法制勉強会開く
★「婦人之友」創刊100年——羽仁 もと子の戦争責任とは
★なぜ「らい」を「ツァラアト(に冒された人)」に変えるか

 = 5 面 =
◎ホームレスの人たちをケア——東京中央教会「希望宣教会」発足4か月で500人礼拝に
★「釜ヶ崎」に全国諸教会の支援で新会堂建つ——大阪・西成めぐみ教会
★音楽とダンスの総合芸術「タップの魅力」を演出——ライブを企画する安武 真佐子さん
★<今月の試写室>「チャンピオン」実在したボクサーの生涯描く 評・高梨 大

 = 6 面 ゴスペルのページ最終回=
★<インタビュー>カート・カーさん(ゴスペル・シンガー)——神様は必要な場所を与えてくれる 記・原島 裕之
★人々はゴスペル音楽に何を見いだしたのか 記・原島 裕之
★NEW RELESE:「STACIE ORRICO」ステイシー・オリコ(東芝EMI、定価2090円)
★NEW RELESE:「Based On True Story」(ライフ企画)
★<北嶋和之のゴスペルトーク>OH HAPPY DAY
★<いまさら聞けないゴスペル用語>God
★コンサート・ワークショップ情報


宮城北部地震:高齢信徒のため祈りを=0308100102=

宮城県北部で7月26日震度6を記録した地震で、震源地に近い桃生郡矢本町、志田郡鹿島台町などの教会、信徒宅では、本棚が倒れるなどの被害があり、礼拝出席者が減るなどの影響があった。
 「町の地震計が壊れた」という鹿島台町のバプ同盟・鹿島台キリスト教会(小山勝信牧師)では、「会堂には被害がなかったが書棚が倒れ、本が散乱し、ガラスのテーブルが割れた。また、壁にかけてあった時計が落下して壊れた。停電も2日間続き、断水した」。
 地震があった翌日の礼拝出席者は、通常20数人のところ5人と激減。「屋根瓦が落ちたり、庭に3センチから5センチほどの亀裂が入ったりした会員の家もあり、店を経営する信徒宅では壁が落ちたり、品物が散乱するなどの被害があった。地震で散乱した家具、食器などの整理に追われ、礼拝に出られなかった信徒がほとんどだった」
 「健康的に状態が良くない人もいる。ショックを受けている信徒のため、ぜひ祈ってほしい」と小山氏は述べた。鹿島台キリスト教会では、地域住民の家を丹念に訪問して、災害状況を把握し、手助けと心のケアをしている。
 鹿島台町の隣町で同じく震度6強を体験した南郷町は教会未設置地区だが、同町社会福祉協議会の事務局長は鹿島台キリスト教会役員の松田彰洋氏で、外からのボランティア募集・受け入れと、仮設住宅で生活する避難民の心のケアの働きをしている。松田さんは「今(8月1日現在)も余震が続き、住民は不安におののいているが、県外からのボランティアとの交流により、避難した人たちも落ち着きを取り戻しつつあります」と述べた。
 矢本町の聖協団・宮城聖書教会(田中時雄牧師)は「揺れが来た時は、テレビが空中に浮かぶような感じだった。会堂自体には被害はなかったが、会堂の外に備え付けてあったガスボンベが倒れ、パイプが破裂してガスが漏れていた。瓦屋根の家はみな瓦が落ちていたが、教会の屋根は綱版スレートのため守られた」
 「5月の地震も経験していたので、信徒たちは食料品や水を用意しており、落ち着いて対応していた。これだけの揺れがありながら、死者が出ていないのは、神様の守りがあるからだと思う。しかし、避難後の空き家に盗みが入るなどの状況が続いている。不安が取り除かれるように、ぜひ祈ってほしい」と田中氏は語った。
 遠田郡田尻町の日基教団・田尻教会の久保達之佑牧師は「余震が続いていて信徒に精神的なストレスがたまっている。高齢者のための祈りと支えが必要だ」と語った。

日本聖書福音教団書教会が日本同盟基督教団加入へ−−同根の理念生かしたい=0308100201=

日本聖書福音教団(東頭 戍議長)の北海道と首都圏にある諸教会は、ルーツを同じくする日本同盟基督教団(赤江弘之理事長)に加入することを決め、被包括関係設定に伴う教団規則改正などを経て今秋には具体的な加入手続きに入る。今年5月24日に開いた聖書福音教団の総会において、全員一致で同盟基督教団への加入を決議した。
 両教団はスウェーデン出身の伝道者フレデリック・フランソン(1852~1908)の流れをくむ。共通の宣教理念に立ちつつ、フランソン・スピリットである世界宣教を視野に入れた宣教の活性化へ、協力体制の強化が期待されている。
 日本聖書福音教団は1951年以来、在日スウェーデン福音宣教師団の日本伝道で形成された諸教会により、74年に設立された。北海道に9教会、東京と神奈川に各1教会ができたが、牧師会において「なぜ教団形成が進まないのか」と問題提起があり、97年からこの課題について具体的に話し合ってきた。調査・分析に基づいて論議を重ねた結果、牧師会の創意として「当教団の宣教理念を保持しつつ、宣教理念を共有し得る、世界宣教を視野に入れた宣教団体との合同合併」を考慮し、今後の導きを求める、との結論に達した。
 打開策を模索する中で、信仰のルーツを同じくする日本同盟基督教団との交流が始まり、双方の教団総会に代表者を送り合うなどしてきた。01年11月、静岡県で開催された同盟基督教団の「宣教110周年記念大会」には、聖書福音教団の教職者9人全員が参加し、同盟基督教団への加入を内定。9人の教職は東海地方にある同盟基督教団の教会で説教奉仕と交わりをし、同じ信仰のルーツであることを確認。報告を各教会に持ち帰って検討し合意をとり、02年、03年の教団総会で決議し正式に加入が決まった。今後、各教会が同盟基督教団への加入手続きをとり、同教団の理事会の承認を経て来年3月の同盟基督教団総会で報告することになる。  日本同盟基督教団のルーツは、フランソンが1891年に創立したスカンジナビアン・アライアンス・ミッション(現ゼ・エバンゼリカル・アライアンス・ミッション=TEAM)の宣教によるものであり、全国に18ブロック200教会余りを擁するが、北海道には1教会がある。
 同盟基督教団加入の意義について、聖書福音教団の総会では「『主にある自信と誇り』が与えられ、同盟基督教団から多くのことを学べるようになるでしょう。霊的・神学的には、包括関係設定により『拡大された教団』としての仲間意識を深め、信仰共同体の仲間たちが法的にも多く存在していることの自覚をもつことによって、福音宣教と交わりのわざを、力強く前進させていけるようになるでしょう。また、不動産等の管理に関しても、従来のメンバーだけでは支えることのできなかった多くのものをも、新しい仲間たちと共有しながら、福音宣教の拡大のために用いていくことができます」と期待が表明された。

ホームレスの人たちをケア−−東京中央教会「希望宣教会」発足4か月で500人礼拝に=030810050

ホームレスの人たちをケアし、彼らに宣教することを目的に今年の4月第1週目からスタートした東京中央教会「希望宣教会」(李康憲主任牧師)=東京・新宿区大久保2ノ18ノ8=が、驚くほどの展開を見せている。開始当初、ホームレスの人たちの礼拝出席者は10人ほどだったが、7月27日にはその数が500人にも上った。21日、同教会で開かれた「希望宣教会フェスティバル」での洗礼式には、42人のホームレスの人たちが受洗。「希望宣教会」を始めた三井百合花牧師(李牧師夫人)は「最初に来た時には、彼らの目が不安定できつかった人もたくさんいましたが、毎週礼拝にくるたびに目が優しくなり、喜びに変わっていきました」と語った。
     ◇
 「『希望宣教会の皆さんは家族だから』と言われた時はジーンときた」。現在、東京中央教会で寝泊まりしながら、食堂の拡張工事をしているホームレス生活者の1人に聞いた教会の感想だ。同じく教会の「聖殿」舞台拡張工事に参加したホームレス生活者の扇山さんと小坂さんは、「一番最初に来た時、教会の人たちがすごく優しかったのを覚えている」と語る。その多くが、自分を大事な存在として接してくれたことに感激していた。
 きっかけは今年3月に5、6人のホームレス生活者が昼食を目的に礼拝に来たことが始まりだった。同教会では、礼拝が終わると誰でも食事ができる。そのうわさを聞いて、やってきたという。ところが、何人かはあまりににおいが強く、礼拝堂に入ると信徒が我慢しなければならなかった。昼食をビニール袋に入れて持って帰る人や、食事をもらいに並ぶ時に荷物を両手に持ち、ほかの人の邪魔になる人もいた。注意すると、口論になった。
 3月の役員会議では「李先生、来週から彼らを立ち入り禁止にしてください」との意見が出た。李牧師と百合花牧師は、思案していた。その瞬間、「あなたもこの人たちを追い出したいのか、というイエスの御声を聞いた」と百合花牧師は言う。「あなたたちは先に福音を聞いているから祝福されているが、彼らは福音を聞いていないから恵まれないままだ。その人たちにあなたがまず食べさせ、福音を伝えてあげなさい」。百合花牧師は「来週から、私がこの人たちをケアします。彼らが御言葉により成長するよう祈ってください」と提案した。
 翌週、11時から始まる日本人礼拝の時に、彼らを空いている3階に案内した。大事なお客様として迎えることも心がけた。親切で明るい奉仕者を選び、一緒に彼らをもてなした。
 礼拝後、一般信徒が全員食べ終わってから昼食。その間、一時間ほど彼らと聖書の勉強をし、賛美を教えたりした。新しく来た人や伝道してきた人には、きれいに包装した石けんや歯磨きセット、靴下などをプレゼント。その日のメッセージや御言葉を覚えた人には聖書プレゼントの特典も。何より「家庭的雰囲気作りを心がけた」。すると10人、20人、40人、100人と週ごとに礼拝出席者が急増。何か月も続けて来る人たちは、「顔の表情も服装も明るくきれいに変わっていった」。
 百合花牧師は、この群れを「希望宣教会」と命名。7月21日には希望宣教会のフェスティバルと洗礼式を計画した。その時、ホームレスの人たち12人が「聖殿」舞台工事を担当。「信徒たちは彼らの働きに驚き、拍手を贈りました。フェスティバルも主の導きによって感動的に終えることができ、主に感謝しています」と百合花牧師は語る。
 百合花牧師は「日本に来る19年前、神様が『数え切れない信徒を教会に送ってあげる』と約束を私にくださいましたが、今、こういう形で実現しています。ホームレスの人たちはみな心が純粋で、神様が愛しておられる神の民です」と述べた。