[CSD]2004年12月12・19日《ヘッドライン》

[CSD]2004年12月12・19日《ヘッドライン》
 = 1面 =
●クリスマスから始まる1年、明るい降誕で明るい一年に——滋賀県:(社福)止揚学園  = 2 面 ニュース=
●ルーテル学院大学記念シンポ——子育ては社会的縁の中で
★教文館社長中村義治氏逝く
★<教界ニュース>三浦綾子原作『氷点』が韓国でドラマ化ほか
★アラファトの死は重大な損失、とキリスト教指導者
★北京の「家の教会」指導者に重刑も
★ニューヨークのコンロン牧師がエイズを罪に結び付け紛議
★<落ち穂>今年の流行語大賞——キリスト教界は  = 3 面 宣教リポート=
★<宣教まっただ中>イタリア発[1]韓国人牧師に呼びかけられ 記・内村 伸之
★WEAがミカ・キャンペーン——世界の貧困半減目指す  = 4 面 牧会=
★キリスト者と人間関係「より良く聴く2つの前提」——聖学院大学シンポジウム[5・最終回]
★<牧師のつぼ>[3]風邪かなっと思ったら貼るカイロ 記・藤川 直孝
★<オピニオン>教会は「心の病を抱えた友」の居場所に 記・榎本 恵
★<恵みのどんでん返し>事故死青年が残した会堂建築 記・鴇田 典子  = 5 面 環境特集=
★地球環境との共生——アメリカ:デザイン家具メーカー、ハーマン・ミラー社のサスティナブル・ビジネス(CSR)(http://www.sustainable-busforum.jp/  = 6 面 環境特集=
★環境ビジネスで下町を再生——代替燃料開発 染谷 武男さん:(有)染谷商店会長
★廃食油を一坪森へ交換——染谷 ゆきさん:(株)ユーズ代表取締役  = 7 面 環境特集=
◎古本が森を再生——福島県:たもかく株式会社  = 8・9 面 クリスマス—人間ドキュメント=
◎人生を光と影で映す祈りの芸術——聖書の世界にかける影絵画家・藤代清治さんを訪ねて  = 10 面 神学・社会=
★<この国の精神風土と福音宣教>[13]宗教上の習慣に逆らえない境遇 記・池尻 良一
★米国:新たな超教派運動クリスチャン・チャーチズ・トゥゲザーUSA——福音派・正教会・米カトリックも参加
★<今月の神学書評>『信仰と倫理——十戒の現代的意味』大木英夫著(教文館、1995円)評・東方 敬信  = 11 面 関西だより=
★生のゴスペルを小学校で——大阪:桃陽小学校PTA成人教育委員会と桃谷キリスト教会
★<伝道は楽しいぞ>[7]アーメンと言えば救われる 記・榮 義之
★かんさい通信:大阪ブルーノートでゴスペル・ジョイント・コンサート開催  = 12 面 今週の動き=
★<今日は何の日>12月19日—25日
★<日めくり元気の素>名著・聖書日課から一言メッセージ  = 13 面 今週の動き=
★<今日は何の日>12月12日—18日
★<日めくり元気の素>名著・聖書日課から一言メッセージ  = 14 面 教会=
★<ちゃちゃチャーチ>ヨーロピアン調のカフェでコンサート——ルーテル同胞・柏グローリーチャペル
★<もりべえのへぇ~>みかん飾りの十字架?——1873年、日本でキリスト教解禁  = 15 面 教会生活=
★5人の演奏がCDに:『きみは愛されるた生まれた all for you』(日韓楽譜付き、1200円税込)
★<林檎の風にのせて>[12]もしも私が宿屋の主人だったら・・・ 記・正村 八重子  = 16 面 ひと=
★スチュアート・シンクさん(プロゴルファー)——大観衆の前でプレー、勝利することが私の証  = 17面 第2部:クリスマスメッセージ=
★あなたなおことばどおりに——記・北嶋 和之(MB・総持寺キリスト教会牧師)  = 18 面 クリスマス・スペシャル=
★町中に登場したサンタがトラクト配り——横浜市:インパクト・ジャパン(南部バプテスト連盟派遣宣教師チーム)(http://www.harvestimpact.org/
★クリスマスプレゼント当選者発表  = 19 面 クリスマス・スペシャル=
★流木で作るリース、テーマはいのち——小林 秀臣牧師(同盟福音・名古屋金山キリスト教会)  = 20・21 面 読書特集=
★『教会からクリスチャンホームの子がいなくなる』J・マクドウェル&B・ホステトラー共著著(いのちのことば社、1575円)評・杉本 玲子
★『他人は変えられないけど、自分は変われる!』丸屋 真也著(リヨン社、1260円)評・守部 喜雅
★『とっておきのさんびか物語』B・ヴォルゲマス&J・エレクソン・タダ共著(フォレストブックス、1260円)評・黒川 雄三
★『愛されるために生まれたのにね。』内越 言平著(アイシーメディックス、1470円)
★『聖書が教える親の道』ダン・ギルクライスト著、辻 潤訳(ホームスクーリング・ビジョン、1680円)
★『クリスマス詩集—この聖き夜に』森田 進編(日本キリスト教団出版局、1890円)
★『いちばんうれしいおくりもの』マックス・ルケード作、セルジオ・マルティネス絵、松波 史子訳(フォレストブックス、1680円)  = 22・23 面 デボーション特集=
★毎日神様に出会っていますか?——小牧者訓練会事務局:崔 浩皙
★<デボーションブック>『ディリーブレッド』(RBCミニストリーズ、無料)
★<デボーションブック>『マルティン・ルター 日々のみことば』(いのちのことば社、2940円)
★心の奥まった部屋で——藤井 有香(立川福音自由教会)
★通読・朗読・暗唱、無理なく楽しく——古川 修二(城陽ナザレン教会)  = 24・25 面 全面広告=
☆聖学院100周年記念として大学に新チャペル:「光へ向かう沈黙」がテーマ  = 26・27 面 特集・創造論=
★6日間創造説——現代科学の発見は聖書から 記・宇佐神 実
★長期間創造説——自然界に示される古い地球の記録 記・ティモシー・ボイル
★有神論的進化説——「進化」というプロセス 記・大谷 順彦
★神の愛される被造物 記・西 満  = 28・29 面 ビジネスパーソン=
★米・日本人社会に福音を伝える——矢口 太郎さん[上](大森・矢口国際特許事務所 弁理士)
★<ミッションと起業>石川 武美[上](株)主婦の友社創業者 記・村松 邦彦
★民事再生の適用を受けたことも感謝——才門 正男さん(飯綱リゾート開発株式会社 代表取締役社長)  = 30 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報ほか
★SHOP:キッズギャラリー・トムテ——ヨーロッパのおもちゃ・絵本専門店(Tel.0574-64-3623)
★BOOK:『とこしえに真実なお方』キャロル・シンバラ&アン・スパングラー共著(新生宣教団、2400円)
★CD:「JOY!」Meg&Piano KOJI with New Vision(ライフ・ミュージック、2940円)  = 31 面 教会学校=
★<いまどき子ども事情>親責めるより祈り見守る——西大寺キリスト教会・西村 敬憲
★<CS分級>イエスさまが主役 記・安田 香代子  = 32 面 回顧と展望=
◎自衛隊イラク派遣下、草の根の支援ほか

古本が森を再生−−福島県:たもかく株式会社0412190701

 株式会社ユーズで発行される「ユーズマネー」は、167ユーズで福島県の山奥、新潟県との県境にある南会津郡只見町の一坪の森と交換できる。
 その森を管理しているのが「たもかく株式会社」(吉津耕一社長)だ。同社はもともと、只見木材加工協同組合という地元共同組合が母体となっている。同組合は林野庁の林業構造改革事業がきっかけで地元の製材業4社で設立した。
 「たもかく」社長の吉津さんは81年に同組合に就職。当時、就業者の高齢化が進むなど只見の林業は完全に行き詰まっていた。
 「食料と木材の生産拠点という旧来型林業では経済的になりたたない。今の時代にふさわしいかたちに変えたい」。そう思った吉津さんは「都会の人たちが来たくなるような空間としての田舎」をコンセプトに、都会の人たちとの様々なイベント、ユニークなビジネスを展開した。
 しかし、協同組合では地域やできる事業に制約があるため、88年に株式会社を設立し社長に就任した。
 「たもかく」が注目されたのは94年に古本と森を交換する事業を始めてからだ。同事業は古本と山林を交換したい人が同社に本を送る。買い取りは定価の1割。千670円分になると一坪の山林がもらえるという仕組みだ。交換証書も発行され登記もできる。各マスコミにも取り上げられた。
 2000年からは株式会社ユーズと提携。ユーズに集まる家庭用の廃油が一坪の山林と交換されることになった。古本だけでなく廃油がリサイクルされ、森の管理費となる仕組みで、森の再生に役立っている。
 現在、「たもかく」には年間平均35万冊が送られてくる。在庫は180万冊を超えるという。1坪地主も3万人を超えた。
 「地主の人たちは実際に見に来る人も来ない人もいます。でもみんないつかは来たいと思っているのではないでしょうか」と吉津さんは語る。
 また、同社は1株20万円の公募増資を重ねてきた。現在の資本金は2億8千万円。株主は現在560人だ。都会の人たちが3分の2以上を占める。株主になれば35万坪の森に自由に出入りできる特典がつく。森にはナラ、クリ、サクラ、ブナなどの木が茂り、山菜やキノコ狩りもできる。最近では退職金の一部で株を購入する人や、親が子どもの生まれた記念に購入した「赤ちゃん地主」も誕生した。
 吉津さんは人口5千700人の只見町を「本のテーマパーク」にしたいと考えている。漫画図書館が再来年オープンするのもそのコンセプトの1つだ。
 「これからも都会の人たちが集まるしかけをつくっていきたい。と同時に長いスパンで結果を見ることができる田舎は都会ではできないビジネスができると思います。リタイアした人やハンディキャップをもった人たちが仕事できる社会貢献ビジネスをできれば良いと思います」。吉津さんの町おこしにかける思いは熱い。
 たもかく株式会社 本の店
〒968-0421福島県南会津郡只見町大字楢戸字椿61、TEL:0241・82・2944、FAX:0241・82・2944 只見伝道所  実はこの只見町にあった日基教団・只見伝道所が数年前から無人となり、同教団東北教区会津地区は土地、建物の買い手を求めていた。同教団会津地区としては伝道所は存続させるが、土地、建物の売却はやむをえないという苦渋の決断をし、できるならば建物をそのまま保存して残せるよう手を尽くしていた。そこで一役買ったのが、「たもかく」の吉津さんだった。高校時代にYMCAや日基教団・若松栄町教会に通ったことがあった吉津さんは、ぜひ歴史ある木造建築の建物を保存して後世に残したいと考えた。
 「この教会は地域の保育所でした。ここから巣立った同年代の仲間もかなりおり、地域の人々にとっては思い出の詰まった場所です。特別な時代の雰囲気を醸し出す空間なんです」
 只見伝道所の歴史は1910年までさかのぼる。会津若松のクリストファ・ノックス宣教師によって同地域の伝道が開始。戦後はA・H・クレーア宣教師が後継者として赴任、ラクーア音楽伝道の伝道センターとして同伝道所が発足した。土地取得、建物の建設には賀川豊彦がかかわった。当初は奥只見電源開発の田子倉ダム建設工事によって町の人口が爆発的に増え、同伝道所に併設された保育所には多くの子どもたちが集まった。クリスマスには300人を超す集会もあったという。しかし、ダム完成とともに人口が流出。受洗した若者たちも都会へ出ていった。
 2004年10月に吉津さんの仲介により、ある夫妻が定年退職後の住まいとして購入。建物の一部を前記の漫画図書館として使用することが決まった。オープンは再来年。現在、外観を保存しながらの内装のリフォーム工事が進んでいる。
 これを受け、同教団会津地区は、40年あまりの伝道の足跡を残すために只見伝道所祈念碑を設置。除幕式を11月6日に行った。
 

人生を光と影で映す祈りの芸術−−聖書の世界にかける影絵画家・藤代清治さんを訪ねて0412190801

 光と影の世界を通して生きる
 喜びと愛と平和を呼べれば…  古今東西、クリスマスを題材にした芸術作品は数多くあるが、今年は世界的影絵作家・藤城清治さんの作品の一つ「イエスの誕生」(『藤城清治影絵聖書画集』収録、いのちのことば社フォレストブックス刊)を紹介しよう。本来、影絵は、原画に光を投射して初めてその魅力が百パーセント表れるもの。だが、印刷であっても、なんと美しい世界なのだろうか。その魅力の秘密を知りたいと、今年、80歳を迎えた藤城さんを東京のアトリエに訪ねた。  翌日には、展覧会が開かれるニューヨークに発つという10月5日の夕方、ハードスケジュールの合間をぬって、インタビューは行われた。
 失礼ながら、一線を引退されても不思議でない年齢である。ところが、光と影の芸術にかけるその情熱はまるで青年のように、今も衰えることを知らない。
 その秘訣をうかがうと、「学生サークルの気分で、やっているからでしょうか。アマチュア的喜びがいつまでもあるんですね」と言う。もともと、大学では経済学部で学んでいたのが、趣味が高じて、影絵の世界をライフワークにされるようになったというだけに気負いがない。  影絵との出会い  「光と影は、人間の生き様というか、ほんとうに人生そのものだと思いますね。影絵の世界は、人々の心に安らぎをあたえてくれる祈りの芸術と言えるかも知れません」。そう語る藤城さんが、聖書という壮大なテーマに本格的に取り組んだのは、今から、23年前、影絵画集『イエス』を出版したころからだそうだ。もっとも、慶応義塾大学の学生だった22歳の時、人形劇研究家の小澤愛圀を通してアジアの影絵芝居と出会い、当時、田園調布にあったキリスト教会の日曜学校で学生たちと影絵劇を始めたことが、この道に入るきっかけだったこともあり、聖書の世界は藤城さんの身近にあった。
 「実は、大学の経済学部を出たのに、息子が影絵の世界に進むことに父は大反対でした。ところが、牧師をしていた叔父が、私が影絵の世界に進むことに賛成してくれ励ましてくれたのです。その叔父の依頼で聖書の話も影絵にしたことはありました」。ただそのころ、熱を入れたのはアンデルセンの世界などで、聖書の世界を題材にしても、物語の説明としての表現にとどまっていたという。  メルヘンから聖書に  メルヘンの世界を描く作家として知られた藤城さんが本格的に、聖書の世界にライフワークとして取り組むようになったのは、1981年に、影絵画集『イエス』を出版したころからであるという。「たとえば、イエスが弟子の足を洗われた、という場面があります。それが、ただの物語の説明で終わってはならないと思うようになりました。もっと、その奥にある聖書の深みを表したかったのです」。その深みとは何か。インタビューの中で、藤城さんが言った「生きていく上で一番大切なのは愛です」という言葉にその深さの秘訣があるように思えた。
 アッシジの聖フランチェスコの生涯にひかれ、いつか作品にしたいという動機も、その愛の姿ゆえかも知れない。「自分のすべてをイエスにかけているその姿に感動します」。そして、神を愛し、人を愛し、自然までも愛するその人生に本当の生きる喜びを感じるという。
影絵で広がる旧約聖書の世界
 「聖書の世界を影絵の作品に仕上げることは、私にとって、すべてをかけてやりたい仕事なのです」。そう語る
藤城さんだが、イエス・キリストの生涯に続いて、ライフワークとして取り組んでいるのが、旧約聖書の世界である。すでに、天地創造、バベルの塔、ノアの箱舟は作品として完成、出版されたが、今、準備しているのが、「十戒」を光と影の世界で表現すること。その完成までには、まだまだ時間がかかるという。
 また、藤城さんがぜひ実現したいと思っていることの一つは、世界中のキリスト教会を訪れ、光と影の芸術のルーツともいえるステンドグラスを鑑賞すること。それは、若き日に出会った影絵の世界をさらに深めたいと日夜、励んでいる芸術家の夢でもある。  人々の心の中に愛を  美術評論家の瀬木慎一は、藤城さんの芸術の世界を評して「今日の人間にとって、ますます切実である愛という究極的なテーマへのその全身的な芸術的献身には、稀有な感動を覚えずにはいられない」と記している。(04年「藤城清治の世界展」パンフレットより)。
 藤城さん自身も語る。「光と影の世界を通して、人々の心の中に生きる喜びと愛と平和を呼ぶことができれば、こんなにうれしいことはない」
 

自衛隊イラク派遣下、草の根の支援ほか0412193201

 2004年は、国論を二分した自衛隊のイラク派遣が現実になる中で明けた。その是非についてはキリスト教界でも議論が分かれたが、陸上自衛隊旭川駐屯地前では派遣を前に市内のプロテスタント諸教会が平和を祈った(1/18=掲載号、以下同)。良心的軍事費拒否の会、日本友和会など反戦キリスト者らは衆参両院の全野党議員に「武装自衛隊の派兵についての審議を十二分に尽くして」と要請(1/25)、市民運動と連携して自衛隊派遣は違憲と提訴した(8/15)。自衛隊官舎に派遣反対のビラを配った市民運動家らが逮捕された事件は、言論の自由が圧迫される「戦時」の異常さを示した(5/23)。
 イラクでは少数キリスト者への迫害が強まり、教会爆破事件が相次いだ(1/25、4/7、11/7)。シーア派からイスラム教への改宗を迫る動きもあり、キリスト教徒の国外脱出に拍車がかかった(2/1)。
 こうした中で、キリスト者は困窮するイラクへの支援を続けた。イラク戦争前から現地で活動してきた日本緊急援助隊のケン・ジョセフさんは、イラクのキリスト者の窮状を伝え、信仰の自由が守られるよう祈りを要請、サマワでは自衛隊駐留でかえって反米武装勢力の反感を買い、治安が悪化したとの情報も伝えた(3/28、4/4)。「人間の盾」となった木村公一牧師は、イラクの民衆に抗がん剤を届けるなど支援を続け、明治学院の中高生もこれに協力した(7/11、8/1)。イラクでは米軍のファルージャ攻撃に伴い、撤退を要求する武装勢力による外国人誘拐が相次いだ。日本人も対象にされクリスチャンホームの香田証生さんが殺害された(11/21)。  祈りで動かせ北朝鮮
 拉致問題・人権回復  北朝鮮への日本人拉致問題で、横田めぐみさんの母・早紀江さんを囲む祈り会は都内で、政府間交渉などのために祈ってきたが、全国に祈りの輪が広がった(2/1、3/7)。5月に小泉首相が2度目の訪朝、11月には3回目の日朝実務者協議が開かれ、政府関係者が「横田めぐみさんの遺骨」と写真などを持ち帰ったが、写真は合成、遺骨は偽物と判明した。祈り会は11月20日、都内の教会で横田さんを励ます集会を開き、早紀江さんは「どんな情報があっても神様を信じ、歩んでいく」と語った(12/5)。
 世界福音同盟(WEA)は、北朝鮮の指導者の心が変わり人権が回復するようにと祈りを要請。4月にアジア福音同盟(EFA)が韓国で開催したアジア教会会議でも、北朝鮮の人々の救いのために祈った。日韓の教会は脱北者の支援で協力している(5/30)。
 国際紛争が泥沼化する中で、第2次大戦中にインドネシアで日本軍の捕虜となり、過酷な生活を強いられ父親を収容所で失ったオランダのアニー・ハウツワールトさんが、キリストにある赦しのメッセージを携えて来日したことは、大きな衝撃を与えた。橋渡しをしたオランダ在住日本人クリスチャンらの存在は、和解の働きに在外信徒の役割が大きいことを示した(6/27、8/8)。
 4月にマレーシアでEFAなどが開いた「アジア最前線での戦い」会議、10月にタイでローザンヌ委員会などが開いた「2004フォーラム」は、国際紛争ばかりでなくエイズ、児童虐待、人身売買、搾取など現実世界の危機に福音信仰がどう対処するかを討議、福音派の関心領域の広がりを見せた(4/4、10/31)。またアジア教会会議では教会の霊的刷新と成長を取り上げ、青年指導者協議会ではアジア各国の青年が置かれている状況を分かち合い、その必要に応える教会の課題を探った(5/30)。日本福音同盟は昨年の世界宣教青年会議をふまえ青年委員会を設置した(6/13)。
 ハリウッド映画がキリストの受難を正面から描いた「パッション」は全米をはじめイスラム圏を含む世界中で空前のヒットとなり、日本でも観客動員数100万人を超えた。俳優のメル・ギブソンがキリスト者としての信仰をかけた(4/11ほか)。  愛国心強要で教師大量処分
 神道癒着の精神文化論横行  靖国神社法案が国会に提出されて35年、「政教分離の侵害を監視する全国会議」(政教分離の会)結成30年の今年、小泉首相は内外の批判をよそに元旦に靖国神社を参拝した。自衛隊の海外派兵が現実となり、6月には有事7法が成立。その「有事体制」下で、政教分離の会事務局長、靖国神社国営化反対福音主義キリスト者の集い代表の西川重則氏は、町内会や行政が今も神道癒着の体質を変えていない実情を指摘、イラク特措法にとどまらず自衛隊の海外派兵がいつでもできる恒久法案が準備されていることなどに警鐘を鳴らした(5/30、7/18)。
 首相の靖国参拝に対しては各地でキリスト者・市民らが違憲訴訟を起こしていたが、福岡地裁は4月7日、参拝に違憲性の判断を示す判決を言い渡した(4/25)。しかし一方で、天皇の即位の礼・大嘗祭に対する違憲訴訟では、東京が4月(高裁)、神奈川が6月(最高裁)、いずれも棄却(5/9、8/1)。東京高裁判決は即位の礼・大嘗祭の儀式が神道と密接な関係にある宗教性を認めつつ、「わが国の歴史の中で連綿と維持されてきた天皇制の伝統の重みは…我が国の精神文化の中に脈々と生き続けて」いるとし、戦前戦後の天皇制を一貫したものと見て容認した。司法が法の解釈を超えて精神文化論に踏み込んだ異例の判決であり、神道をわが国固有の文化とみなす危険な一線を越えた。
 一方、教育現場では、愛国心の強要が、ついに東京都で露骨に牙をむいた。03年10月に都教育長は全都立校に対し、入学式・卒業式等での国旗掲揚、国歌斉唱を詳細に規定した通達を出したが、今年の卒業式・入学式では都教委職員がその実施状況を監視し、通達に反した教職員約250人を処分、セクハラ教師並の「再発防止研修」を強要した。国立市や日野市で日の丸・君が代に関連して処分を受けた音楽専科教諭も含め、この問題は裁判闘争の段階を迎えた(2~8月)。この異常事態に、世界福音同盟信教の自由委員会も日本政府に対し人権侵害を警告した(7/4)。民主党は「創憲」案中間報告で一神教を批判。同党の土肥隆一議員の抗議で取り下げた(7~9月)。