[CSD]2006年2月12日号ヘッドライン

[CSD]2006年2月12日《ヘッドライン》
 = 1面 =
★今の世で欠けている「無償の愛」を伝えたい——映画「ナルニア国物語」公開間近

 = 2 面 ニュース=
◎多面的に「今、聖書を問う」——5月に国際聖書フォーラム開催(日本聖書協会主催)
★日本福音同盟:再編20周年を機に記念誌『21世紀のパラダイムを求めて』発行
★福音点字情報センター:「新改訳聖書第3版」完成——デジタル化で短期印刷
★<教界ニュース>B・グラハム氏、20条の会
★<落ち穂>石田勝子宣教師の祈り

 = 3 面 ニュース・ルポ=
★真の復興は心の内側に——第11回阪神淡路大震災メモリアル集会
★震災の起こった時間に合わせて黙祷——聖公会・神戸聖ヨハネ教会
★<青年の今、これから>[2]福音を必要とされている地へ
☆祈りのガイド——教会のために祈ろう

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★ビジネスマンとしての召しを受けて——西川 芳彦さん[中]([株]ブイエスシー代表取締役)
★<クリスチャン自己表現方>[7]落ち込んだ自分のリフレイミング 記・佐藤 綾子

 = 5 面 牧会=
★<スピリチュアリティと心の援助>[11]危機こそ「神の息」の働く場——詩人・水野源三の生涯から 講演・平山 正実
★<オピニオン>負け組みとともに笑える共生の社会 記・趙 南洙
★<恵みのどんでん返し>自分だけでよいだろうか 記・喜友名 朝英

 = 6・7 面 テレホン伝道・カウンセリング特集=
◎借金は8割が心の問題——多重債務者に心の援助 西田 育生さん
★多重債務を処理する4つの方法
★テレホン・メッセージで北海道から沖縄まで——35年間絶え間なく福音伝えて 栄 義之さん

 = 8・9 面 教会教育特集=
◎魂導ける弟子が目標——横浜オンヌリ・キリスト教会
★個々に会ったテキストを——楠葉キリスト教会
★子どもたちもイエス様の弟子として——四街道キリスト教会
★<書籍紹介>『聖書が教えている家庭生活・社会生活』日本同盟基督教団教会教育部編(同刊、1000円=本体価格)
★<書籍紹介>『開け!子どもに伝える口』イムマヌエル綜合伝道団教会学校部編(同刊、800円=本体価格)
★<書籍紹介>「聖書かみしばい」CS成長センター(同刊、旧約セット:6090円、新約セット:6510円=共に税込)

 = 10 面 世界=
★<宣教まっただ中>ブラジル発[1]日本の宗教盛んな町で 記・佐藤 浩之
★カッティング・エッジ・リポート[10]何人に水を飲ませたか——偉大な先駆者から学ぶ必要性 記・内田 みずえ
☆祈りのガイド:栃木県・群馬県・世界

 = 11 面 教会学校=
★<教会学校教師のひろば>子どもに礼拝堂を開放——日基教団・荒川教会:水曜こどもひろば
★<CS分級>心も温まる工作——たまごキャンドル 記・石橋 えり子

 = 12 面 神学・社会=
★<講演>「霊性」——福音主義神学会第12回全国研究会議報告[4] 記・牧田 吉和
★<書評>『地の基震い動く時』岩井 健作著(コイノニア社、1890円)評・赤川 祥夫

 = 13 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報、放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『言わなかったことば』饒平名 尚子著(フェリス女学院大学、735円)
★MOVIE:「ジャーヘッド」(UPI配給)2月11日から日劇1ほかで公開

 = 14 面 教会=
★<ちゃちゃチャーチ>高齢者とのふれあい、奉仕活動——アッセンブリー・千葉福音キリスト教会
★<もりべえのへぇ~>新島襄、密航乗船の碑? 記・守部 喜雅

 = 15 面 家庭・あかし=
★「信仰の祈りの痕跡」を表現——高島有紗さんの東京藝大大学院修了作品展
★横田めぐみの「アブダクション=拉致」をドキュメンタリー映画に——米国スラムダンス映画祭「観客賞」受賞
★<暮らしの中の信仰>欲の罠からの解放を 記・東後 勝明

 = 16 面 ひと=
★柳沢 正史さん(テキサス大学教授)——人間には神の「奇跡」の解明が許されている



多面的に「今、聖書を問う」−−5月に国際聖書フォーラム開催(日本聖書協会主催)=0602120201

 財団法人日本聖書協会(渡部信総主事)は国内外の著名な聖書研究家を講師に招き、「聖書を歴史、翻訳、写本、解釈などの多様な視座から捉え直すこと」を目的に大規模なイベント「国際聖書フォーラム2006」を5月2日から5日まで、東京・港区のホテル・ニューオータニで開催する。テーマは「今、聖書を問う―原点から現代翻訳へ」。  同イベントは、
1.国際的な視野で聖書を学問的に問い直す、
2.日本語聖書翻訳の歴史を漢字文化圏を視野に入れ理解する、
3.日本の教会の中で聖書を神の言葉として真摯に受け止める人々の生の声を聞く、を柱に行われる。国外講師が9人、国内講師が12人で、3日間で29の講座が設けられている。
 大枠は
1.聖書学の視点から、
2.聖書翻訳の視点から。
 1.では、死海文書刊行国際チーム総責任者エマニュエル・トーブ氏(ヘブライ大学教授)「死海文書に関する近年の学問上の諸問題」、新ヘブライ語聖書[BHQ]刊行総責任者エイドリアン・シェンカー氏(フリブール大学名誉教授)「ドイツ聖書協会と聖書協会世界連盟によるビブリア・ヘブライカ・クインタ版聖書―その企画の始まり、原則、現在の進捗状況」、ネストレ・アーラント新約聖書本文研究所主任研究員クラウス・ヴァハテル氏「ネストレ・アーラント28(新約聖書本文最新版)の歴史と編集方針」「ネストレ・アーラントのデジタル化プロジェクト」、ジェイムズ・M・ロビンソン氏(米クレアモント大学教授)「使徒信条からイエス自身の神への信頼へ」、歴史的イエス研究の題一人者ジョン・ドミニク・クロッサン氏(米ドゥポール大学教授)「イエスと神の国」「パウロと平等の正義」。日本からは大貫隆氏(東京大学教授)、鈴木佳秀氏(新潟大学大学院教授)月本昭夫氏(立教大学教授)、山内眞氏(東京神学大学学長)など。
 2.では、ローレンス・ド・フリス氏(オランダフリー大学教授)「聖書翻訳と信仰共同体―歴史的、実践的な視点から」、ダウッド・ソシロー氏(聖書協会世界連盟アジア太平洋翻訳コーディネーター)「アジアにおける聖書翻訳の歴史―漢字文化圏を中心に」、ミン・ヨンジン氏(韓国聖書協会総主事)「韓国語聖書翻訳の歴史と漢字文化圏を中心に(仮題)」、ユー・スイヤン(シンガポール聖書協会翻訳コンサルタント)「中国語聖書翻訳の歴史と漢字文化圏への影響」。日本からは鈴木範久氏(立教大学名誉教授)、川島第二郎氏(関東学院大学キリスト教と文化研究所研究員)、アレクセイ松平康博氏(日本ハリストス正教会長司祭)など。
 また、「ヘブライ語、ギリシャ語をみんなで読む」「聖書の読み方」「聖書と私」「聖書と映画」「聖書と美術」「聖書クイズ大会」など、一般信徒が親しみやすいプログラムも充実。
最終日夜には、国内外の聖書研究家十数人を講師に国際聖書シンポジウム「原典から現代翻訳へ―聖書を現代にどう伝えるか」が開かれる。ヴァイオリニストのジョン・チャヌ氏による「聖書と音楽の出会い・コンサート」、レセプション「バイブル・フレンズの集い」(別途会費)、エマニュエル・トーブ氏の妻エバ氏のアート・ギャラリーなど、様々な催し物も。
 渡部氏は「聖書に関するイベントで、これだけ著名な聖書研究家を招いて行うのは日本で初めて。費用もできるだけ安く抑えた。聖書の原典、聖書翻訳に興味をもってもらえるよう、一人でも多くの方が参加してほしい。また、将来の日本宣教、聖書理解のあり方に一石を投じるイベントにしたい」と述べた。
 入場料全日券5千円(全三日間有効)、一日券一般2千円)当日2千500円)、学生千円(当日千200円)、小学生以下無料(要保護者同伴)。
 入場券は、日本聖書協会「国際聖書フォーラム」事務局、首都圏の各キリスト教専門書店(2月13日以降)、同教会ホームページ(http://www.bible.or.jp/common/forum2006/index.html)で。
 問い合わせTEL:03・3567・1988、Eメールfourm@bible.or.jp、同協会総務部広報係。

借金は8割が心の問題−−多重債務者に心の援助 西田 育生さん=0506290601

 景気が回復基調にある日本。しかし年間の自己破産件数は、02年から引き続き20万件を超えている。主な理由としては「生活苦・低所得」「負債の返済」などが挙げられ、「借金のための借金をする」という多重債務者が増えている。この多重債務など借金の問題に悩んでいる人たちをカウンセリング支援している牧師がいる。東京・台東区浅草にある福音宣教会・東京ホープチャペル牧師の西田育生さんだ。「多重債務は法律で解決できる部分が2割、あとの8割は心の問題です」と語る西田氏は、同問題の解決を通して人々を信仰に導いている。  1日電話が100件
 「ある時、借金の相談をしてきた男性が自殺してしまったんです。解決の道筋はわかっていたんですが、2回目の借金だったので家族からきつく責められたのが原因でした」
 92年、松山福音センターの万代恒雄牧師の下で副牧師をしていた時の出来事だった。「その時、これはひとごとではない。本当に悩み苦しんでいる人たちの心のケアをしたい。そしてそれを自分の中心的なミニストリーにしていこうと決意したのです」
 95年、単身上京、開拓伝道を開始した。同時に「東京ライフケア事務局」を開設し、無料相談窓口として多重債務者をはじめとする様々な悩みをもつ人々のカウンセリング支援活動も始めた。
 最初のうちはチラシを配ってもなかなか相談に来る人はいなかった。その後、知り合いの司法書士が『たとえ破産しても人生やり直せる』という本を出版し、その中に相談窓口の1つとして「東京ライフケア事務局」の案内を紹介してくれた。それを見た「週刊読売」(当時)が特集記事に取り上げ、1日に100件以上の相談電話が鳴るようになった。それが3か月続いたという。
 心の負債を取り除く
 カウンセリングでは、叱ったり、責めたりするのではなく、まず「大丈夫、必ず助かる」と安心させる。そして「これから自分がどう生きるかを見つめ直す良い機会であり、人生をやり直す一生に一度のチャンスだ」と認識してもらってから始めるという。法律的な問題は、知り合いの弁護士、司法書士を紹介し、処理していく。同時に「現実の借金の負債は法律で処理できるが、心の負債はイエス・キリスト以外は処理することはできない」と福音を伝えていく。「目に見える問題はいろいろ違いますが、それは氷山の一角であり、根っこの部分の問題は共通するところがあります。ある人は借金の問題が表面化しただけで、他の人は家庭の問題、他の人は会社の問題が表面化するかもしれません。だから、ただ借金だけの問題として見るのではなく、なぜそうなってしまったのかという本質に迫らなければ、本当の解決には導けません」。相談者はカウンセリングの中で心を開き、福音を受け入れていくという。福音を受け入れた人は、小グループに入り、自然に教会にとけ込んでいく。
 「人間の力には限界があります。これをきっかけに生き方、生活習慣を変えていかなければ意味がありません。教会に通い続け、御言葉を聞き続けることが大切です」。カウンセリングを通して洗礼を受けた人は100人を超えるという。数年前まで同教会は、9割が男性ビジネスマンという日本では珍しい教会だった。
 「私の喜びはその人たちの借金が解決し、キリストに出会って救われ、人生をやり直すだけでなく、キリストの福音のために生きるビジョンがその人のうちに根付いていくことです」。他の教会員のことで牧師から相談を受けることもあるという。
 1人で悩むな
 現在、多重債務で悩んでいる人たちに西田さんはこう語る。「一人で悩まないで早く誰か身近な人に相談することです。借金の中にいると返済で一生懸命になり、自分の立っている位置が見えなくなります。解決の道を知るには、まず自分がどこに立っているのか、客観的に現状を教えてくれる人が必要です。借金で困っている人は、絶対に自分で返さないといけないとか、人に絶対言えないなどと思い込み、自分で壁を築いてしまいます。大部分の人たちは多重債務=破産と結びつけますが、最近は法律も整備され、破産しなくとも、その人の状況に合わせた解決方法があるのでぜひ相談してほしい。サポートしてくれる人は必ずいます」。また、クリスチャンに対しても「教会ではお金の問題は微妙な問題であり、クリスチャンらしく生きなければと人に言えず深刻に悩んでいる人も多いと思います。教会はきれいごとだけではなく、そういう人たちを裁かずに、受容して、ともに解決の道を考えていくことが大切ではないでしょうか」と語る。  東京ホープチャペル・東京ライフケア事務局=〒111-0042東京都台東区寿2ノ1ノ6TEL:03・3845・0797、FAX:03・3845・1337。

魂導ける弟子が目標−−横浜オンヌリ・キリスト教会=0602120801

 QT(御言葉に聴き神様と交わる静思の時間)、1対1養育訓練などの弟子訓練プログラムに力を入れ、成長してきた韓国のソウル・オンヌリ教会(ハ・ヨンジョ主任牧師)。その流れを汲む横浜オンヌリ・キリスト教会(山中知義牧師)=神奈川県横浜市中区山下町162ノ1=では、オンヌリ教会のスピリットを受け継ぎながら、日本の必要に合った独自の教会教育を実践している。山中さんは「教会の第一義的使命は宣教と救霊。目指す弟子像は、再生産、つまり魂を導ける弟子像です」と語る。  「私個人は弟子訓練プログラムを受けたことがなく、信徒を育てるビジョンも乏しかった。今も、今までも情熱は常に伝道と救霊にある。だから弟子訓練に熱心なほうではない」と山中さんは言う。そう断った上で、今の取り組みについて語った。
 その一つが、メンターとメントリーという1対1のアカウンタビリティー(信頼)関係。メンターとは「助言者」の意で、成熟度、経験値でメントリーより少し先を行っている人のこと。教師と生徒という上下関係ではない。彼らは週に一度集まり、「1対1弟子養育聖書研究」というテキストを用いて御言葉を学び合うが、それと関連してプライベートな問題や罪についても告白し、分かち合い、祈り合う。この学びは約6か月で修了するが、修了者はさらに指導者訓練を経てメンターとなり、新しいメントリー(新信者や求道者)を導いてゆく。オンヌリ教会ではこのサイクルが永続してゆく。「指導する」との責任感からか、実際はメンターになってから、メンター自身が顕著に弟子化してゆくという。
 教会全体の弟子化を促すもう一つの試みとして、「ケアグループ」という方法を取り入れた。その具体的な形として礼拝堂に4人ずつ座れる丸テーブルを置いた。4人1組の「ケアグループ」を構成し、各テーブルで共に日曜礼拝をささげる。礼拝後も共にランチを食べながら、牧師が提示したテーマから分かち合い、月刊QTガイド「リビングライフ」(日本ツラノ書院)を用いて「QTの分かち合い」をし、最後に年始に取り決めた「1年の抱負」を確認し合う。こうして信徒同士が互いに霊的なケアを実践する。
 「1年の抱負」は、特に真の隣人愛、共同体育成に有益だという。1人では三日坊主だったが、アカウンタビリティー関係(山中さんは『帳尻をあわせ合える信頼関係』と訳す)の中だと、独特なダイナミズムが生じ、不思議と続けられる。
 ケアグループメンバーたちは、年始に「1年の抱負」を5つ以内で取り決め、メンバー同士、「必要だと思ったら忠告もしてね」と許可証を交換する。何よりお互いがキリストの弟子像へと成熟できるよう、祈り合う約束を交わしている。
 「弟子訓練の方法論は大切だが、人格が変わっていくための基本原則は聖書と習慣です。人格とは、繰り返しする行動の総計。神を愛し、その目的に生きることをよく研究し、聖書朗読と1年の抱負を信仰者同士支えあいながら繰り返してゆくならば、弟子化という人格成熟は必至です」
 講壇からのミニストリーも極めて大切だという。「過去を振り返り、説教者として反省させられることが多い。御言葉の純粋な命の代わりに、私の中から湧いて出た泥水を飲ませるようなこともあったと思う」。弟子訓練、伝道、相談、教会成長など、「リバイバルを求める」牧師の心は広範囲に走る。しかし「灯台下暗し」で、最も大切な働きである牧師の「自己牧会」が疎かにされ、「牧師自身が弟子像からドリフトしきっている場合がある」とも。「説教とは人格の表現」だと語る山中さんは、「今年は『自己牧会』に集中し、霊的な潤いを欠かさず、その結果湧き出てくる説教でどのように教会が弟子化に向かうか見定めたい」と語る。
 今後、横浜オンヌリ・キリスト教会がどのように成長していくかが楽しみだ。   
【中田 朗】