[CSD]2007年12月16日号《ヘッドライン》

[CSD]2007年12月16日号《ヘッドライン》
 = 1面 ニュース=
★榎本保郎牧師召天30周年を記念——伝道の生涯偲んで『ちいろばの心』出版記念会
★よみがえる殉教の悲劇——音楽劇「アグネス」初演

 = 2 面 ニュース =
東北に大きなインパクト——ラブ・ソナタ仙台に2千300人
★JIFH:バングラデシュ大型サイクロン被害——2千家族余に救援物資を配布
★「神の前に自らを規定せよ」と奨励——第48回バックストン聖会
★米国大統領選:P・ロバートソン氏はジュリアーニ候補支持表明
★米国:TV伝道者らの資金事情を調査
★<落ち穂>失われた魂の顔が見える伝道

 = 3 面 教界ニュース =
★<戦争を知らないあなたへ>[16・最終回]終わっていない戦争——大城 実さん
★日本YWCA:クリスマス・新年に「9条カード」キャンペーン
★<オピニオン>責任は怖くない 記・北 秀樹

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★中国で5年間修行積む——橋本 明元さん[中]([株]王宮 道頓堀ホテル常務取締役)
★<セールスウーマンの楽しい伝道>[6]信仰は望んでいる事柄を保証する 記・渡辺明日香

 = 5 面 牧会/神学/社会=
◎信仰者の人間関係——コミュニケーション・ギャップが起きるとき[2]
★<精神障害と教会>[17]教会の「場」を生かして 記・向谷地 生良

 = 6・7 面 教会教育特集=
★日々 み言葉の励ましを——デボーションテキスト「内なる刷新」
★子どもから大人まで共通の学び——教案誌「成長」
★実践トレーニングの場——ホーリネス・CS教師研修会

 = 7 面 特集=
◎バプ連盟・新小岩バプテスト教会:19クラスの教会学校——聖書の学びと伝道・証の訓練に特化
★MB・枚方キリスト教会:一致と聖霊の満たしを求めて——教会が元気になってきた

 = 8 面 特集/霊想・書ディボーション=
★聖書に親しむひとときを——高田文彦氏
★書籍:『日ごとの力』西村 虔著(イーグレープ、1,575円税込)
★書籍:『一日の発見』内野淳一郎著(キリスト新聞社、2,100円税込)
★インターネット:「バイブルスタイル」http://biblestyle.com/

 = 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★GOODS:伝道用CD「REAL CHRISTMAS」(日本キャンパス・クルセード・フォー・クライスト、10枚:関東1,000円、その他の地域1,500円=税・送料込み)
★BOOK:『世界にひとつしかクリスマスツリーがなかったら』文・絵=池谷剛一(パウロ舎、1,575円税込)
★BOOK:『ゆるぎない平安』Yukari著(イーグレープ、1,050円税込)
★REVIEW:『教育改革者ルター』金子晴勇著(教文館、2,625円税込)評・湯口隆司

 = 10 面 関西だより =
★アジア福音宣教会・台湾基督長老教会 第1回宣教会議開催——パートナー宣教の必要性を課題を検討
★07年聖句書道展に延べ4千人——今年も新たな証と感動運ぶ
★神様のいる話が描きたい——京都の漫画家・片山幹子さん

 = 11 面 クリスチャンライフ =
◎「福音に触れる機会を多くの人に」——地域の伝道の拠点にと20年「天恵 ぶどうの木」(八戸市)
★「何かはきっとできる」——ワールド・ビジョン・ジャパン20周年
★沖縄・久米島で不登校・引きこもり中高生対象にキャンプ開催
★DNJ帰国者大会——支援の輪を拡大へ

 = 12 面 ひと=
★届いた福音 サックスの音と共に——カーク・ウェイラムさん(ジャズ・サックス奏者)

◎信仰者の人間関係−−コミュニケーション・ギャップが起きるとき[2]=0712160501

 信仰があるから人間関係がうまくいくとは限らない。信仰者同士の人間関係、牧師と信徒の人間関係において、コミュニケーションが混線していることはないか――そんな問題意識から聖学院大学総合研究所カウンセリング研究センターが、「信仰者の人間関係―コミュニケーション・ギャップが起きるとき―」をテーマに開催したシンポジウム(10月26日)が注目を集めた。人間関係社会と言われる日本で生じる問題の多くは、教会においても人間関係の要素が占める。2人の牧師、2人の信徒をシンポジストに、教会を悩ますこの難問に多面からメスを入れた。

 吉岡光人氏(日本基督教団吉祥寺教会牧師)は、コミュニケーション・ギャップの原因として、第一にコミュニケーションの不足の問題を挙げた。多様化されたメディアが、かえって我々のコミュニケーション能力を衰退させている。顔を合わせなくても済むようなメディアの発達により、「大切なことは会ってお話しましょう」というコミュニケーションが失われてきている。相手の顔を見ながら話すのでなければ聴き取れないことがある。「会う」ことがギャップを埋める面があるにもかかわらず、現代はそれができにくい。吉岡氏は「キリスト者だから分かり合えるということはない」と指摘し、そう思い込んでいる先入観にキリスト者のコミュニケーション・ギャップの一因を見る。
 原因の二つ目に挙げたのは、画一化されたキリスト者像の問題だ。他者理解において、キリスト者であることを人物保証の条件にしてしまう先入観があるという。クリスチャンだから相手も同じように感じ、同じように考えているだろうと期待をもつ。それを、あたかも事実であるかのように誤解してしまう。クリスチャンだから信頼できると思い込んでいると、そうでなかった時の失望感が大きい。そこに、善意でありながら結果的に裏切りになってしまうということが起こる。
 牧師同士の場合には逆のことが起こる、とも指摘する。私とあの人は立場が違う、同じように感じているはずがないと思い込む。自分とは違うと最初から相手に期待していないから信頼関係が成り立たず、やはりギャップが生じる。
 また自己理解においては、画一化されたキリスト者像をもっていると偽善に気付かない。「キリスト者にふさわしく振る舞わなければならない」という心理的プレッシャーがあると、相手を失望させたくない、期待に応えなければ、と思い込んでしまう。本当の自分ではない自分を演じようとする「メシア・コンプレックス」に陥りやすい。ありのままの自分を出していないので、真実の交流はあり得ない。仮そめのコミュニケーションでは、話す方も聞く方も満たされない。
 原因の三つ目は、機械仕掛けの神の問題。人間が要求したから神が解決してくれたと考える楽観的な神理解だ。神の力を必要としないと思える時は自分で関わろうとするが、お手上げになると容易に神の登場を願う。ナチに抵抗したドイツの神学者ボンヘッファーがこの問題意識をもっていた。獄中でどんなに祈ってもナチの暴虐は止まらない。最後は神が解決してくれるという考えでは、今現実に何をしなければならないかということを回避してしまう。そのような関わり方は無責任ではないかという問題意識である。人間は前提として神に支えられてはいるが、具体的な問題の解決まで神に期待してコミュニケーションをとろうとすると共倒れになる。「私が今ここに遣わされている」という意識をもたないと危険だ、と吉岡氏は警鐘を鳴らす。
 そして、こうしたキリスト教的な先入観をはぎ取り「生身の人間として立つこと」によって本当のコミュニケーションがとれると見る。コミュニケーション・ギャップを埋めるためにするべきこととして・自己を開示する・相手の心の中にある感情を注意深く聴く・批判的に聴かないように気をつける・言語外コミュニケーションも大切にする、などの注意点を挙げる。広い世代が共に集う、現代では珍しいコミュニティーである教会は、世代間のコミュニケーション・ギャップをも突破できるとして、「教会は世代が混在したグループにした方がいい。教会は21世紀で最も先端を行くコミュニティーになってほしい」と述べた。

◎バプ連盟・新小岩バプテスト教会:19クラスの教会学校−−聖書の学びと伝道・証の訓練に特化=0712

 東京都葛飾区にあるバプ連盟・新小岩バプテスト教会(川口義雄牧師)では毎週日曜、全部で19クラスの教会学校(CS)を行っている。同教会の礼拝出席者数は平均140~150人だが、その実に80%にあたる110~120人がCSに出席しているという。同教会のCS活性化の秘訣とはなんだろうか。

 同教会のCS編成は、赤ちゃんクラス、幼児クラス、小学科低学年クラス、小学科高学年クラス、青年科・中高科クラス(男女)、成人科若成人クラス(20~30代の既婚者)、成人科婦人クラス(40代以上の女性)が7つと、成人科壮年クラス(40代以上の男性)が3つ。成人科の各クラスのメンバーは平均6人だ。
 「教会の礼拝は、聖書を学ぶ場ではなく神様を礼拝する場であり、CSこそが聖書の学びと伝道、証の訓練の場であると考えています」と川口牧師は言う。CSでは、聖書の学びとともに、互いの伝道を励まし合う。メンバーそれぞれが教会に誘いたい人の名を書いた「祈りのカード」を持ち、教会に招くチャンスが与えられるよう、信仰をもつことができるようになど、自分自身や、メンバー同士で課題を負い合いながら祈っている。また、声かけ、電話でのアプローチ、手紙、自宅訪問などの「コンタクト」を通して直接的に働きかける「アウトリーチ」を積極的に行う。各クラスには学びをリードする教師と、伝道の働きをリードする「アウトリーチリーダー」が1人ずつ。毎週午前10時からのCSでは、まずその週何回にコンタクトをとったかを記録し、それから学びに入る。また、毎月最後の日曜日に行うリーダーたちの「アウトリーチ月例会」では、各クラスのアウトリーチ状況の報告をして翌月の戦略を立てている。11月25日の月例会での報告によると、現在、全クラスのコンタクト数は1週間平均500回を超える。コンタクト数の記録をつけることで教勢がイメージでき、互いに励まし合えてクラス間にも良い競争意識が生まれているという。「最初は、記録するからとコンタクトをしていても、次第に積極的にできるようになり、楽しくなってくる。数えるのを楽しみにしている人もいます」
 しかし、クラス内が「お仲間」になってしまうのはよくないと川口牧師。「クラスの人数も、6人が理想的です。それ以上増えて『仲良しグループ』になり内向きになってしまうと、成長しません。人数が多いと、発言しない人もでてきてしまいます。居心地のよさではなく、多くの人を救いに導くことがCSの目的です」。6人以上にメンバーが増えるとクラスを株分けし、また少ない人数に戻って再び活動する。また毎年2月に、婦人は婦人、壮年は壮年ごとにクラスのメンバーをすべて再編成し、1年ごとに新鮮な気持ちになってCSに取り組んでいる。婦人クラスは、CSが始まった頃は4つほどだったが、アウトリーチ活動と株分けにより、7つまでに増えたという。
 「例えば、訪問を牧師1人でやると週に3回がせいぜいです。牧師だけが伝道するのではなく信徒が伝道の働きをしていく時、教会がいきいきしてくるのです」と川口牧師は語った。

◎「福音に触れる機会を多くの人に」−−地域の伝道の拠点にと20年「天恵 ぶどうの木」(八戸市)=07

 1987年、青森県八戸市に、藤田篤四郎さんが「ベイクハウス ぶどうの木」(現在は「天恵 ぶどうの木」)を開店した。39年務めたNTTを退職、58歳で新たな道を歩み出したのは、「教会のないこの地域に伝道の拠点を」と願ってのことだった。それから20年。篤四郎さんは13年前に亡くなったが、その信仰と店は子や孫に受け継がれ、地域にも「キリスト教のパン屋さん」として親しまれている。

 「地方では教会が少なく、行きたくても行けない人や福音に触れる機会のない人が多くいる」。篤四郎さんと妻・美智子さん夫妻は地方伝道の現状に重荷をもち、「ぶどうの木」を開店。無添加のパンの販売とともに、パンや昼食を食べられるティールームを備えた。「辺りを見回すと、一人暮らしのお年寄りや、ご両親の仕事のため1人で家にいるお子さんの多いこと。そういった人たちや、子育て中の若いお母さんたちが安心してくつろげる場所を提供したいと思いました」と美智子さん。穏やかな雰囲気が漂う店舗は、20年を経てすっかり「くつろぎの場」として地域に定着し、「いろんな悩みや問題を抱えて来られて、話していく方もおられます」。また、伝道を目的にコンサートなどのイベントを定期的に開催し、「教会には行けないけれど、イベントなら」と多くの人が訪れる。
 藤田さんは店を切り盛りする傍ら、(財)日本国際ギデオン協会の働きに加わって病院や学校に聖書を贈呈したり、地域の人と聖書の学びをしたりと、様々な働きを行ってきた。また、「地方伝道は家族への信仰継承から」との思いから、クリスチャンホームを築くことを第一に務めてきたといい、娘で3代目店長を務める蛇平直美さん一家も全員がクリスチャン。現在も家庭集会を欠かさない。
 10月27日、同店は超教派のクリスチャン聖歌隊「NCM2」をアメリカから招き、開店20周年と篤四郎さんの召天13周年記念コンサートを開催した。当日を、美智子さんは「時がよくても悪くても、み言葉をのべ伝えよ、と主が言われたことを忘れてはならないという思いになります」と振り返る。コンサート前、ギデオン協会の聖書4千冊を市内の全中学校に配り、そのうち1人の中学校校長と3人の生徒、その保護者がコンサートに訪れた。また「お寺に嫁いだ主人の姉など、伝道の機会がほしいと思っていた親戚たちも来てくれました。開催にあたっては多くの信仰の友や先輩、近隣の牧師たちが教派を超えて協力してくださり、『地方伝道はかくあるべし』と勇気を与えられた思いです」と美智子さん。全員で160人もの人が訪れ、そのうちの1人が、次の日曜日に市内の教会を訪れたという。
 「宣教師・牧師先生、教会関係者の方々や、創業以来利用してくださっている方、イベントに来られる方々に応援していただき、元気をいただいてきました。八戸の伝道のために、我々信徒が2人でも3人でも、祈ることから始めていきたい」と美智子さんは語った。
 インターネット販売もある「ぶどうの木」では、ドイツのクリスマス菓子シュトーレンの注文を受付中。Tel&Fax0178・28・7669。Eメール=tenkei-nfood@hosana.jp http://hosana.jp