[CSD]2008年7月13日号《ヘッドライン》

[CSD]2008年7月13日号《ヘッドライン》
 = 1面 ニュース=
◎西日本宣教セミナー40年——中国5県の教会が教団教派超えて
★食の危機に「エデンの園」から警鐘——有機野菜栽培の研究会誌とおして

 = 2 面 ニュース=
★若者の育成テーマにシンポジウム——第32回西日本宣教セミナー
★貧困、気候変動に責任促す——9カ国のカトリック司教協議会がG8に共同声明
★<教会の実情を知る:教会ルポ>[18]島独自の状況と根強い因習——地域からの受容に時間かかる島の教会
★<落ち穂>時機を得た復刊『人生の四季』

 = 3 面 =
★学問領域にも働くキリストの主権——ホイートン大学長D・リトフィン氏講演
★日本語の変化に対応した翻訳を——新改訳聖書刊行会が特別講演会
★聖書翻訳促進へ——WEAが国際ウィクリフと協力
★米国「創造博物館」創立メンバーが来日公演講演——いのちありがとうの会
★<オピニオン>「間違っていました」では困る 記・赤坂 泉

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★倒産して魂に変化が——玄 承禎さん[下](レホボト・ジャパン代表)
★<更正の手がかり>[19]ロスを減らす 記・梅津 善一(公認会計士)

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★EVENT:Feel The Spirit! Hawaiian&Gospel Live 2008(7月25日)
★BOOK:『ターニング・ポイント』トレイ・ヒルマン著(新生運動、500円税込)
★BOOK:
★REVIEW:『主よ、あわれみたまえ』マルティン・ルター著(教文館、1,995円税込)評・鍋谷尭爾

 = 6・7 面 新会堂建築シリーズ139 =
★地域に開けた教会めざし——「真の礼拝と宣教」を 日本イエス・東京若枝教会
★神の意志のもとで竣工へ
★「神の訪れの時」を経て——飯塚俊雄主管牧師に聞く

 = 8・9 面 横浜特集 =
★県唯一の私立養護学校として40年——聖坂学院
★「旅人・寄留者」の信仰育成をめざし——横浜ユニオンチャーチ
★「山手10号館」が市の歴史建造物認定に——フェリス女学院

 = 10 面 教会学校 =
◎<教会学校の実情を探る>訓練と信仰の場に——子どもたちでプログラム進行
★<CSもうひと味>子どもたちが積極的に奉仕に関わるには——仲摩づくりとチャレンジ

 = 11 面 クリスチャンライフ =
◎知れれざるエイズの実態——「無関心」「無知」で拡大する感染
★準備祈祷は7月25日から——「ムスリムのための30日の祈り」
★<僕の子育てライフスタイル>[6]けんかなんかしてないよ 記・堀井洋二

 = 12 面 教会 =
★野球が伝道の「決定打」に——単立・炎リバイバル教会

 = ?—? 面 別刷特集/2008世界宣教・国際協力ガイド =
★世界宣教のビジョンに生きる中国・山岳民族の人々=0807131301=
★国別:派遣宣教師・国際協力スタッフ一覧——アジア・アフリカ・中東=0807131401=
★宣教師・国際協力スタッフ連絡機関・団体一覧=0807131501=
★国別:派遣宣教師・国際協力スタッフ一覧——オセアニア、ユーラシア、北米・ラテン、各国巡回=0807131601=

◎西日本宣教セミナー40年−−中国5県の教会が教団教派超えて

 第32回西日本宣教セミナー(西日本連合宣教の集い実行委員会主催)が6月16日から18日まで、広島県広島市安佐南区の広島工業大学沼田校舎で開催された。テーマは「『祈り・賛美・宣教』—宣教の今日的課題と展望—」で、主講師に倉沢正則氏(東京基督教大学学長、宣教学博士)を招いた。(2面に関連記事)

 40年の歴史をもつ西日本宣教セミナーは、岡山、広島、山口、鳥取、島根の中国5県にある教会が協力し、総動員伝道や日本伝道会議の年を除き毎年各県持ち回りでこの時期に行われてきた。「地方伝道に必要な方策は何か、似通った地域社会の中で共通の負い目を担う者として研鑽し合い、またその時代ごとに脚光を浴びている先生方を招き学んできた。教団教派を超えた交わりもでき、今ではその壁が全くない」と吉岡章氏(聖約・岡山カベナントチャペル牧師)は語る。
 初日の主題講演で倉沢氏は、「CIS教会インフォメーションサービス・ニュース」、「International
Bulletin of Missionary Research」などの統計をもとに、日本の教会が直面している課題として・教職者の高齢化と無牧教会の増加、・無任所教師の増加、・教会の働き人の減少、・牧師中心主義と信徒の受動性、を挙げた。
 その中で、教会指導者の危機的状況として「教会学校の低迷と信仰持続の短さ」に注目。「日本のキリスト者の平均寿命は2・8年で、受洗3年で信仰を失っている。これは、日本のクリスチャンがいろいろな闘いの中に置かれていることと、信仰生活を基礎づける学び、デボーションに欠けているからではないか」と分析。また、「万人祭司制よりも牧師、教師の権威が強調されている」とも。「信徒は常に受け身で、責任も与えられていない。この態度と姿勢を変革し、信徒が教職者と共にミニストリーを担い、参加するという教職中心主義への挑戦がなければ、日本の教会の将来はない」と強調した。
 これらの現状に対し、今日的課題と展望として、・世界宣教のビジョンと情熱を取り戻す、・伝道力を強める、・信徒に届く生活に密着した説教への取り組み、・人を育てる、の4点を挙げた。特に・に関しては、教会はもう一度「あなたがたは行って、あらゆる国の人々を弟子としなさい」(マタイ28・19)の意味を考える必要があると強調。「昨年、私たちの大学に招いた講師が『私たちリーダーは、教会員の牧師であると共に、地域社会の牧師であらねばならない』と語っていた。教会の内部の問題、課題があり、なかなか出て行く力がないかもしれない。だが、私たちは教会だけでなく地域住民の霊的指導者であることも覚える必要がある」と述べた。

◎<教会学校の実情を探る>訓練と信仰の場に−−子どもたちでプログラム進行

 東京都八王子市の閑静な住宅街に建つアッセンブリー・八王子キリスト教会めじろ台シオンチャペル(和田佳士牧師)。毎週水曜日、午後3時半から子どもたちのための集会「P-kids」を開き、同教会の子どもたちが毎週15人ほど訪れている。
 同教会の教会学校(CS)に来る子どもたちの数は、20人ほど。「CSに子どもが来ない」という課題を多くの教会が背負っている中、小学生だけで20人が来るというのは、実に「恵まれた」印象を受ける。しかし同教会でも、子ども伝道の困難さを「もちろん感じている」と子ども担当の伝道師、村上則之さんは言う。「以前は開いていた公園伝道は、現在は撤退しています。教会に来ているのも、地域よりもあちこちから車などで来る子が多い。クリスマスなど地域の子どもたちを招いたイベントも、年に2回程度です」。現在は、地域の新たな子どもたちを教会へ集めるのではなく、今いる子どもたちの信仰の成長が主体となっており、P-kidsもその一環と言える。「公園伝道の撤退の背景には、地域性よりむしろスタッフの不足があります」と村上さん。P
-kidsは、子どもたちを教会につなげること、そして教会スタッフを育てることにつながっている。

 「これからP-kidsを始めるので、○○君お祈りしてください」。司会の子に指名された男の子が会の守りを祈り、この日のP-kidsが始まった。最初の30分は遊びの時。部屋の隅でマンガを読む子、ボール遊びをする子など、それぞれが思い思いに遊ぶ。その後は全員でゲーム。リードするのはゲーム係の子だ。「ボール転がしゲームやりまーす。人数足りないから女子も入って」。てきぱきと声をかけ、進行していく。子どもたちも、係の声には素直に従う。
 ゲームが終わると、礼拝の係が前へ。賛美をリードし、村上さんのメッセージへとつなげる。メッセージ後は、男子と女子に分かれて感じたことを分かち合う。この日のメッセージは、ヨセフ物語の紙芝居。「神様はちゃんと計画を立ててくれている。試練もあるけど、神様は知っているから」、「たくさんの力をヨセフに与えた、その信頼がすごいと思った」など、輪になって感じたことを順番に語った。最後に、少人数に分かれて課題を出し合い、祈る。
 司会、ゲーム・礼拝係、奏楽、OHP操作。これらすべてを子どもたちが役割分担し、進めている。スタッフは、村上さんと男性の献身者、中学生の女の子が1人。分かち合いなどをサポートするが、あとは基本的に子どもたちに任せる。
 P-kidsの歴史は20年ほど。その間、多くの子どもたちが養い育てられ、CSスタッフとして奉仕しているという。
 「日曜日(CS)だけでは、子どもたちの信仰の訓練には足りないと感じます。司会などを子どもたち自身が務め、平日にも礼拝の時をもつことは、子どもたちの成長につながります。また、教会がリラックスして安らげる場であることを子どもたちに感じてもらえれば」と村上さんは語った。

◎知れれざるエイズの実態−−「無関心」「無知」で拡大する感染

 「あなたに4千万人の叫びが聞こえますか?」と題した「DVDエイズカンファレンス」(エイズを考えるクリスチャンの会主催)が、6月21日に東京・新宿区の淀橋教会で開かれた。

 JCM(ジャパンクリエイティブミニストリー)の代表である藤田桂子さんは、10代の性問題に6年以上取り組んでいる。きっかけは、児童伝道での小中高生とのかかわりだった。「教会の中高生や青年たちが無防備で性の問題に巻き込まれているので、教会でも聖書を土台とした性教育をしっかりしなければと思いました。性教育の学びをすると、避けて通れないのがエイズや同性愛の問題でした」という。

 今回のエイズカンファレンスでは、はじめに米国サドルバック教会牧師のケイ&リック・ウォレン氏らの講演をDVDで鑑賞。「無関心ではいられないと心をかき乱されたが、人目を恐れていた自分、無知からくるエイズへの恐れを、悔い改めること」の必要性を説き、「教会でケアサポートグループを立ち上げ取り組んできた」とケイ夫人。リックさんは、「・無関心でいた自分の罪を悔い改めること、・偏見にとらわれず受け入れること、・誰かの痛みとかかわり、共にいること、・エイズという悪と死への戦いに忍耐することを示されたこと」などを聖書から熱く語った。そのほか、ウガンダで政府と共にエイズ撲滅活動をしているマケレレコミュニティー教会のマルティン・センパ牧師や弁護士で国際司法ミッション代表のゲーリー・ヒューゲン氏の講演も放映された。
 また、日本のエイズの状況について藤田さんからの報告もあった。

 日本は先進諸国で唯一、HIV感染とエイズ患者が急増している。アメリカで勧められているアブステナンス教育(結婚まではセックスをしない教育)は、ほとんど行われず、日本のエイズ予防対策は、コンドームの推奨である。「コンドームを使用すれば、性行為をしてもエイズ感染を防げる」というが、現実はコンドームの材料のラテックスには、1ミクロンの自然にできる穴があり、0.1ミクロンのHIVや他のウイルスもすり抜ける。また、市場に出回るうち、15%のコンドームには3ミクロンの頭を持つ精子も通り抜ける穴があると警鐘を鳴らす。近年では、若い人の乱れた性行為や中高年の買春などで感染が拡大している。「エイズが身近という危機意識が少なく、エイズ検査をしない人が多く、それが感染拡大の要因になっている」とも。
 カンファレンスに参加した人たちからは、「エイズに対する恐れが自分にもあった」、「『なぜ』『どうして』感染したかを問うのでなく、キリストにあって救いと平安と癒しが与えられることを伝えたい」、「教会の子どもたちへの性教育の急務を感じた」など感想が寄せられた。
 藤田さんは去年5月、沖縄で第1回エイズカンファレンスを行った後「エイズを考えるクリスチャンの会」を立ち上げ、エイズを広げない(予防)性教育、HIV感染者やエイズ患者の心のケア、将来起こりうるエイズ孤児ケアのために、教会は何ができるかを学びながら活動している。「エイズ大爆発がおき、教会に救いを求めて彼らがくるとき、教会が彼らの安全な場所になり、神様の愛と救いを証することを願っています」と語る。