2000年2月6日号《ヘッドライン》

2000年2月6日号
《ヘッドライン》
 = 1面 =
◎「生きて」それが神の心——EHCが自殺防止トラクトを発行
★中高年男性の自殺件数が近年急増
★いのちの電話でも男性の「自殺」相談件数が増加
★地域の慰め、希望を祈り——改革派・芦屋教会復興への棟上げ
★<21世紀への対話>ペンテコステと福音派(3)万代栄嗣・内田和彦
★<落穂抄>教会未設置地へトラクト配布
★第22回あかし文学賞公募
 = 2 面 =
★第三千年期の世界宣教—京都会議からの講演抄録7:新しい世界の意味するもの(2) ポール・シダー
★<話題を追って>「献金袋は印紙税法違反か」波紋広がる
★東京大聖書展へ向け、まず新年礼拝
★手話通訳者のホームページ開設——孤独な奉仕、情報交換で励まし合い願って
★バプテスト世界連盟議長にビリー・キム氏
★バチカン:改革者フスの火刑を自己批判
★イスラエル:首相が宗教的自由を保証
★<世界の出来事フラッシュ>スーダン、イスラエル、サウジアラビアほか
★<教界の動き>単立・愛隣チャペルキリスト教会
◎<論説>「和解の福音」再確認 記・片岡 信光
★<逆転の信仰経営>(34)生まれ変わったビジネスマン<18> 三谷康人回顧録
 = 3 面 =
★日本伝道会議への期待と責任 記・細川 勝利
★虚偽の上にたつ「建国記念の日」 記・今村 直
 = 4 面 全面広告=
☆近江兄弟社 創立95周年
 = 5 面 神学校特集=
★伝道とは人にかかわること 学生・岩堀 聡子さん
★神学校で学んでいます 石井 慎子さん、秋山 泉さん
★神学校長に聞く:北野 耕一氏(中央聖書神学校)
★=神学校ニュース
 = 6面 関西だより=
★阪神大震災から何を学びえるか——秦 賢司が説教集に思いを込めて出版
★地域の復興を願い全壊した教会が上棟式——改革派・芦屋教会
★阪神大震災メモリアル集会:被災地で協力して福音を伝える
★ゴスペルで証し 目白押し
 = 7面 建築特集=
★「エバレン先生」の愛を形に——調布バプテストテンプル婦人会がメッセージ集を発行
◎牧師で代議士——土肥隆一さんが「なぜ」に答えるパンフレットを作成
★「街並みに調和」表彰された会堂——日基教団・長崎平和記念教会
★米国:女優ジェーン・フォンダさん回心
★チョコと一緒に本当の愛を——EHCからバレンタイン向けトラクト
★コミテッド・ジャパン:米国カルバリーチャペルの牧師12人によるリーダー研修会
★米国:暴力的ゲームソフト作る会社に助成金出すな
★<声なき叫びが聞こえますか=35>「なぜ受験?」悩む親子と語ろう 記・岡本富郎
 = 8 面 =
★<聖書66巻>ヨブ記(1)苦難の時にも主を讃える 記・鍋谷 尭爾
★<書評>「安息日と礼拝」鞭木 由行著—礼拝を広い視野で理解する
★<新刊書紹介>「追龍伝愛」ジャッキー・ボリンジャー著
★<新刊書紹介>「潤った園のように」カウマン夫人著
★<情報クリップ>催し情報ほか      
 

「生きて」それが神の心−−EHCが自殺防止トラクトを発行

長引く不況やリストラのあらしを反映してか、戦後最悪のペースで自殺者が増えている。
そうした中で、死に急ぐ人たちになんとか思いとどまってほしいと、EHC(全国家庭文書伝道協会=長谷川武国総主事)が「自殺防止トラクト」を発行した。
多種多様の伝道用文書トラクトを製作してきたEHCだが、直接的に「自殺防止」に焦点を合わせたのは初めて。
能力主義による競争が激化する時代、戦いに疲れ、道を見失いそうな人々へ向けて「苦しい時は必ず過ぎ去る」と呼びかける小さな紙片に、「あなたを愛する神はあなたに死なないでほしいと願っておられる」というメッセージを託す。
1998年、日本の自殺者は3万2000人を超えた。
前年に比べ4、50代の男性で44・6%増、20代の男性で約40%増、10代の男女で53・1%増…この数値は「自らの存在意味を問いかけている」と、トラクトは問題提起する。
著者の川端光生氏(単立・久留米キリスト教会牧師)は、『完全自殺マニュアル』のような自殺肯定論の背後に、絶対者・唯一神をもたない日本人の現世主義があると指摘する。
能力主義で競争に駆り立てられる人々に向けて「今まで歩んできたコースを降りて別のコースを選ぶことができる」「『自分には生きる道がない』と感じるとき、人は社会の考え方にだまされている」と警告。
人の体がいかに最後まで生きようとする仕組みをもっているかに目を向け、それは「体といのちを造られた創造主なる神の意志…神は私たちにどんなことがあっても生きることを願っておられる」と、いのちの尊さの根拠を聖書から説く。
同トラクトは5万部を発行。
「挫折し絶望に陥りそうな人々に死ななくてよい道を知らせてほしい」と、EHCでは活用を呼びかけている。
トラクト「苦しい時は必ず過ぎ去る」は50枚入り600円。
注文はキリスト教書店かEHC(TEL0426・43・0881、FAX0426・43・1119)へ。
グラフ上:厚生省発表の自殺死亡統計、グラフ下:年齢・原因・動機別自殺死亡者数(警察庁統計)

<論説>「和解の福音」再確認 記・片岡 信光

今年6月27日から30日に沖縄で開催される第4回日本伝道会議まで、残り半年を切った。
「21世紀の日本を担う教会の伝道―和解の福音とともに生きる」というテーマに、会議を準備する人々の大きな意気込みを感じ、それが深められるように願っている。
参加を申し込む人の出足も好調であると聞き、期待の大きさを見るように思う。
すでに配布されている「基本理念およびテーマ」には、この会議の柱となる問題意識が明確にされており、福音宣教の本質と内容を確認した上で、現状を踏まえ、課題に取り組もうとする姿勢を読みとることができる。
さらに、参加者が36のグループに分かれて討議する、シンポジウム・分科会では、テーマに沿った具体的な課題が広範囲に取りあげられている。
短期間の会議なので、各分科会で出されることを、その中でどのようにまとめるのか、また、その成果を、それぞれの教会にどのように取り入れるのかということをよく考えておく必要があるだろう。
そのようなことを覚えながら、今回の会議にとりわけ期待したいのは、テーマの副題にある、「和解の福音とともに生きる」が本格的に取り組まれることである。 神との和解は私たちの歩みにどうかかわるか この副題自体にもさまざまな期待が込められているようであるが、まずは、和解の福音そのものをもう一度言葉化し、一人一人の参加者が和解の福音のメッセージを自らのうちで再確認する作業が大切であると思う。
別言すれば、神との敵対関係にあった私たちが、キリストにより神との和解関係に入れられていることが、今の私たちの歩みにどのようにかかわり展開しているのかを吟味することである。
私たち一人一人は、キリストの死により罪が赦され、神との和解が与えられ、その結果、神との交わりが回復されたのである。
それはキリストを受け入れ信じたときに与えられる契約関係であるが、個々の歩みにおいては、聖化される歩みをたどるうちに経験していくことでもある。
その神との交わりの回復を経験する、旅路の途上にある私たちに、和解の福音のメッセージが託されている。
私たちが、まだ福音を知らない人に神との和解を勧める力も、同じキリストを信じる者でありながら交わりをもたないできた人たちとの和解を進める力も、和解の福音そのものからくるのである。
もちろん、このことは各教会、各個人レベルでなされるべき事柄であろう。
しかし、そこにとどまらず、外へ向けての拡大や今後の活動が注目されるこのような会議においてこそ、話し合いを成り立たせる土台である「和解の福音」のメッセージそのものについて確認する必要をおぼえる。
このように広い範囲から各教会の代表が集まる場において、前提として自明のこととされやすいそのことに光を当て、そこから出発することは極めて大切である。
聖書講解の担当者をはじめ、基調講演、シンポジウム、特別セミナーの発題者が、そのことから始めた展開をすることを期待したい。
それにより、会議の目指すことが、各教会、個人と、接点をもち、より根を下ろすものになることと思う。 福音主義の土台と出発点 和解という言葉ほど福音を的確に表現している言葉はない。
今世紀初頭、福音派、福音主義が標榜され始めたとき、聖書がどのような書物であるか、から始まり福音のメッセージそのものが吟味された。
しかし、いつの間にか、これらの言葉が、自らの拠り所を確認させるものであることを忘れ、対外的に他の団体や事柄を意識するための言葉になってはいないだろうか。
新しい世紀を迎える年において、私たちはますます多くの事柄に取り組む必要があるだろう。
そのためには、土台と出発点を確認し、足元を固めることが大切である。
文字通り、和解の福音に生きる者でありたい。
(記・片岡 信光)

牧師で代議士−−土肥隆一さんが「なぜ」に答えるパンフレットを作成

牧師であり、国会議員である。
そのような肩書を持つ土肥隆一さんが昨年末、「傷ついた葦(あし)を折ることなく」というタイトルの小冊子を発行した。
土肥さんはしばしば牧師兼政治家であることの理由を聞かれる。
以前は多忙もあって適当に答えていたが、今回の冊子は「その問いに答える身分証明のため」。
また、読んだ人々の励ましになることも願っているという。
冊子は手帳サイズ40ページ余りで、開くと「日本キリスト教団・和田山地の塩伝道所牧師」と「衆議院議員」の肩書と共に、タイトルの出典であるイザヤ書42章3節が目に入る。
その意図を解説し、「人々をどう見るかが、政治家の資質のすべてである。
人は、すべて傷ついた弱い葦である。
『彼』は、それを手折ることを許されない。
これは、私の第一の戒律と思っている」と述べる。
信仰者としての生き方を基本にして肩書、既成概念や利害関係に捕らわれることなく、一人の人間を大切にする視点を明らかにしている。
内容は、自らの救いの「証し」から、30年ほど前の神戸・垂水での開拓伝道時代に喫茶店伝道をしたエピソード、神戸選出のクリスチャン国会議員だった河上民雄さんの秘書を務めて政治にふれたいきさつ、精神障害者施設の設立や80年代からの「在宅福祉」の活動、そして国政に出て十年、「日韓キリスト教議員連盟」を設立し両国の友好関係をキリスト教の視点で考えることに務めている最近の活動などが書かれている。
「最近は政財界の中で、祈り会や伝道が活発化している。
その中でもこのパンフレットが用いられたらうれしい」と土肥さんは話している。
問い合わせはTEL078・736・4440、土肥隆一事務所へ。