[CSD]2009年8月2日号《ヘッドライン》

[CSD]2009年8月2日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎シンポ地方伝道 佐渡で初開催——教会閉鎖統合の中 離島伝道の志継いで

 = 2 面 ニュース =
★新潟中越沖地震から2年 今年も再起礼拝を開催——全壊教会再建まで続ける
★バプテスト同盟:按手礼について20年ぶりに改訂——執行主体を教会に移行
★バラ宣教師のひ孫も祝辞——宣教150周年記念晩餐会
★<落ち穂>フランシスコ・ザビエルの苦闘と愛を描いたDVD作品

 = 3 面 教界ニュース =
★第10回シンポジウム「地方伝道を考える」より[1]:伝道協力ボランティを送れないか
★教会あるのは有人離島の5%不だけ——過疎地平均上回る離島の老齢化、人口減
★中国・四川地震での再建活動——教会ボランティア拡大
★<オピニオン>宣教150年に欠けているもの 記・矢島 徹郎

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★経営の規準は聖書にあり——北條 浩司さん[上]([株]近江屋呉服店代表取締役)
★<未来を拓くNPO>[6]深く根を下ろしたキリスト教系NPO 記・島田 恒

 = 5 面 牧会/神学/社会=
★第5回 日本伝道会議の論点[8]日本文化と宣教——日本人の心に響き、魂に届く福音宣教とは
★<精神障害と教会>[56]和解の時代——病気の回復を求めている  記・向谷地 生良

 = 6・7 面 特集/日本プロテスタント宣教150周年記念大会[2] =
★「主にあって一つ」演出——ダンス&クワイアチームなどフェスティバルに出演
★「イエス様、めっちゃいい人や」——テコンドーの岡本依子さんも証し
★基調講演:「神の言葉、説教に集中」——加藤常昭氏
★基調講演:「主にある人格教育を」——湊 晶子氏
★海外からのゲストの祝辞

 = 8 面 全面広告=
☆信徒伝道者の養成をめざす 超教派「日本福音学校」
2009年秋季学生募集 本部:Tel.03-3359-9539 Fax.03-3359-5791
新宿校(普通科・研究科・教会音楽科)、千葉校(信徒研修講座)

 = 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★MOVE:「セントアンナの奇跡」—奇跡はいつも「温かい」(TOHOシネマズシャンテほかで7月25日から公開)
★CD:「NEXT LEVEL WORSHIP」—最新のヒルソングを日本語で(JESUS LIFEHOUSE、1,500円税込)
★REVIEW:『生きるための教育——教育人間学とキリスト教』東方敬信著(教文館、1,890円税込)評・岩上祝仁

 = 10 面 関西だより =
◎協力から連合へ 日韓関係強固に——クリスチャン新聞ソウル支局10月開設へ記念セミナーと宣教大会
★F・グラハムフェス10月開催前の信徒大会——W・グラハム氏「キリストのため勇気もて」
★プロテスタント宣教100年記念に建った教会堂が50周年記念式——奈良の日基教団・大和キリスト教会

 = 11 面 クリスチャンライフ =
◎戦争の記憶、今に伝えたい——東京・新宿で写真展「過ぎ去りゆく時 ひろしま~被爆建造物のいま~」8月1日-11日まで
★映画「妻の貌(かお)」——夫婦だから伝えられる真実(渋谷・ユーロスペースほかで7月25日より公開)
★<痛みに中に生きる>[7]団塊編 子どもの問題は家庭の問題——悩みの解決、キリストの出会いを

 = 12 面 ひと=
★20年、真っ黒な足を洗い続けて——阿部春代さん(好善社タイ派遣看護師)

◎シンポ地方伝道 佐渡で初開催−−教会閉鎖統合の中 離島伝道の志継いで=0908020101

 地方教会が衰退枯渇していることに危機感をもち北関東神学研修センター(山口勝政所長)が「自立と連帯」を掲げて毎年続けてきたシンポジウム「地方伝道を考える」が第10回を迎え、7月13、14両日、新潟県佐渡市で開かれた。離島で同シンポジウムを開催したのは初めて。佐渡と新潟県内の教会の牧師らが発題とパネルディスカッションをし、過疎地の平均にも増して条件の厳しい離島の実情にふれつつ、地方の視点から提言をした。

 会場は佐渡市相川町の日本ホーリネス教団相川キリスト教会。同教会の小野弘牧師は、学びの機会を求めて過去2回、このシンポに参加、同氏の招請により佐渡での開催が実現した。同教団信越教区には佐渡を入れて2県に4教会しかない。交わりをもち学ぶ機会がもっとほしいという小野氏の願いは、地方教会がさらされる孤立的状況の反映とも言えよう。
 会場の相川キリスト教会は、「このシンポジウムにふさわしい、象徴的な教会」とコーディネーターの山口勝政氏が紹介した。地方教会の閉鎖統合が進む中で、同教会はかつて日本基督教団の教会だったが、島内に3か所あった教会を中央の1か所に統合し空き家になっていたのを、12年前郷里伝道に戻った小野牧師夫妻が借り受けた。人口6万5千人と最盛期から半減した佐渡市に、この2教会と、日本同盟基督教団佐渡金井キリスト教会を合わせて計3教会がある。
 開会礼拝では金井教会の原山康伸牧師が説教。原山氏は茨城県東海村と奈良での牧会を経て、「若い頃から最後の奉仕は地方で」と思いを定めていた通り06年、佐渡に赴任した。しかし海に隔てられた島の暮らしを初めて経験して、「孤立する危険がある」と感じ、意識して同盟基督教団の新潟山形宣教区(11教会)の交わりに出かけて行くという。だが、海を越えて対岸の新潟に行き来するだけでかなりの費用がかかる現実もある。
 原山氏は、1950年代から7組の宣教師が佐渡に入って全島伝道をした経緯を紹介。69年に日本人牧師に継承され、80年代以降3つの伝道所を合併し自給教会への道が開かれた。マタイ9・35に「イエスはすべての町や村を巡って…御国の福音を宣べ伝え…」とあるように、原山氏は島内の海沿いや山沿いの道をたどり、「聖霊が福音の証しを点から線へ、線から面へと展開させて下さることを祈りつつ」点在する集落にトラクトを配った。教会の信徒たちも礼拝後は2、3人ずつ、伝道チラシと教会案内を手渡しに出かける。
 「水の上にパンを投げるような働きかもしれないが、収穫の主により頼んでいます。次世代への信仰継承が急務ですが、トキが再び自然放鳥されたように、一度失われたものが回復されていく夢があります」

 小野氏は佐渡伝道の歴史を発表した。東京の教会で牧会していたが、妻タキ子さんの郷里での開拓伝道を志して相川に来た。郷土の歴史を調べ、相川では明治時代からすでに熱心な布教が行われていたこと、江戸時代には100人以上のキリシタンがこの地で殉教していたことを知った。荒波や断崖絶壁に阻まれた農漁村の閉鎖性と共に、金鉱を求めて貧者、富者、武士、無宿人が集まる鉱山都市だった一面がある。また他の離島と同じく「流人」の歴史もある。
 迫害下のカトリック教徒らが弱さの中で互いに励まし合っていたであろうことに、小野氏は共感を覚えるという。だがその流れをくむ相川のカトリック教会と保育園は数年前に撤退し、今は墓地だけが残る。プロテスタントの相川教会が「復活」したことに、小野氏は教会史に連なる摂理のようなものを感じるという。以前あった日本基督教団相川教会は、植村正久の影響を受け、伝道会社が外から支援していた。
 「私たちが13年間持ちこたえられたのも個人的に祈って献金して下さる方々に支えられている。同盟基督教団の牧師の中には故郷への強い愛着で佐渡の伝道を支えようと呼びかける佐渡人会もある」と、島の伝道が有志的な結びつきに支えられていることを述べた。
 山口氏は「聖書を見ると、小さな個人のわざが大きく教会を動かしてきた。そういうことを忘れてはならない」と語った。

◎協力から連合へ 日韓関係強固に−−クリスチャン新聞ソウル支局10月開設へ記念セミナーと宣教大会=0

 創立60周年を迎えたいのちのことば社は、10月にジャーナル出版事業部・クリスチャン新聞ソウル支局を開設することになった。約3万人の在韓日本人のための日本語文書伝道を推進すると共に、日・韓の教会が連合して宣教を展開していく。この新たなチャレンジを記念して、7月21日大阪市中央区のVIP関西センターで、日・韓宣教セミナーと日・韓宣教大会を開催した。
 第1部のセミナーでは両国の牧師、宣教師によるパネルディスカッションを行った。それぞれの発題テーマは次の通り。鈴木義明牧師(上田福音自由教会)は「長野における日韓協力の1事例—地方教会と地域大学留学生派遣青年宣教について」。ダニエル朴宣教師(日本ビジョン教会)は「ネヘミヤムーブメントの現状報告」。具元俊宣教師(福岡福音センター代表)は「日本伝道のための一つの戦略提案」。金興奎牧師(在韓日本人めぐみチャペル)は「在韓日本人めぐみ教会の実践とビジョン」。孫斉賢ソウル支局長は「ソウル支局開設の意義」。
 個々の活動を通して、これからの宣教協力のあり方を示唆した。今後ソウル支局の働きが「日韓の協力関係」から、キリストにあってより深く強固な繋がりの上に「連合関係」を築いていく働きとなると、期待する声も上がった。
 セミナー後の講演は「いのちありがとうの会」会長の堀越暢治牧師が、「提言=日本宣教の突破口—宣教のカテーテル法」をテーマに語った。「永遠のいのち」の「いのち」を接点にした宣教に日本宣教の可能性があることを図式化して説き、その明解さに韓国からの参加者も瞠目していた。 2部の宣教大会では、来日中の韓国CCCの賛美チームが流暢な日本語で歌って会場を盛り上げ、最近韓国でCDを制作発売した向日かおりさんが2か国語の賛美を響かせ、会場をひとつにまとめ上げた。来賓挨拶では松沢力男大阪宣教祈祷会実行委員長、山口登久近畿福音放送伝道協力会実行委員長、梅津善一インターナショナルVIPクラブ大阪会長が、ソウル支局の開設を祝福した。
 メッセージには桂山中央教会元老牧師の崔世雄牧師が立った。近年日本宣教に重荷をもち、毎朝5時に起きて日本のために祈っているという崔牧師は「日本で伝道が進まないのは日本のクリスチャンが伝道しないから。100万のクリスチャンが伝道すれば、天国の扉が開く。100万のクリスチャンは少ないだろうか?イエス様には12弟子しかいなかった」と激励した。
 ソウル支局は日・韓が葛藤を超え、連携して宣教に乗り出す拠点となることを願っている。祈りと献金の支援を募っている(送金先=三菱東京UFJ銀行江古田支店・普通0030443「いのちのことば社在韓日本人伝道支援 代表 多胡元喜」)。セミナーと宣教大会の記録DVD(税込2千円)の申し込みは、クリスチャン新聞大阪支局Tel.06・6344 ・3802、Fax.06・6344・3803、URL: cs-osaka@wlpm.or.jp

◎戦争の記憶、今に伝えたい−−東京・新宿で写真展「過ぎ去りゆく時 ひろしま〜被爆建造物のいま〜」8月

 アジア・太平洋戦争敗戦から64年目のこの夏、戦争を振り返り、平和を覚えるために映画や展覧会などが開催されている。語り継ぐ体験者が年々減っている今、ドキュメントで伝える試みをしている作品を、2週にわたり紹介する。

 1945年8月6日、原爆投下の「あの時」から60年、「広島の街が歩んできた軌跡の一端を表したい」と、被爆建造物、モニュメントなどを背景にした写真を撮り続けている高塚陽一さん(日本キリスト教団相武台教会牧師)。8月1日(土)から11日(火)まで、東京・新宿区のコニカミノルタプラザ・ギャラリーCで「過ぎ去りゆく時 ひろしま~被爆建造物のいま~」展を開催中だ。
*  *
 「『ひろしま』の人たちのありのままを写し出すことで、あの日の記憶が日常化してしまっている現状を顕在化したい」と、展示のねらいを語る高塚さん。
 幼少の頃から写真が好きで、中学3年生の時には初個展を開き、モノクロ全紙の作品100点を展示した。大学生の時に受洗し、教会を通して写真家の児島昭雄氏と出会った。以後、児島氏に師事し、アシスタント・カメラマンとして本格的に学び始めた。
 「キリストを証しする表現」を求め、東京神学大学に入学。牧師となった。
 04年夏、広島を訪れた際に「伝えるべき広島の現状があると気づいた」と言う。05年8月には、「光と影の軌跡 ~60年目のひろしま~」展を開催し、平和公園や資料館など、被爆の記憶を残す様々な事柄、式典に関わる人たちの姿から被爆の歴史を継承しようとする同市民の「祈りにもにた想い」を写し出した。
 高塚さんがテーマ中であえて「ひろしま」というひらがな表記を選んでいることにも、理由がある。「『広島』という漢字表記には行政的な意味合い、また『ヒロシマ』というカタカナ表記には、平和を象徴する平和都市としての意味合いを感じる。そこで、『ひろしま』というひらがな表記に、今の広島に生きる人たちのありのままの姿を表現したかった」と言う。
 「45年8月の『あの時』にささげられた膨大な命の犠牲、私たちの過ちを、私たちは決して忘れてはならない。この写真展が、私たちの心を見つめ直す1つのきっかけとなればうれしい」と語った。