[CSD]2010年2月7日号《ヘッドライン》

[CSD]2010年2月7日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎日本生まれのゴスペルで「God Bless You」伝道プロジェクト——日・英・韓・中の各国語で「世界に届けよう」神の祝福を

 = 2 面 ニュース=
◎卞在昌(ビョン・ジェーチャン)宣教師を準強姦容疑で逮捕——民事訴訟経て刑事事件捜査へ
★ハイチ震災:衛生支援が柱——WVJ現地派遣スタッフ報告
★米国:ハイチ大地震は「悪魔と協定したハイチの責任」——P・ロバートソンTV伝道者の問題発言に波紋
★ホーリネス:交通事故で逮捕の牧師の停職6か月戒規を満了——刑事処分は不起訴に
★<落ち穂>エジンバラ宣教会議から100年

 = 3 面 =
★<ネパール宣教の夜明け>[3]祈りと賛美、信徒の証しが宣教の力に 記・鳥羽季義
◎教会が社会から信用されるために——第1回アドミニストレーター研修会開く
★日本伝道会議プロジャクト「地方伝道」報告書を発行
★<オピニオン>「足利事件」再審に正義の回復を 記・根田 祥一

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★岸本 茂雄さん[下](伊藤忠総務サービス[株]取締役)——「脱出の道」が備えられた
★<働く人の境界線>[2]情報伝達は共通のゴールの確認から 記・中村佐知

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『人は必ず、やり直せる』進藤龍也著(中経出版、1,365円税込)
★BOOK:『ファイアーストーム 決断する愛~夫婦の危機を救う40日プラン』スティーブン・ケンドリックほか共著(ホームスクーリング・ビジョン、1,680円税込)
★REVIEW:『求道者の旅』ケネス・J・デール著(LITHON、2,100円税込)評・守部喜雅

 = 6・7 面 対談/ビジネスパーソン伝道 =
★一人が変われば世界が変わる——中野雄一郎 vs 市川和夫

 = 8・9 面 2・11特集 =
★いま公教育の現場で何が起こっているのか——命令と処罰で縛る「踏み絵」の季節 記・木村葉子
★<資料>2003年「10・23通達」と「実施指針」
★教師らと共に祈り合い、共に支え合おう——聖公会東京教区主催に教派超えて参集
★2・11関連集会情報
★「日の丸・君が代」強制問題をホームページで動向チェック

 = 10 面 教会学校 =
★平日CS 教会との接点を増やそう——アッセンブリー・神居キリスト教会丘の上チャペル
★<CSもうひと味>今春のCS教師研修会?——アイデア補充のチャンス

 = 11 面 クリスチャンライフ =
★ハンセン病隔離から100年を超えて[4]——色眼鏡でない関わり 差別を超える鍵に
★土の生命 キャンバスに——日本で個展開いた韓国の抽象画家・柳 淑子さん

 = 12 面 教会 =
★長野全域に福音届けたい——日本キリスト教会信州教会



◎日本生まれのゴスペルで「God Bless You」伝道プロジェクト−−日・英・韓・中の各国語で「

 真っ赤なハート型の風船やポスター、同じデザインのCDが店頭に山積み—各地のキリスト教書店が年明けから華やいでいる。いのちのことば社ライフ・クリエイションが2010年の一大伝道計画として開始した「God Bless You」プロジェクト。日本発のゴスペルソングを各国語で普及させ、「神の祝福をあなたに」というメッセージを世界に届ける伝道を目指している。

 発案したのはライフ・クリエイションのエグゼクティブプロデューサー礒川道夫さん。日本では12年連続で年間の自殺者が3万人を超え、世界中で暗いニュースばかりが伝えられる中で、多くの人に愛されているゴスペルソング「God Bless You」なら、自然なかたちで「神の恵み」という本当の祝福があることを伝えられるのでは、と思いたった。
 「かつて80年代に、アフリカの飢餓と貧困を救おうと欧米の著名なアーティストたちが参加して『We Are The World』という曲を歌ったビデオやDVDが世界中の人の共感を呼び、大きなチャリティーキャンペーンになったことがあった。韓国のゴスペルソング『きみは愛されるため生まれた』は日本語になって多くの人を感動させている。『God Bless You』は、世界中で愛され歌われるゴスペルになるのではないかと思いついたのです」
 この曲には、「神様はあなたと一緒にいて支えて下さる」ことを伝えたいと願いを込めた誕生のいきさつがある。十数年前、単立・ミッションエイド・クリスチャン・フェローシップ牧師の関根一夫さんが、80代の教会員、金子満さんから、「この年になっていろいろ心配事もあるんです」と聞かされ、人生の大先輩に何もできないがせめて祈ろうと、「神様が支えて下さいますように」と祈った。「神様が一緒にいて守って下さることをお伝えするだけでも、何か支えになるのかなと思ったのです。その時、信仰を励ます歌や神様をほめたたえる歌はたくさんあるが、神様の祝福があるようにという歌は案外ないと気づいたのです」
 そこから「God Bless You 神のみ恵みが 豊かにあなたの上に 注がれますように…」という詞が生まれた。当時、一緒に・普段着の賛美・作りをしていたシンガーソングライター岩渕まことさんに詞を送り、静かで、やがて広がりがある、親しみやすいメロディーが生まれた。初演は、その頃ちょうど急死した金子さんの葬儀だった。
 今回制作したCDでは岩渕まこと・由美子夫妻、神山みさ、国分友里恵、塩谷達也・美和夫妻、陣内大蔵、田中雪子、久米小百合ら、活躍中のアーティストが日本語版に参加。英語版をニューホープオアフのワーシップリーダーでシンガーソングライターのレイア・コリンズ、韓国語版を韓国を代表するゴスペルシンガーのイム・ミジョン、中国語版を台湾のCCMアーティスト、シャオシャオが歌う(敬称略)。
 それら全バージョンを収録したCDが1,260円、それに、曲ができるまでのエピソードのインタビューやレコーディング風景のメイキング映像DVDが付いたスペシャルバージョンが2,310円。岩渕夫妻の長女が幼くしてがんで亡くなったこともあり、売り上げの一部を財団法人がんの子供を守る会に寄付する。
 プロジェクトでは、バレンタインデー向けにチョコレート付きのものや、CDと組み合わせてプレゼントに使える「God Bless You」の文字の入ったタオルやアクセサリー類、ティー小物セットなども製作した。また、この曲の入ったミニCD付きの関根一夫牧師によるメッセージトラクト(105円)も製作。年齢や居住地の都合などで自分ではトラクトを配りに行けないが、郷里などにこのCD付きトラクトを配ってほしいという人から献金を募り、配布できる教会に願いを取り次いで配ってもらう「トラクト配布代行」も開始、このCD付きトラクトで50万人に神の祝福を届けよう、と呼びかけている。
 詳しくは公式ホームページhttp://www.gospeltv.jp/gby/ またはTel.03・5341・6927、ライフ・クリエイションまで。
 ライフ・クリエイションによると、CD「God Bless You」は、1月15日発売(一部店舗では先行発売)から10日余りで約千400枚が売れた。これは年間千枚売れればいい方という最近の動向の中で、異例のことだという。
 兵庫県加古川市の単立・しおんゴスペルチャーチでは、まとめて150枚を購入した。15か所で開催しているゴスペル教室で勧めるという。
 同教会の藤田法恵牧師は「生徒のほとんどはクリスチャンではありませんが、みんな大好きな曲。これまでも歌ってきましたが、英語や韓国語が入ったCDなので、聴いてバージョンアップしようと購入しました。落ち込んでいる人にプレゼントしたいと、1人で何枚も買った人もいます」と話している。

◎卞在昌(ビョン・ジェーチャン)宣教師を準強姦容疑で逮捕−−民事訴訟経て刑事事件捜査へ=1002

 宗教法人小牧者訓練会(国際福音キリスト教会=本部・つくば市)代表の卞在昌宣教師(61)が、女性信者を抵抗できない状態にしてわいせつ行為をしたとして、1月28日、準強姦容疑で茨城県警つくば中央署に逮捕された。昨年2月、他教派の牧師らや元国際福音キリスト教会信徒らが、卞牧師に「性的不祥事」の悔い改めを迫る声明を発表して明らかになった問題は、被害女性らによる民事提訴を経て、刑事事件の捜査で実態に迫る。

 逮捕容疑は、2007年2月頃、同教会の施設内で20代の元女性信者に乱暴した疑い。卞容疑者は容疑を否認している。被害女性らは、支援者によると、卞容疑者逮捕を受け、「指導者として事実をきちんと語り、罪を償ってほしい」「教団に残っている友人たちが、かつての自分と同じように精神的に縛られているのではないか。早く気づいてほしい」などと話しているという。係属中の民事訴訟で卞被告は、加害事実を全面的に否認している。
 国際福音キリスト教会は「逮捕は『虚偽の申告』に基づく一方的なもの」だとして抗議している。
 同教会の脱会者を中心に、被害の回復を目的とする裁判を支援している「モルデカイの会」(加藤光一代表)は、卞容疑者逮捕を受けて同日、つくば市内で緊急記者会見を開き、「不祥事に気づくのが遅れたために、被害を拡大し、被害を受けた方々の救済や権利の回復が遅れたことや、この事件でみなさまにご迷惑、ご心配をおかけしたことに対して、申し訳なく思っております」などとする声明文を発表した。
 同会は、国際福音キリスト教会に属していた元教職と関連会社従業員ら4人の女性が性的自己決定権を侵害されたとして卞牧師や教団、関連会社を相手取り1人約1千万円の損害賠償を求めた「セクハラ裁判」や、同教会の元男性教職が上位教職者と卞牧師から繰り返し陰湿な嫌がらせを受け、自律神経失調症や統合失調症を発症したとして、両者と教団を相手取り約2千万円の損害賠償を求めた「パワハラ裁判」を支援してきた。
 声明では、これらの事件に共通する問題点として以下の3点を挙げ、事件発生の背景と原理が共通すると指摘した。・主任牧師である卞在昌宣教師が、自らを霊的指導者であるとしてその絶対的権威を説く権威主義的な教会政治によって、被害者らが主任牧師や上位教職者には絶対に服従しなければならない、その失敗も絶対に責めてはならないと信じ込まされたこと。・その絶対的権威を利用して主任牧師や上位教職者が不法行為を行ったこと。・主任牧師や上位教職者を責めること自体が罪であると被害者に信じ込ませ、逆に、教会内部において訴える者を非難する風土を醸成し、これらの被害事実を隠蔽してきたこと。 
 同声明は「今回の逮捕を契機として、司直の手を通して事件の真相とともに、事件を起こした宗教法人小牧者訓練会・国際福音キリスト教会自身の内包する問題点も明らかにされることを望む」として、卞宣教師の犯した罪が明らかにされた時には、心底からの謝罪と、日本の法律に従った償いを求めると表明した。
 また同会は、同種の被害を受けながらそれに気づかず、いまだに教団内部に残留している人たちもいると見て、その人々が卞容疑者逮捕により事態に気づいて教団を離脱するケースもあると予想し、そのケアも重視する。加藤代表は、「(教団が指導者の罪に)気づいて自浄能力を発揮してほしいと願ったが、自浄能力はなかった。勇気を出して被害を訴えた女性たちを支えていきたい」。
 元国際福音キリスト教会の副牧師で04年に離脱した坂本兵部氏(現・東京サラン教会牧師)は、卞容疑者の手口について「神が立てた指導者を重んじなさいと教え、自分の権威を認めるかということを常に試す。奥間に連れて行かれ、従順テストと称していろんなことを求められる。要求を拒むと、従順に従っていないと言われる」と説明。「すべてを捨てて卞に従うことが神に従うことだと思い込まされるので、抵抗できず、誰にも被害を話せない。私も卞宣教師のやり方に問題を感じたが、これほどひどい被害が起きているとは気づかなかった」という。民事提訴した女性らの被害は02年から08年に及ぶ。
 声明はさらに、「日本国内の一部のキリスト教会には同種の問題が内在し、そのために苦しんでいる方々がいる」とも言及。「今回の事件の解明が、それらの教会に対して警鐘を鳴らし、被害を受けている方々の救出に役立つことを期待しています」と述べた。
 グループ全体で最盛期500人以上いた同教会は、すでに約3分の2が離脱したと見られている。

◎教会が社会から信用されるために−−第1回アドミニストレーター研修会開く=1002070302

 教会が適正、明瞭な実務を行い社会からも信用されるため、法務、税務、会計実務、労務の専門家を招き、諸教会、諸伝道団体の実務担当者、その統括責任者(アドミニストレーター)を対象にした「第1回アドミニストレーター研修会」(OCCアドミニストレーター支援機構委員会主催)が1月13日、東京・千代田区神田駿河台のお茶の水クリスチャン・センター(OCC)で開催された。
 きっかけは、OCC理事の楠田高久(国際ナビゲーター代表)、OCC宣教研究委員の山崎龍一(キリスト者学生会〔KGK〕総主事代行・事務局長)両氏が08年、米バージニア州ウィンチェスターにある福音的財務監査機関「ECFA」事務所を訪問したこと。楠田、山崎両氏は「ECFAのような教会や伝道団体を陰で支える専門の実務担当者を育成し支援する組織が日本にも必要」と実感し、OCCの協力を得て昨年、同支援機構委員会発足。第1回目の研修会開催の運びとなった。
 同研修会では、佐藤丈史氏(五宝商事代表取締役、行政書士)が法人事務、後藤隆氏(後藤税理士事務所代表)が税務、足達裕昭氏(足立税理士事務所代表)が会計事務、井上英治氏(井上社会保険労務士事務所代表)が労務の分科会を担当。佐藤氏は、「宗教法人の適正な事務は、宗教界の中にあってキリスト教界の良い証しになる。このような動きがキリスト教界の中から自発的に出てきたことはうれしいことだ」とし、宗教法人の最近の動向について語った。
 まず、「文化庁が今いちばん力を入れて取り組んでいるのが不活動宗教法人の整理」。不活動宗教法人は、代表者がいない場合、責任役員がいない場合、信徒がおらず、礼拝施設が2年以上ないもので、約4千法人あり、ほとんどが神社、お寺だが、それらは暴力団、観光業者、不動産業者などに売られ、悪用されているという。「マスコミも面白おかしく取り上げる。そうなると、一生懸命やっている宗教法人に対する認証業務の締め付けが厳しくなる」と危惧した。
 08年、「従来の社団法人・財団法人は13年までに一般社団法人・一般財団法人、あるいは公益社団法人・公益財団法人のいずれかに移行しなければならない」という公益法人制度改革関連三法が施行され、「今、キリスト教関係の社団法人、財団法人はどうするか検討している」状況にも触れた。
 後藤氏は、海外でも日本国内でも収益を上げている人が、円高ドル安時のタイミングを使って海外から日本に送金したのがきっかけで、国内での収入の20%を国税として課税された例を挙げた。「税務署は大きなお金の動きをチェックする。国外でも収益があると分かった場合、非居住者と判定され、より多くの税をとられる場合がある。今後ますます国際間のお金の流れが激しくなるので、海外で収入を得た方は注意が必要」と述べた。
 足達氏は、複式簿記について説明。「会社法431条に株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従い、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない、としている。複式簿記を使わないと、正しい確かな帳簿は作成できないのが基本。私たちの教会、伝道団体が、世間にお見せできるぐらいの恥ずかしくない会計ができているか? そのためにきっちり帳簿をつけることだ」と語った。
 井上氏は、職員が新型インフルエンザにかかったり、大地震が発生した時、職員が裁判員に選ばれ仕事を休まなければならなくなった時に、事業体があらかじめ規定なり届け出の仕組みを作っておくと慌てないと語った。
 また、事業体は「労働時間の管理、過労死を防ぐための健康管理と安全配慮義務、賠償責任があることを説明。パートタイム労働法改正(08年)や労働基準法改正、育児・介護休業法改正(10年)などの法改正、雇用保険適用範囲拡大の方向性にもふれた。
 当日は、同研修会に50人が参加。1教会で8人の参加もあり、関心の高さをうかがわせた。同委員会では、今後もアドミニストレーターのための研修会、懇談会をしていく。