[CSD]2010年8月22日号《ヘッドライン》

[CSD]2010年8月22日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎子ども平和会議:争いのない世界って?——小学生たちが考えて、語り合った平和のこと
◎北朝鮮:地下教会を摘発 23人全員逮捕——即日3人に死刑判決・執行

 = 2 面 ニュース=
◎8・6ヒロシマ:核廃絶の願い 祈りに託して——在外被爆者 今なお援護に差
★8・6ヒロシマ:被爆証言 教会の次世代へ——「平和を追い求めて」証言者高齢化 願いひしひし
★アフガン:国際医療チーム10人射殺——タリバンは「スパイ、改宗活動」と非難声明
★<落ち穂>主は今 生きておられる

 = 3 面 =
★<竜馬をめぐる人々>[19]西郷隆盛の章:8——中村敬宇の思想的影響 記・守部喜雅
★永井隆博士の言葉「仕事は祈り」が指針——日本テレビ細川知正社長、VJP赤坂で語る
★米国:YMCAも「The Y」に省略化
★<オピニオン>頻発する幼児虐待事件に思う 記・瀬底ノリ子

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★中村 仁さん[上]([福]愛知三愛福祉会理事)——世界を飛び回る企業戦士から…
★<人生何とかなります>[11]神様のため働くチャンスがいっぱい 記・佐藤 敏

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★CD:「心に広がる名歌・名曲の世界23」サクソフォン演奏・岸 義紘(ホザナミュージック、2,000円税込)
★BOOK:『実を結ぶリーダーシップ』泉田 昭著(いのちのことば社、1,260円税込)
★BOOK:『明日へのかけ橋』小澤優子著(教文館、1,260円税込)
★REVIEW:『いま、平和への願い 語り継ぐべき戦争の記憶』いのちのことば社編集部編(同社、1,260円税込)評・宮崎 誉

 = 6・7 面 特集/地域宣教の課題を追って 岡山・広島 =
★近隣と仲良く「教会はバリアフリー」——日基教団・玉野教会
★声かけ見守り合い安心の町づくり——作東キリストの教会
★福音に根ざす地域密着の教育・福祉——同盟基督・西大寺キリスト教会
★父子2代、在韓被爆者に渡日治療施す——(医財)愛人会河村病院・河村譲院長
★牧会される方もする方も高齢——アライアンス・吉浦キリスト教会
★無料電話相談や教会デイサービスで悩みに応える——アライアンス・東城キリスト教会

 = 8・9 面 ビジネスパーソン伝道特集 =
★仕事が神のコーリング——FGBMFIジャパンの塚本賢一郎さん・コム・アンタコンさん
★月1回 社内で聖書の学び会——東京都足立区・弘和印刷(株)
★福音、語らずにはいられない——VIP西多摩の黒木 中さん・奥田英男さん

 = 10 面 教会学校 =
★つながりが実った3日間——長老教会・おゆみ野土気チャペル
★<CSもうひと味>子ども伝道セミナー&ユースライブ(9月10日・11日開催)

 = 11 面 クリスチャンライフ =
★「野球よりも大事なものがある」とM・マートン選手——本郷台キリスト教会ベースボール・クリニック
★子ども平和会議:体験して感じよう!——平和は一人じゃつくれない

 = 12 面 教会 =
★教会ができたら夏祭り復活——アッセンブリー・東京メトロチャーチ



◎子ども平和会議:争いのない世界って?−−小学生たちが考えて、語り合った平和のこと=10082201

 戦争ってどんなこと? 平和って何だろう? 言葉にすると難しく感じるけれど大切な問題。だからこそ子どもたちで話し合おうと、7月29日~8月2日まで東京・練馬区のカトリック徳田教会や神奈川県三浦市の三浦ふれあいの村を会場に「子ども平和会議2010」(日本キリスト教協議会=NCC、子ども平和会議実行委員会主催)が開かれた。小学5、6年の日本人、韓国人、在日ミャンマー人、在日韓国人など24人が参加した。

 同会議は約2年おきに開催。05年に広島、07年に韓国・ソウルで行われ、今回で3回目。NCC平和・核問題委員会では過去に親子で参加できる平和キャラバンを開催してきた。小学高学年に対象を絞ったのは、「平和問題について考え、意見が言える年齢。次世代の子どもたちがどうしたら平和の作り手になれるか、話し合う場を設けたいという願いがありました」と同実行委員長の平良愛香さん(日基教団・三・一教会牧師)は話す。今回のテーマは「あらそいをなくすには」。
 三浦ふれあいの村での1日目の夜、国籍をミックスしてグループ分けをして自分の国の好きなところ、嫌いなところを紹介し合った。初めて顔を合わせ、話の糸口がつかめずにいた子どもたちも、質問のやりとりから交流が生まれた。2日目の午前は、前日のディスカッションをもとに日本語、韓国語グループに分かれて、自分がどんなことを話したか、各国の課題などを発表した。日本語グループからは、「憲法9条がある」「自然が美しく食べ物がおいしい」一方、「政治が不安定、無関心」などの課題も。ミャンマーについては「12部族が一緒に生活し、仲良しだが、生活が貧しい」などの意見が出た。また、韓国語グループからは「サッカーが強い、地域で伝統が異なるキムチ。ITが強い」が、「学校で体罰がある。南北分断がある」との意見が出た。
 お互いの国に興味津々で、「日本のことはどう思っているの?」「韓国のことは?」、「徴兵制ってどう思う?」など質問をぶつけた。日本、韓国のイメージは食べ物やスポーツ、文化を通してお互いに好印象を持っているようだが、徴兵制は日本にない制度のため「嫌って思わないの?」「嫌だけど国を守るのは男だから」。「女の子は彼氏が徴兵されたら待つの?」「待つと思うよ」など、本音が出る一幕も。
 午後は平良牧師が「沖縄の話」を、金迅野伝道師(在日大韓基督教会・川崎教会)が「在日問題や平和について」ワークショップを交えて話した(11面関連記事)。平良牧師自身、沖縄の宜野湾市普天間近くで育ち、米軍基地問題は生活の問題でもあった。普天間基地返還の運動が実り、96年に返還が決定したが、さらに強い基地を作る約束もされていた。「古い基地には爆弾の毒薬が染み込み、古くて汚いから返す、というのが米政府の要望で、代替地は辺野古が選ばれました」
 「新しい戦争の加害者になってはいけない」と切なる思いから立ち上がった市民らが「完全非暴力の基地反対座り込み」を始めた。「戦争は一番の暴力」だからだ。365日の座り込みは14年になる。「座り込みを続けている人が、『必ず勝つ方法がある。それは勝つまで続けることさ』と言いました。イエス様は『わたしはすでに世に勝っている』と言います。平和を実現する者は幸いであるというイエス様の言葉のように平和をつくり出す人になってほしい」と平良牧師は話を結んだ。
 今会議には第1回、第2回の参加者が高校生になり、ボランティアスタッフとして参加している。その一人、太田ひかりさん(高2)は「年を重ねて自分の考えも深まっているので毎回新鮮。とても貴重な体験で楽しい」と語る。また、参加した子どもたちは「戦争や平和について学校でも教会でも習っていない」子が大半だが、「知ってよかった。もっと知りたい。ほかの国の人と知り合いになれて楽しい」という声があちこちで聞こえた。
 頭と心と体を使って考えた「平和」はこの夏、子どもたちの忘れられない思い出となっただろう
 
 

◎北朝鮮:地下教会を摘発 23人全員逮捕−−即日3人に死刑判決・執行=1008220102

 【CJC=東京】カトリック系「アジア・ニュース」によると、北朝鮮の平安で5月中旬、地下キリスト教会が摘発され、秘密裏に集会を行っていた23人全員が逮捕された。「指導者」3人は尋問の結果死刑を宣告され、即座に執行されたという。他の20人は強制労働収容所に送られた。脱北者のグループも情報を確認した。
 5月は、貨幣制度改革の混乱期にあり、当局が締め付け強化を図っている中で、黄海北道平山郡クワルドンで警察が地下教会で集会を行っていたキリスト者23人を発見したもの。中国に仕事を求めて不法出国を図ったことが発覚につながったという。
 北朝鮮は、公式には平壌に、プロテスタント教会2か所、カトリック教会1か所、仏教寺院4か所があり、宗教の自由を認めているものの、実態は徹底的に宗教活動を抑圧している。

◎8・6ヒロシマ:核廃絶の願い 祈りに託して−−在外被爆者 今なお援護に差=1008220201

 原爆投下から65年目の8月6日、広島平和記念公園で開かれた平和祈念式に、米国のルース駐日大使や国連の潘基文事務総長が初めて参列するなど、核なき世界を目指す機運を映し出した。教会関係では戦後60年を機に日本キリスト教団広島西分区、カトリック広島司教区、広島市キリスト教会連盟が主催してきた「8・6キリスト者平和の祈り」が中区のカトリック記念聖堂で開かれた。

 「ざんげととりなしの祈り」を交唱し、原爆により命を奪われた人たちと家族、後遺障害の苦しみを覚えて、慰めと平安と癒しを祈願。強制連行により被爆した朝鮮半島出身者について責任を取らずにきた「わたしたち」の罪を告白し、「どうぞ主よ、わたしたち自身が自らの犯した罪を担い、謝罪と贖罪の道を歩むことができるように力を与え、導いてください」と赦しを願った。また在外被爆者を覚え、すべての被爆者が等しく援助を受けることができるように願い、こう祈った。「主よ、わたしたちは武力では平和を実現できないことを被爆の体験から痛感しています。けれども、わたしたちの国は今もなお、アメリカの核の傘の下でアメリカの武力に頼ろうとしています。主よ、被爆の実相を知っているわたしたちこそが、武力によらない平和を実現するために、与えられた使命を果たしていくことができますように」
 この日、菅直人首相は式典に出席後の記者会見で、核の傘は必要との見解を述べ批判を浴びた。
 祈りの後、証言者としてブラジル被爆者平和協会副会長でフリーメソジスト教会員の盆子原国彦さんが、「被爆者はどこにいても被爆者である」と題して在外被爆者の実情を話した。盆子原さんは広島で5歳の時に被爆。勤労動員で爆心地近くにいた母と姉を亡くした。至るところに黒こげの死体が転がる中を父と一緒に母と姉を捜し回った時の光景を、はっきり覚えているという。
 20歳で単身ブラジルへ移住。何年かして日本から医師団が来て被爆者を検診してくれると聞き、被爆者平和協会に加入した。日本に帰る体力がある患者が呼ばれて治療されたが、2か月後ブラジルに帰ってくると手当が打ち切られる。疑問を持って問い合わせると、日本を離れた被爆者は権利が失われるとする厚生省通達によることが分かった。「本当に過酷な通達で、多くの被爆者が援護を受けられずに死んでいきました。三十数回の裁判で少しずつ権利を勝ち取ってきました」
 その結果、年間16万円を限度に治療費が認められた。だが在外被爆者は治療費をまず自分で払い後で請求する仕組み。お金がないため治療を躊躇する人もいるという。ブラジルには135人の被爆者がいるが、制度を受けない人が40%ほどいる。
 「人道上許されないことを平然と行っている。被爆者援護法にのっとった援護が早く受けられるよう頑張っていきます。多くの方の支援と祈りに支えられてきました。これからも国難はあるでしょうが、私は神の御手の上で動かされている自分、神の愛をいつも感じています」。盆子原さんは証言をそう締めくくった。