[CSD]2010年9月12日号《ヘッドライン》

[CSD]2010年9月12日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎首都圏にある過疎地の問題——房総でシンポジウム地方伝道を考える
★「たいせつなきみ」人形劇で伝えたい——きみの価値と人の評価はイコールじゃないよ

 = 2 面 ニュース =
★「二つの翼カンファレンス」日本初公開——キム・ソンンゴン牧師「日本の教会に変化が必要」
★パキスタン洪水にWV救援——被害最大3州で保健ケア
★パキスタン:救援活動をタリバンが襲撃、死者も
★日基教団、NCCにACTが協力を要請
★<落ち穂>社会責任を教会像

 = 3 面 教界ニュース =
★<竜馬をめぐる人々>[22]勝海舟の章:2—— 記・守部喜雅
★明確な霊的体験なくして穴埋めの伝道方法論なし——日本伝道の幻を語る会
★<オピニオン>葬儀再考——心の機微に触れる形式 記・北 秀樹——

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★島田 恒さん[上](経営学博士)——経営学に永遠への哲学が
★BOOK:『非営利組織の経営』ピーター・ドラッガー著(ダイヤモンド社、1,890円税込)

 = 5 面 牧会/神学/社会=
★イエスは宣教において何を目指したのか[1]——リチャード・ボウカム博士特別講義より
★若い世代の中国人が読みやすい——新訳で日中対照新約聖書 発刊
★<精神障害と教会>[81]悪魔のささやき(2)——人から人へ広がる当事者研究

 = 6・7 面 全面広告=
☆私から始める、世界が変わる——10月16日は「世界食料デー」
☆JIFH 2010世界食料デー大会(10月16日~11月7日)

 = 8 面 全面広告=
☆信徒のための福音学校開校——大阪クリスチャンセンターにOCCカレッジ
問い合わせTel.06-6762-7701 Fax.06-6762-9885

 = 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★MOVIE:「彼女が消えた浜辺」——イスラエル女性の深層心理ミステリー(9月11よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか公開順次全国)公式サイト http://www.hamabe-movie.jp/
★BOOK:『二つの翼で飛び立つ 健全な教会』(東京インマヌエル教会、1,500円税込)
★REVIEW:『自殺者の遺族として生きる』G・ロイド・カーほか共著(新教出版社、2,100円税込)評・平山 正実

 = 10 面 関西だより =
◎暑く熱く聖霊の風吹く——JAYE公山さんら神社仏閣でゴスペルライブ
★奇跡の歌声が日韓をつなぐ——ベー・チェチョルさん10月に大阪公演
★親子で楽しめるマンガ・アニメ聖書展——神戸バイブル・ハウス秋季聖書特別展示
★イベント情報

 = 11 面 クリスチャンライフ =
◎突然の火事から 「つながり」で再建——就労支援事業所コイノニアが新店舗でオープン
★MOVIE:「冬の小鳥」——傷ついた心も何度でも羽ばたける(10月9日より岩波ホールにて公開)公式サイト http://fuyunokotori.com/

 = 12 面 ひと=
★Timさん(名護カルバリー・チャペル牧師、ハクガイジンのボーカル)——賛美の喜びで神の愛に会う

 = ?—? 面 別刷 クリスチャンライフガイド =
★若者は「偉くなりたくない」? 談・本田栄一さん(桜美林中学・高等学校校長)=1009121301=
★学生座談会:「偉い」ってどういうこと?——「目標にしたい」人の不在=1009121401=
☆キリスト教主義大学・学校 神学校案内



◎首都圏にある過疎地の問題−−房総でシンポジウム地方伝道を考える=1009120101

 過疎地で教会の無牧化や閉鎖が進むなか、地方伝道の問題を取り上げてきたシンポジウム「地方伝道を考える」(北関東神学研修センター主催)が、第11回の今年は房総半島に焦点を合わせて、8月23、24の両日、千葉県富津市の同盟基督・富津教会で開かれた。東京に隣接する千葉県にありながら、太平洋岸の外房、東京湾岸の内房の伝道は、過疎地特有の厳しさを抱えていることが、同地で伝道牧会する牧師らの経験から浮き彫りにされた。

 坂井栄一氏(社会福祉法人のぞみ会チャプレン)は、都内から富津へ赴任して初めて「地方伝道」を意識した。6割が同じ姓の地域に家を借り町内会に入った。役員名簿に寺のお金を集める係もある。「クリスチャンだからできませんと拒否するのもいいが、地域で受け入れられていくには、そのまま相手を受け入れること」と感じた。クリスチャンであることを鮮明にしながら地域の役目も引き受けたら、「大変すみません。関係ないのに」と町内の人たちが恐縮した。神社のお札を買いに行く係を断らなかった友人の牧師は、町内の人たちの方から「おかしい。これは町内会の仕事じゃない」と言われ、係は廃止されたという。
 富津教会の現会堂を建てたときは、「こんな所に教会をつくっても誰も来ない」と言われた。だが、同教会と単立・望みの門教会を生み出した「望みの門」はクリスチャンの福祉施設と皆が知っている。戦後まもなく、東京・千葉・神奈川の盛り場で働く女性たちを救出したミッドナイトミッションの婦人保護施設に始まり、身寄りのない高齢者の養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、知的障害者施設、児童養護施設と、時代の必要に応じて拡充してきた。「狭い意味での伝道では人は来てくれないが、『望みの門です』と言えばどこへでも入っていける。教勢は長い目で見る必要がある。大切なのは、牧師が地域の人々に人間として受け入れられ、信頼される人格をもつこと。地域で信頼される教会になり、他の宗教団体とは違うと一目置かれるようになりたい」と坂井氏は言う。
 「力をなくした過疎地で活性化を求める人は多い。よそ者であるからこそ新しい考えも出てくる。大切なのは、よそ者である牧師の発言を、地域の人々に聞いてもらえるか。その意味でも町内会などには親しく顔を出すべき。今までのように地域の祭りや葬儀を異教と切り捨てていいか」と問題提起。「人々に、自分たちの宗教はあるがキリスト教はやはりいい、と思わせることがまず先。教会に相談すれば何とかなる、と会員に言わせる教会でありたい」と結んだ。
 他の牧師たちの発題からも、地域での社会奉仕が地方伝道のカギであることが見えてきた。

◎暑く熱く聖霊の風吹く−−JAYE公山さんら神社仏閣でゴスペルライブ=1009121001

 ゴスペルシンガーJAYE公山さん率いるジェイズ・マス・クワイアと米・ケンタッキーのイマニ・バプテスト・シンガーズ、ブレンダ・ヴォーンさん、ピアノの吉弘知鶴子さんらによるホットな「ゴスペルコンサートin下鴨神社」、「ゴスペルプレイズin東大寺」が、暑さ厳しい京都市と奈良市で相次いで開かれた。
 8月29日の京都・下鴨神社のコンサートには、森に囲まれた幻想的な夜の境内を約600人の観客が埋めた。このコンサートでは、単立・京都グレースバイブルチャーチ、福音ペンテコステ・京都中央チャペル、単立・京都グローリーチャーチ、JEC・京都クリスチャンフェローシップセンターの4教会が協賛して地域へアピールしてきた。事務局の京都中央チャペルのスタッフは「地元の人から見れば驚くべきコンサートです。JAYEさんのビジョンと情熱に動かされました。大阪の人が立ち上がっているのに、私たちがじっとしているわけにはいかない。このことを通し、京都の教会の一致と、霊的な打ち破りを示されていると感じます」と、話した。
 30日に開かれた東大寺ライブについては、事務局のJEC・奈良福音教会の緒方賢一氏のレポートを紹介する。

 日本におけるキリスト教の歴史に新しい1ページが刻まれた。8月30日、奈良の東大寺大仏殿で、「平城遷都千300年祭ゴスペルプレイズin東大寺」と題し、同寺において歴史上初めてのゴスペルコンサートが行われた。詰めかけた約千500人の中には、若者の姿も多く見受けられた。
 奈良の諸教会に属する人たちと、公山氏が主催するゴスペル教室に参加する人たちで構成された「奈良フェローシップクワイヤー」を加えた総勢約60人の出演者が、大仏の基壇をステージに約45分間、吉弘知鶴子氏のピアノ伴奏に合わせて熱く賛美した。
 午後3時半、チャーチ・オブ・プレイズ(大阪府池田市)の牧師であるゲアス・ローレンス氏の英語による宣言で開演。「Oh Lord, We Give You Praise」を イマニ・バプテスト・シンガーズ のリードシンガー、タミーさんが「Jesus,We give You praise」と歌詞を変えて賛美を始めると拍手が起こり、一気に聖霊の風が吹き荒れた。ジェリコの戦いのごとく実際に角笛が吹かれる中、古の都にときの声が鳴り響いた。
 開催が危ぶまれるようなことも含め、準備の中では何度も戦いがあったという。一つひとつに主が勝利して下さり、ようやく迎えたこのゴスペルプレイズ。このために、今年2月より毎月1回、JEC・奈良福音教会のメンバーと公山氏らが大仏殿を1周ずつまわり、8月には7周したという。それだけに、関係者一人ひとりの感動と喜びはひとしおだった。
 テーマである「ダビデの幕屋を打ち立てる」という言葉通りに、熱い想いで唯一の神様に賛美をささげ、喜び踊った。その想いが大仏殿を埋め尽くす人たちにも飛び火し、涙を流し共に賛美する人、主の臨在を感じただ涙を流し祈る人が次々と起こされた。予定していた曲をすべて賛美し終えても、会衆はそこから動こうとせず、「アンコール!」の声が鳴り響いた。
初めてゴスペルを生で耳にしたというクリスチャンでないある人は、「なぜかわからないが涙があふれた」と公演後に自身のブログで綴っていた。
 リバイバルは日本と「縁遠いもの」ではなく、「いつか起こること」でもなく、まさに今すでに始まっている。神様が本気で愛しておられる日本に、聖霊の大波が押し寄せ、大風が吹いて来ている。それを確信させるコンサートであった。(緒方賢一=JEC・奈良福音教会ユースパスター)

◎突然の火事から 「つながり」で再建−−就労支援事業所コイノニアが新店舗でオープン=10091211

 一昨年末、突然の火事に見舞われ、徐々に再建を進めていた「就労支援事業所コイノニア」(佐原眞所長、東京都東久留米市、09年2月8日号既報)が9月10日、別に新店舗を取得し、新たなスタートを切った。

 「コイノニア」は、佐原さんが72年に創業した製菓・製パン業「株式会社メルヘン」を、知的障がい者就労支援の場として開放したことに始まる。やがて都の衛生局医療福祉部から委託され、精神障がい者の回復訓練の場として当事者を受け入れるようになった。「メルヘン」でパン・お菓子作りや、箱詰め、発送作業に携わるメンバーは次第に増え、07年にNPO法人格を取得するに至った。
 08年12月23日未明、突然のコンセントからの出火により、2階手前部分の事務所が焼失。1、2階奥の製菓・製パン工場部分も水浸しとなった。火災直後は、向かいにある佐原さんの兄が経営する文具店の2階を借り受け、新事務所と、ひとまずのメンバーの居場所に。「メンバーにとっては、通ってくることがまず第一。彼らの『居場所』になれる場が必要だったので、やめるわけにはいかなかった。再開できたのは感謝」と、佐原さんは振り返る。
 居場所の確保と共に、工場の復旧を急いだ。「ほかに老朽化している部分も見つかり、予想外の出費でしたが、各方面からの支援や励ましのおかげで支えられました」。支援団体「メルヘン・コイノニアを支える会」をはじめ、地域や多くの教会から支援金が寄せられた。また、聖公会・東京教区障害者関連活動連絡会も、バザーやコンサートなどのチャリティー活動を企画してくれた。
 09年6月、障害者自立支援法の法内移行を果たし、「共同作業所コイノニア」から「就労支援事業所コイノニア」に。同法が身体・知的・精神の3障がいを法的に一元化したことに伴い、精神障がい者のみならず、知的障がい者、高次脳機能障がいの人々も受け入れられるようになった。
 現在、お菓子作りは修復した建物で09年のイースターから再開しているが、9月10日から、佐原さんの兄から購入した文具店を改装し、新たにパン工房と店舗を開業する。同時に、通所者の定員を15人、増やす予定だ。「日常生活の居場所を求めている方々に、当事業所の特徴であるパン・菓子作り、販売に加わっていただき、ともに生きる喜びを感じていただければ。少しでも、豊かな人生を送ることができればと、心から願っています。地域の中で、キラリと光る店造りをしていきたい」と佐原さんは語った。

 支援は「メルヘン・コイノニアを支える会」=郵便振替00140・3・581862へ。
 「コイノニア」=〒203- 0033東京都東久留米市滝山5ノ1ノ16、Tel.042・470・9009。