[CSD]2011年3月13日号《ヘッドライン》

[CSD]2011年3月13日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎ニュージーランド地震:「笑顔で大丈夫と伝えたい」——日本人牧師が留学生ら支える
★イスラエル:1500年前の教会発掘——公開の財源なく保護のため埋められる

 = 2 面 ニュース=
◎ニュージーランド地震:「被災者、救助者に神が希望を!」——救世軍も損壊 祈りと救援活動続ける
★<逝去>ユーレラ・スプア氏(JSC宣教師、単立・高森キリスト教会=熊本県)——日本宣教60年 献身者30人生み出す
★米国:「大統領職で信仰深まる」——米国朝餐祈祷会でB・オバマ大統領
★日本聖書協会が南青山にバイブルハウス開店——国内外の聖書百数十点ほか絵本も
★<落ち穂>映画「大地の詩 留岡幸助物語」に込められたメッセージ

 = 3 面 =
★<竜馬をめぐる人々>[43]坂本直寛の章:1——自由民権運動の代弁に龍馬 記・守部喜雅
★ケープタウン2010報告[12]——殉教した夫のメモが物語る「キリストのための苦しみ」 記・清水 且
★<オピニオン>住基ネットをなぜ切断したか 記・関口 博

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★元呑 昭夫さん[上]([有]カラーランド研究所代表取締役)——東京の田舎者教会へ 記・清水 茂則
★<『もしドラ』教会編>[3]強みを総動員する?——教会の資源活かし実を結ぶことに専念 記・千葉雄志

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★EVENT:「フラ・グレイス フェスタ2011」日本初の賛美フラ祭典(4月12~14日、恵みシャレー軽井沢)
★BOOK:『グッドライフ』チョ・チャンイン著(小学館文庫、790円税込)
★REVIEW:『「バルメン宣言」を読む』朝岡 勝著(いのちのことば社、1,050円税込)評・上中 栄

 = 6-7 面 特集/福音車21ゴスペルボックス南西諸島巡回報告 =
★南の島へ福音積んで——奄美・沖縄・先島レポート

 = 8 面 教会学校 =
★海釣り大好き 教会にクラブ——バプ連盟・日本バプテスト伊集院キリスト教会
★CSもうひと味:今年も盛りだくさんの3日間——第22回ジョイジョイキャンプ2011

 = 9 面 クリスチャンライフ =
◎「誰もがキングメーカーになれる」——ビル・ウィルソン(メトロ・ミニストリーズ・インターナショナル代表)来日公演
★アメリカの愛されたゴスペル歌手ジョージ・ビバリー・シェー(102歳)にグラミー賞
★<また行きたい! 教会の魅力>[8]キーワード「リーダー」?——人を励ます存在になりたい!

 = 10 面 教会 =
★大海から世界臨む宣教を——フォースクエア・沖縄新生教会

 = 11-12 面 建築特集/文化としての教会 =
★「教会堂は信仰告白」——大岡山建築設計事務所 田淵諭さん
★「神様と親しく交わる空間に」——西村建築設計事務所 西村晴道さん

 = 12 面 =
★下町が愛する伝道の拠点——日本基督教団 根津教会
★BOOK:『文化財礼拝堂再生物語』鍋谷憲一編著(日本キリスト教団出版局、1,500円税込)



◎ニュージーランド地震:「笑顔で“大丈夫”と伝えたい」−−日本人牧師が留学生ら支える=1103130

 ニュージーランド南部のクライストチャーチ市付近で2月22日発生したマグニチュード6・3の強い地震で、同市中心部にある石造りの建物が多数倒壊し、多数の日本人留学生が生き埋めになるなど、被害が広がっている。地元警察当局は3月3日、同国南部カンタベリー地区で起きた地震の死者は161人と発表。今後、死者は200人を超える模様だ。市内に唯一ある日本人教会「クライストチャーチ・日本人クリスチャン・フェローシップ(クライストチャーチJCF)」の渋沢憲一牧師は現在、クライストチャーチ公立病院で、日本人被災者の通訳やカウンセリングのボランティアをしている。

 渋沢牧師は、地震が起きた時の様子をこう語った。「中心街から徒歩10分にある教会の3階オフィスで仕事中、激しい揺れを感じ、机上の棚から本や資料が落ち、コンピューターが壊れた。揺れが収まってから他のニュージーランドの牧師らと外に避難したが、街の中心部からは土煙がもうもうと立っており、泣き叫んでいる人もいた」
 渋沢牧師によると、市内の道路は波打ち、水道管が所々で破裂し、多くの場所で断水や停電、通行止めなどが続いている状態。「クライストチャーチJCFのメンバーは連絡がつく限りでは全員無事だが、家屋に大きな被害を受けた方々もいる。被害の少ない方々が被害を受けた方々を助けながら過ごしている」
 地震発生翌日、「けがをした留学生が運び込まれた」という情報を聞き、クライストチャーチ公立病院にかけつけた。「病院は自宅から約10キロ。車は使えず、自転車に乗った。チェックが厳しかったが『けがをした日本人のカウンセリングをするため来た牧師だ』と伝えると、中に通してもらえた」。渋沢牧師は「留学生たちは海外で大地震に遭い、心細く感じている。まずは笑顔で『大丈夫』と伝えたい」と、今も同病院に通い続ける。また2月27日の礼拝は、「会堂が使えないため、数か所地区を分けて近所の人同士が集まり、交わりと祈りの時を持った」。
 渋沢牧師は・行方不明者の早期救出のため、・遺族や負傷者の人方々に深い慰めがあるように、・人々の心に平安と癒しが与えられるように、・一刻も早いライフライン回復のため、・クライストチャーチJCFメンバーの間に思いやりや深い愛が育つように、・この状況の中でも神様の大いなる栄光が現されるように、と祈りを要請した。
 渋沢宣教師を支える会(原田浩司代表、峰町キリスト教会内)は、義援金を募っている。郵便振替00380・0・37229、渋沢宣教師を支える会(領収書送付のため通信欄に住所を記入)。

 今回の地震は留学生を送り出した側にも衝撃を与えた。京都市にある留学支援会社「マドレ・インターナショナル(M.I.)海外留学」は、日本滞在20年以上になるクリスチャンの真艸嶺アレインさんが、宣教の思いでしている留学生斡旋会社。そこを通じて語学研修に渡った看護師、大坪紀子さんと早坂美紀さん2人はいまだ行方不明だ。「うれしそうな顔で出発した2人の姿を思うと…言葉が出ない。ご家族の方々にもどう慰めていいかわからない」とショックを隠せない真艸嶺さん。「恐らくダメかもしれないが、1%の希望を信じ助かることを祈ってほしい」。2月26日、ニュージーランドへ出発した。
 同国北部オークランド市にあるオークランド日本人教会(AJCC)の笠原勝牧師は、ANRC(オール・ネイションズ・リタニーズ・コネクション)を通じ、「言葉の不自由な日本人を助けている渋沢先生、教会のメンバーたちの健康が支えられ具体的な助けと神の愛を届けられるように、被災者の心のケアが十分なされるように」など、祈りを要請。AJCCは緊急特別支援のための義援金をクライストチャーチJCFに送る予定だ。

◎ニュージーランド地震:「被災者、救助者に神が希望を!」−−救世軍も損壊 祈りと救援活動続ける=11

 ニュージーランド・クライストチャーチ付近を震源としたニュージーランド地震で、発生直後からキリスト教救援団体も活動を開始した。

 救世軍ニュージーランドは地震発生当日、午後遅くまで市中心部ハグリー・パーク近辺に設置された生活救援施設で千人以上を支援。千500人分の食糧支援を用意した。同軍国司令官ドン・ベル中将は、「私たちの祈りはクライストチャーチと共にあること。友人や隣人のため祈っている。神様がショックを受けている人々に強さと希望を与え、救出に尽力している人々を助けてくださるように祈る」と語った。
 その救世軍の建物も被害を受けた。市内にある救世軍地域宣教センターの損壊は深刻で部隊は大きな痛手を負い、救世軍南島本部も影響を受けた。ニュージーランド地震募金を呼びかけたところ、救世軍USA西部地域から20万ドル、救世軍オーストラリア南部軍国から5万ドルが寄せられ、カンタベリー地方各地で募金活動が行われた。クライストチャーチで開かれる予定だった国際トラック競技会は中止になったが、すでにニュージーランド入りしていたアスリートたちは救世軍の震災募金支援のため、ウェリントン市で募金呼びかけのためのトラック競技会を行う。
 2月25日には国内全域にある救世軍センターの士官が50人の心のケアを支援するワーカーを連れて現地入り。救世軍報道官のリンドン・バッキンガム大佐補は、「今、招集できる大勢の経験豊富な働き人を送ることができた」としている。
 救世軍本営はニュージーランド地震・被災者支援募金を募っている。郵便振替00180・5・4400、救世軍本営(通信欄に「NZ地震・被災者支援」と明記)。
 ワールド・ビジョン・ニュージーランド(WVN)は、救世軍と協力しながら活動を開始。地震発生時、クライストチャーチ中心部にいたスタッフのカリー・マリンは、「学校を訪問中、地震が発生した。校庭に逃げると至るところで子どもたちが泣き叫んでいた。昨年9月の地震よりずっと悪い状況。車で家に帰ろうとしたが不可能で、車を置いて歩いた。街はまるで廃墟のようだ」と、当時の状況を語る。
 WVNは現在、被害調査などを実施。現地入りしたセス・ルルー国際プログラム対策ディレクターは「街は半分に分断された状態。ひどい下水の臭いが漂っている。多くの人が家に帰りたくても帰れない状態だ。一方、フェイスブックを見て1万人を超える学生ボランティアが救援にかけつけていた」と語った。
 WVNは今後、心的外傷を負っている子どもたちをカウンセリングするカウンセラーの専門家を活動させる。

◎「誰もがキングメーカーになれる」−−ビル・ウィルソン(メトロ・ミニストリーズ・インターナショナル代

 少年時代、生みの母に捨てられ、3日間食べるものもなく道端に置き去りにされた少年、ビル・ウィルソン。そんな彼に通りすがりの一人のクリスチャン男性がかけたひと言が、少年の未来を変えた。「かつて自分がキリストに出会い、愛と希望を知ったように一人でも多くの子どもたちに福音を届けたい」とメトロ・ミニストリーズを世界で展開し、ニューヨークだけで3万人以上の子どもが集まる教会学校を開催している。2月9日、10日の2日間にわたって、ビル・ウィルソン東京セミナー2011(同実行委員会主催)が東京・北区の滝野川会館で開かれた。

 全4回行われたセミナーの4回目は「キングメーカー」をテーマに、アブラハムからイエスに至るまでの系図が続くマタイの1章から講演があった。
 「1・6~11までに出てくる人は皆、当時の王様でした。ところが、11節に『バビロン移住のころ』とある。これは、バビロン捕囚のこと。これ以降、イスラエルの王は存在せず、属国となった。ヨセフはアブラハムから連なる、王の直系だったのです」
 「私たちの人生もまた、様々な変化がある。友人との別れ、リストラ…。何かのきっかけでがらりと方向が変わり、予期せぬ方向に進むことがあります。ヨセフもまた、王になりうる家系だったが、名声も権威も手にすることはなく、大工として生涯を送りました」
 また、「キリストの降誕では、母マリヤに注目が集まることが多く、ヨセフの存在はマリヤの背後に隠れがち。12歳のイエスについて書かれている聖書の記述でもマリヤとの会話が中心。しかし、イエスを育てたのは、ヨセフでもありました」
 ヨセフとはどういう存在だったのか。「ヨセフは王にはなれなかったが王を生み出す存在であり、王を育てるキングメーカーだった」と3つのポイントから話した。
 「1つ目は場所を提供したこと。結婚前にマリヤが身重になり、静かに彼女を去らせようとしたが、主の使いが夢に現れてマリヤを迎えるよう、告げた。ヨセフはそれに従ってマリヤを受け入れた。生まれる場所がなかったイエスに、その場所の用意をした。2つ目はヨセフ自身が備えられた人であったこと。系譜では王になるべき人物だったヨセフが、大工として両手を使って働いた。3つ目はねばり強くことを行った点。彼は結婚前に妊娠したマリヤを迎え、困難の中にいたが、決して逃げ出さなかった」
 ビルさんもまた、様々な体験を通して人生が変化してきた。「失われた年月に思える時もすべてを神様は用いてくださるのです。失敗、むだと思う経験は将来のための備えであることを知りましょう」と語りかけた。「献身の決意は感情の動きよりも強く、感情がどれほど傷ついても私の使命感は変わらないのです」

 続けてこんなエピソードを話した。
 かつて、6歳の男の子が教会学校に来ていた。いつも運転席の後ろに座りずっとおしゃべりをしていたが、ある日の帰りバスから降りようとしなかった。抱えて家まで連れて行ったが泣きじゃくって抵抗したので、理由を聞くと、お腹に名前を彫られた大きな傷があり、母親の恋人にナイフで彫られたという。そういうことがスラム街ではよくある。
 他の街の親戚の家に移り住むようになった彼はその後、高校も出て結婚した。ある日、その彼から電話がかかってきた。「僕は今、教会学校の教師をしています。先週は僕の誕生日でした。子どもたちが僕を祝い、『教会学校の王様だよ』と言ってくれたんです! そんなふうに言われると思わなくて。ビル先生、僕を愛してくれてありがとう」

 「私は大スタジアムで伝道する伝道者にはなれないし、王でもない。だが、王を生み出すキングメーカーにはなれる。王になれないからといって人生を諦めたり自分を嫌う必要はない。『あなたは何かができるよ』と子どもたちに語りかけたい。彼らが王になってくれるかもしれないから」
 「誰もがキングメーカーになれる」と励ましと希望を力強く語った。