[CSD]2011年6月19日号《ヘッドライン》

[CSD]2011年6月19日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎福島県民に飲料水100万本——幼児に安心届ける「FUKUSHIMAいのちの水プロジェクト」スタート
★仙台でPraise Station——震災・救援を経て再結成

 = 2 面 ニュース =
◎市民がつくる福祉社会——東京基督教大学に公共福祉研究センター創設
★目的に従う教会形成強調——第17回開拓伝道セミナー
★ドイツ:旧東独ドレスデンで教会大会——脱原発環境の創出も討議
★国際:聖書協会世界連盟にブラジルルター派のルディ・ジンマー氏
★<落ち穂>地域の人々と共に生きる教会形成

 = 3 面 教界ニュース =
★<竜馬をめぐる人々>[48]坂本直寛の章:7——政治に反映した聖書の世界観 記・守部喜雅
★歴史秘話:勝海舟の最期の言葉——「私はキリストを信じる」
★中国:家の教会牧師らが連盟で全人代委員長へ請願書提出
★<オピニオン>信教の自由と「君が代条例」 記・森田美芽

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★小渕 暁さん[上]([株]ひかり塗装代表取締役)——火災の中にも神のご計画が 記・清水 茂則
★<『もしドラ』教会編>[7]優先順位を決める原則 記・千葉雄志

 = 5 面 牧会/社会/神学=
★キリスト教と日本との第4の出合いのために<前編> 記・藤原淳賀
★福音主義神学会:「聖餐論」テーマに東部部会研究会開催(6月20日)
★水戸地検:卞在昌牧師の控訴を断念——被害者支援組織は強く抗議
<精神障害と教会>[98]「理解」と「行い」?情報を行動につなげる工夫 記・向谷地 生良

 = 6 面 文書伝道特集=
★さりげなく置き去りにされた文書の力
★教会で証しと出張販売「文書伝道デー」

 = 7 面 被災地は今=
★CRASH Japan:人を通して希望届ける——栃木県那須町に支援物資中継基地を開設
★今被災地に必要なのは来て見て共に礼拝すること 聞き書き・金成孝悟氏
★被災地に「神のさばき」告げるドイツ系異端の教義と特徴は——ホルスト・シャフラネックとは

 = 8 面/ブライダル =
★結婚式の魅力はメッセージ——チャペルウエディングに魂込め
★「世話好き、話し好き」生かし結婚のお手伝い——セツ子の部屋

 = 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★CD:「Dear Mama」I.Ary(ライフ・クリエイション、全5曲 1,575円税込)
★BOOK:『うさおとあるく 教会史』しおたになおや著(日本キリスト教団出版局、1,890円税込)
★BOOK:『死に勝るいのちを得て——がん闘病817日の魂の記録』米田武義著(イーグレープ、1,575円税込)
★REVIEW:『神を信じて何になるのか』フィリップ・ヤンシー著(いのちのことば社、2,100円税込)評・小渕春夫

 = 10 面 関西だより =
★「ここからが始まり」——関西フランクリン・グラハム・フェスティバル感謝会
★JIFH:希望つむいだコンサート——ハンガー・ゼロチャリティー 大阪から発進
★幼子に愛を「タッチ」——(福)奈良万葉会・すまいる保育園開園

 = 11 面 クリスチャンライフ =
◎100人の証しがひもとく信仰の歴史——津田塾からし種の会が大学110周年で記念誌
★<また行きたい! 教会の魅力>[17]キーワード「ヴィジョン」?——ヴィジョンに向かうためにDNAをもつ

 = 12 面 ひと=
★イ・ヒアさん(ピアニスト)——両手の指4本、ひざ下の足もないけれど「神様の栄光現す」演奏




◎福島県民に飲料水100万本−−幼児に安心届ける「FUKUSHIMAいのちの水プロジェクト」スタート

 「放射能時代を生きる対策会議」が5月20日、福島県郡山市にある単立・キリスト愛の福音教会(坪井永光牧師)に併設するカフェ「レベル・ゼロ」で開催。福島県民のため100万本のペットボトル入り飲料水を配ることが承認され、プロジェクトが始動した。(レポート=坪井永光)

 同会議は、クリスチャンの柴橋正直衆議院議員が、仮設住宅建設担当の一員として現地視察のため福島県を訪問したことに合わせ、急きょ設定。当日は福島第一原子力発電所の事故とそれに伴う放射能飛散に対応し、官民挙げて取り組む必要性を感じている福島県内の牧師、クリスチャン医師、計画的避難区域に指定された飯舘村で村民と行政の仲介を務める有志ら約20人が一堂に会し、実情報告及び放射線フォビア(恐怖症)への具体的方策の提示がなされた。
 「放射線フォビア」とは、郡山市内で婦人科・精神科を開業する富永国比古氏(ロマリンダ・クリニック院長)が臨床の実際を指して命名したメンタル的症状。富永氏は「原発事故以降、患者さんの中で放射線に関する不安を口にする人、単なる心配事にとどまらず、『朝起きて呼吸が苦しい、動悸がする』などの精神的症状を訴える人が増えてきた。これは、放射線の実害とは別にケアをしないといけない」と語る。
 特に子どもを持つ母親の中にこの症状が多いことを受け、坪井永人氏(世界宣教センター牧師)は子どものいる家庭に「安心」を届けようと、ペットボトル入り飲料水を無償提供する「FUKUSHIMAいのちの水プロジェクト」を提案した。
 永人氏は、淀橋教会(峯野龍弘主管牧師、東京・新宿区百人町)福祉共生部の働きの一環である災害支援緊急援助隊「アガペーCGN」福島県支部の責任者として活動。支援物資搬送の働きを通じ、6万本ほどのペットボトル入り飲料水を県内の教会、幼稚園、避難所、行政などに届けてきた。
 同プロジェクトはこの活動を継承、発展させたもので今後、同プロジェクト」を通し100万本あまりを、県内の未就学児を対象に配布する計画だ。すでに郡山市内に大量の飲料水を備蓄できる倉庫も借りている。ペットボトル入り飲料水はこれまで韓国から提供されたものを届けていたが、今後は国内で確保できるよう、教会や企業、行政などに呼びかけていく。
 問い合わせはTel.024・973・5638、キリスト愛の福音教会内「災害支援緊急援助隊 アガペーCGN 福島県支部」(〒963- 8004郡山市中町2ノ12)。http://www16.ocn.ne.jp/~clgc/index-.html

◎市民がつくる福祉社会−−東京基督教大学に公共福祉研究センター創設=1106190201

 従来の国や行政にすべてを期待する福祉でも、自己責任論に還元するのでもなく、市民自身が生活する領域の必要から立ち上げ、多様な意見をもつ他者と協働する|そんな・新しい公共・による公共福祉の創造を推進する「公共福祉研究センター」(稲垣久和センター長)が、このほど東京基督教大学共立基督教研究所内に創設され活動を開始した。

 公共福祉研究センターの最初の取り組みとして5月7日、東京・港区のキャンパスイノベーションセンターで、「公共福祉への転換|市民がつくる福祉社会へのメッセージ」を主題に創設記念シンポジウムが開かれた。小宮山洋子厚生労働副大臣が「『新しい公共』といのちを育む社会」と題して特別講演。稲垣センター長が「基礎構造改革と公共福祉」と題して基調講演をした。大学関係者、福祉関係者ら約100人が詰めかけ、パネル討論で活発な意見が交わされた。パネリストは、遠藤興一(明治学院大学教授)、河幹夫(神奈川県立保健福祉大学教授)、枝見太朗(財団法人冨士福祉事業団理事長)、東畠弘子(国際医療福祉大学大学院講師)、馬袋秀男(全国介護事業者協議会理事長)の各氏。
 稲垣氏は基調講演冒頭3・11大震災とその対応に言及。原発問題について、公共福祉が主張する「公と私と公共の三元論」に即して、一私的(民間)企業が復旧に努力するというレベルの問題ではなく、公的な機能と強い主権の発動が問題、とした。そして今後の電力供給について、「無限の資源と、無限の電力と、無限の経済成長の時代は終わった。新たな生き方と社会の仕組みが模索されねばならない」と述べ、高度成長後のライフスタイルを改善する生き方としての公共福祉と「ケアの倫理」に触れた。
 その上で、従来の行政による「措置」から介護保険制度による「契約」への転換(2000年)という福祉の基礎構造改革を「極めて重要」と評価。
「公共福祉で言う『公共』とは、従来の公と私の二元論に対して公と私の間に公共を入れて考える三元論。歴史的視点に立つと、基礎構造改革は民主主義や市民社会の成熟を促すという点で公共福祉を要求している」と位置づけた。稲垣氏によると、この半世紀で「公(public)の支配」とは何かという解釈が変わってきた。これまでは日本的「公」をpublicと考えてきたが、時代はpublicを公から公共へと解釈する、「新しい公共」の時代に入っている。戦中戦後の「官民一体」の・滅私奉公・から、「市民|行政」協働(地域主権)へと大きく歴史上の文脈がシフトし、「公の支配」から「公共の支配」へと変化させなければならないという。
 そうした中で、家族愛で支えるのが当然と見られてきた「ケア」の社会化という問題を考察。それは「愛の社会化」を意味し、すぐれて倫理的な課題であるとして、「経済、法|政治、道徳、倫理が密接に絡む公共福祉学の開発が望まれる」と結論づけた。
 ▼事務局=〒270- 1342千葉県印西市内野3ノ301ノ5東京基督教大学内、Tel.0476・46・1137。

◎100人の証しがひもとく信仰の歴史−−津田塾からし種の会が大学110周年で記念誌=11061911

 東京都小平市の一角、府中街道に沿って五日市街道と青梅街道の中間あたりに、赤い屋根にレンガ仕様の瀟洒な建物が現れる。日本の女子教育の先駆として、多くの人材を社会に輩出してきた津田塾大学(飯野正子学長)である。創立者・る津田梅子は1900年、女子英学塾(現在の同大学)の開塾にあたり、キリスト教精神をその基盤に据えた。それは長きにわたって同大学の教育を支え、学生の人格形成に影響を与えることになる。

 それから約100年後の02年。時代の移り変わりの中で、母校に息づくキリスト教精神を伝え、支えていこうと、卒業生らが中心となり「津田塾からし種の会」が発足。建学110周年となる昨秋には、記念誌『もうひとつの津田スピリット』を発刊した。同著からは、日本の、古くからある大学で長く受け継がれてきた信仰の歴史を、生き生きと見ることができる。

 「津田塾大学はミッションスクールではありませんが、かつては学内で聖書研究が活発に行われ、礼拝も熱心に捧げられていました」と、元同大学教授で卒業生の江尻美穂子さんは振り返る。しかし、時代の移り変わりとともにクリスチャンの教職員は減少し、建学の精神としてキリスト教を大きく掲げることも減っていった。「入学してくる学生も、津田塾がキリスト教主義に基づいて建てられたことを知らない人が多いのです」
 この状況に危機感を抱き、ともに祈り、学内のキリスト教の活動を支援していきたいとの願いが集まり、「津田塾からし種の会」は発足。年に1度の全体集会やニュースレターの発行など地道な活動を展開し、現在の会員数は400人を超える。「私たちの祈りを神様は聞いてくださり、少しずつ、学生たちの魂の救いのために労してくださるクリスチャンの教職員も与えられ、クリスチャンの学生による会も祝福された活動を続けています」
 
 創立110年を2年後に控えた08年、記念誌発行の企画が持ち上がった。「会の運営委員も、かなり悩みました。本当にやるのか、できるのか。けれども、今でなければ聞けない声もあります。主がされるのであれば、成るだろうと、出版を決めました」。幾度も話し合いを重ね、時にはぶつかったり、山積する作業を前に途方に暮れたり。「出版経験のほとんどないメンバーばかりでしたので、試行錯誤を重ね、夜遅くまで作業をしたり。でも、今振り返ると、楽しかったなという思いです」と、編集に携わった岡真美恵さんは笑う。2010年10月。創立110周年の記念礼拝を目前に、記念誌が完成。編集委員の間に感激の声が上がった。
 『もうひとつの津田スピリット』には、現在100歳を超える卒業生を筆頭に、約100人の証しを収録。明治、大正、昭和、平成の時代を生きた卒業生それぞれの喜び、迷い、神と出会った感激などが、生き生きと描き出されている。「この本は、まさに『キリストにあって一つ』そのものだと感じています。執筆者の中には、プロテスタントの方もカトリックの方もおられ、これだけ信仰を継承した卒業生がいるんだ、という思いです。信仰の先輩方が、後輩のために熱心に祈ってくださった実では。種を蒔き続けることの大切さを感じています」と岡さんは語った。

 千500円税込 A5判 津田塾からし種の会編
 希望者は〒187- 8577東京都小平市津田町2ノ1ノ1津田塾大学交流館内からし種の会、Email: tsudaseed@gmail.com いのちのことば社ウィングスサービス(Tel.042・354・1222、Fax.042・354・1212)、オアシス新宿店、立川店、ライフセンター横浜書店、CLCお茶の水店でも購入可能。