[CSD]2012年5月27日号《ヘッドライン》

[CSD]2012年5月27日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎新日本聖書刊行会:新改訳聖書 大改定の翻訳編集作業佳境へ——第一次改定案 新約ほぼ出そろう
★南三陸町に教会出来る——志津川地区にクリスチャンセンター「愛・信望館」 6月8日に開所式

 = 2 面 ニュース=
★宮城宣教ネット:復興したら地域との関係逆戻り——講のようなネットワーク型教会に
★女川町に「希望の鐘商店街」開設——救世軍が米国企業からの献金を仲介し実現
◎日本聖書協会:新聖書翻訳者を公表
★国際:ネットで聖書を読むアプリのダウンロード数5000万件を突破
★アフリカ中部:相次ぐ礼拝中の襲撃
★<落ち穂>日韓の牧師が足バレーで親睦

 = 3 面 ニュース=
★<いのちへのまなざし>[11]根拠ある楽観主義 記・柏木哲夫
★<逝去>羽鳥純二氏(JECA・自由が丘キリスト教会名誉牧師、東海聖書神学塾名誉塾長、86歳)
★<オピニオン>教会への税務調査、必要な法律の知識? 記・櫻井圀郎
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4 面 関西だより=
★「キリ短で学ぶ意義つかんだ」——大阪キリスト教短期大学開学60周年
★「四国に元気と希望湧いた」——ラブ・ソナタ高松 「希望の木」テーマに開催
★ARISE JAPAN:「リバイバルの鍵は子どもたち」——次世代の教会考える機会に
★大阪リバイバルプレイズナイト再開——新しいビジョンもって継続へ
★自死選ぶ若者の心探る——関西セミナーハウス・修学院フォーラム
★大阪医科大学資料館でウィリアム・メレル・ヴォーリズ展開催(6月1日~10日)

 = 5 面 ペンテコステ特集=
◎エイズ患者が生きる希望得る——世界宣教と全人ケア

 = 6 面 三浦綾子特集 =
★三浦綾子読書会 被災地の教会で始動——東北に綾子さんの言葉が広がる
★試練を越える「与える生き方」——災害を描いた『泥流地帯』 長谷川与志充氏講演

 = 7 面 伝道・牧会を考える =
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>[11]JECA・めぐみの丘チャペル?——内なる教会が整えられる試練
★ケープタウン決意表明(27)パート?解説——私たちが仕える世のために(11)

 = 8 面 ひと =
★紫園 香(フルート奏者)——実は神様に生かされていた




◎新日本聖書刊行会:新改訳聖書 大改定の翻訳編集作業佳境へ−−第一次改定案 新約ほぼ出そろう=120

 2016年刊行に向けて進めてきた日本語の新しい聖書翻訳の作業が、いよいよ本格的な段階を迎えている。新改訳聖書の改訂による新しい翻訳聖書を刊行する新日本聖書刊行会(竿代照夫代表理事)は、第4回翻訳編集委員会を4月23日から25日まで、東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで開いた。

 新日本聖書刊行会では2010年から翻訳原則の確認、理解の共有化、改訂試案の検討を進めてきたが、新約(主任・内田和彦氏)については各担当委員から第一次改訂案がほぼ出そろい、相互に編集的な視点で担当外の個所を検討する作業に入った。今回の翻訳編集委員会では、法律文、詩文、物語など各分野ごとに翻訳原則を確認する発表があり、日本語担当(主任・松本曜氏)からも発題、「(訳語の問題について)各委員の意識が同じ方向に向いてきている」(翻訳編集委員長・津村俊夫氏談)という。
 津村氏によると、旧・新改訳聖書刊行会の下で不快語・差別語を中心に小改訂した第三版(03年)の時から日本語担当者は検討を始めており、その積み重ねがある。昨年11月に開かれた第6回教会代表委員会では、松本曜日本語主任(神戸大学文学部教授・言語学)から日本語の課題と改訂方針について発表があった。それによると、書簡や福音書の会話に「です・ます」調を採用した新改訳の方針を基本的には維持しつつ、怒りや嘆きの表現にも「です・ます」を使うなど「妙に丁寧なところもある」ため、内面心理の描写に合わせた語調や文学類型による文体の使い分けについては変更を検討しているという。
 また表記についても、新改訳第一版が刊行された70年当時には当用漢字の遵守への圧力を背景に平仮名を多様した経緯があったが、現在は常用漢字の教育が進み多様性を認める方向にあることから、常用漢字を基本にする方針。しかし常用漢字にない漢字でも必要に応じて使う(例「聖い」)、特別な意味がある場合は平仮名を使う(例「いのち」「ことば」「みこころ」「みわざ」「しるし」「かたち」「とこしえ」「まこと」)など、新改訳らしさも踏襲するという。漢字の区別(例「直す/治す」「会う/遭う」「堅い/固い」や、句読点の打ち方も検討し直している。
 全体として、原語に忠実(リテラル)という新改訳の基本を踏襲しながら、平易で日本語として自然な訳文を目指す。表現の選択では日本語自体の変化にも対応し、この時代の日本語として適切かを検討している(例「とりこ」「おのれ」「仇」「懲らす」)。松本氏は「170語ぐらい変更が必要。もっと増えるだろう」と見積もっている。その他、文語活用の混入排除、曖昧性の排除(受け身か可能か、など)、比喩表現の比喩らしさ、などに取り組んでいる。
 津村氏は「文語訳が大正時代に新約だけ改訳した例はあるが、旧新約を大改訂するのは今回が日本語の聖書翻訳の歴史で初めて。聖書翻訳は改訂より新しい訳のほうが簡単だと言われるが、やってみるとそれは分かる。先輩たちも悩み迷っていた編集のプロセスがある。変える勇気が必要であると同時に、変えすぎてオーバーリアクションがあってもいけない。リテラルな訳は決して日本語として変な訳という意味ではない」と話す。
 今回の翻訳編集委員には40代060代の学者たちが加わっており、「今の世代が次の世代を育て、改訂作業が継承されていく責任がある。日本語の聖書翻訳のモデルになることを願っている」。今後、旧約の改訂案の提出も受けて第二次、第三次改訂作業を進め、計画では一部のサンプル版の検討を経て、15年には最終原稿を確定させる予定だ。

◎日本聖書協会:新聖書翻訳者を公表=1205270203

 日本聖書協会による新聖書翻訳事業が開始して1年半余り。各書を担当する翻訳者がほぼ出そろい、50人を超す翻訳者の氏名をこのほど公表した。本事業の特徴は、原典を訳す最初の段階から原語翻訳者と日本語担当者が二人三脚で翻訳を行うこと。また、新共同訳の伝統を踏襲し、重要な事柄は委員会で決定される。重要単語や複数の書に関する訳語については翻訳者が集まる部会(旧約/新約/続編)で討議され、敬語や代名詞など日本語に関わる事柄は日本語部会で統一見解がまとめられる。また、19の主要な教派の代表からなる検討委員会では、主に教派神学に関わる単語や、聖書全体に関する重要事項が検討される。今年3月には新翻訳に関わる4つの会議――第5回検討委員会(3月8日)、第4回旧約部会(3月12日)、第2回日本語部会(3月16日)、第2回新約部会(3月23日)――が開催され、「?霊?」、「洗礼〔バプテスマ〕」、「兄弟/兄弟姉妹」、「天使」、「エン・クリスト(キリストに結ばれて)」などの訳語について話し合われた。特に「兄弟/兄弟姉妹」については、女性に対する配慮と、聖書本文にはない単語を加えることへの躊躇との間で意見が割れている。
これらの会議で話し合われた内容は、今年8月に開催される第2回全体会議で討議し、まとめられる予定。翻訳者による翻訳作業が終了した後は、編集委員会が翻訳文を検討し、書ごとにパイロット版を配布し、外部のモニターによる評価を受けるという手順を踏む。編集委員会については今年中に委員を決定する方向で人選を進めている。
     ◇
 4月1日現在で発表された翻訳者は次のとおり(敬称略)。
 ▽旧約担当=雨宮慧、飯謙、池田潤、石川立、浦野洋司、大串肇、大島力、大住雄一、岡崎才蔵、小友聡、小林進、小林祥人、佐久間勤、谷川政美、樋口進、柊曉生(続編兼任)、本間敏雄、山森みか、▽続編担当=阿部包(新約兼任)、岩本潤一、江川憲(新約兼任)、菅原裕治、高橋英海、竹田文彦、中村秀樹、柊曉生(旧約兼任)、山下敦、▽新約担当=浅野淳博、阿部包(続編兼任)、江川憲(続編兼任)、川中仁、須藤伊知郎 、住谷眞、武田なほみ、辻学、津村春英、中野実、廣石望、布川悦子、三浦望、嶺重淑、▽日本語担当=石黒圭、石原真、春日いづみ、木鎌耕一郎、酒井一郎、柴崎聰、杉内峰彦、高梨信乃、高橋由美子、西脇純、芳賀繁浩、畠山寛、前川斎子。

◎エイズ患者が生きる希望得る−−世界宣教と全人ケア=1205270501

 雨露をしのぐだけの粗末なビニールシートの下で新聞紙を体に巻いて横たわる男。その前で「アメイジンググレイス」を歌う老若男女が、「かつては何の希望もなかったが、ここへ来て生きる希望を知った」と証しする。
 南アフリカ・ケープタウンから南へ車で1時間ほどの町にある「リビングホープ・ヘルスケアセンター」。地元のキングオブキングス・バプテスト教会が運営する、地域教会による世界最大のHIV/エイズの人たちの保護施設だ。緑豊かな広大な敷地に小ぎれいな建物が点在する。ここで暮らす人々の多くはかつて路上生活をしていた。
 アフリカにおけるHIV/エイズの蔓延は、貧困がその温床になっている。感染者の多くは貧しくて教育を受けられなかった。衛生教育の不足が病気についての無知を招き、予防や回避の手だてを知らないまま感染が広がってしまう。多くのアフリカ諸国がこうした状況に直面しており、公的な医療や福祉の力だけでは防止対策が追いつかない現実に苦しんでいる。
 そうした中で同教会は、この病気で死にゆく人々に、イエスの愛と力を現し、希望があることを示したいと立ち上がった。できることは何でもしてホリスティック(全人的)にイエス・キリストの憐れみを実行し、それを通してHIV/エイズの拡大を防止しようという挑戦だ。イエス・キリストの福音を、人々の生活を変えるような仕方で伝え、神に従うよう励ますことが「リビングホープ」のビジョンだ。