[CSD]2012年9月2日号《ヘッドライン》

[CSD]2012年9月2日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎原発を問い 原発に問われ——敗戦から67年目の夏に学んだ平和
★やさしさ知って「聖書を学びたい」——津波被災の渡波で福音フェスタ

 = 2 面 ニュース=
◎戦争体験を若い世代に——8・15千鳥ヶ淵戦没者墓苑で平和祈祷会
★「日本支配下の沖縄40年」——沖縄戦に従軍した渡辺信夫氏 悔いを語る
★「心の病は信仰の間違いではない」——高倉徳太郎の自死への道程を考察
◎羽田雄一郎国交相ら閣僚の靖国神社参拝に抗議
★<落ち穂>米国キングス・ガーデンを興した信仰の転機

 = 3 面 =
★<いのちへのまなざし>[13]感動を与える言葉 記・柏木哲夫
★<逝去>西 満氏(旧約学者、元東京基督教大学教授、80歳)
★<逝去>小川巧記氏(おがわ・たくのり、オイコス・チャペル牧師、58歳)
★<オピニオン>ナショナリズムを超える原理 記・根田祥一
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4・5 面 視覚障がい者特集=
★『教会福音讃美歌』点字版翻訳作業進む——晴眼者と盲人 賛美をいっしょに
★被災地の痛みを共に分け合うことを祈りつつ——第61回盲伝全国修養会
★持ち運びに便利 点字ディスプレイ——賛美歌データ 選んで取り込む
★神のわざがこの人に現れ——双子で全盲のピアニスト木村りえさん、りささん

 = 6 面 全面広告 =
☆神様の日本への愛聖会 2012年
10月4日(木)~5日(金) 会場:淀橋教会大ホール

 = 7 面 伝道・牧会を考える =
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>[20]世界福音伝道会・洛西キリスト教会?——福音から一歩もぶれない教会
★ケープタウン決意表明(41)パート?解説——私たちが仕える世のために(20)

 = 8 面 トピックス =
★被災幼稚園に希望の虹の壁画——バイブル&アートミニストリーのメンバーらがボランティアで制作
★平和願い 食の安全も——沖縄の手作りパン「わらびなー」


◎原発を問い 原発に問われ−−敗戦から67年目の夏に学んだ平和=1209020101

 敗戦から67年。8月15日前後に各地で行われた平和集会では、折から世論が盛り上がっている原発問題や、復帰から40周年を迎えた沖縄の問題などに焦点が当てられた。

 日本キリスト教会東京中会靖国神社問題特別委員会は8月13日、東京・大田区の蒲田御園教会で「原発を問う教会、原発に問われる教会」をテーマに学習会を開いた。「戦争罪責と原発問題」を渡辺信夫氏(東京告白教会牧師)、「知の追求と原子力利用|放射線業務従事者から見た原発問題」を渡辺和人氏(宇都宮松原教会長老)、「福島第一原発事故と向き合って」を住吉英治氏(同盟基督・勿来キリスト福音教会牧師)、「日本キリスト教会と脱原発の論理」を上山修平氏(日本キリスト教会大会常置委員)が発題。
 戦争責任の問題をずっと考えてきた渡辺信夫氏は、その延長上で核兵器の問題も考え、かつては反核運動も実践したが、その後しなくなったことを明かし、「?核の平和利用?にだまされたことを悔い改めなければならない。だまされたことに気がついたのは昨年3月11日。核の利用という考えの元には、人間は偉大なものだという考えがある。それを批判する精神は宗教改革の中にあり、私はそれを受け継いできたはずだが福島で事故が起こるまで目が覚めなかった。そのことを恥じている」と告白。「肥大化した権力が発展してきた核の工学を取り込んだ。権力が肥大化しないことを教会の使命としなければならない」と述べた。
 上山氏は、今年2月に大会常置委員会が「原子力発電所の稼働をできるだけ早く止めることを願う」とする見解を出したことを「信仰の問題」と位置づけた。「あえて言うが、たかが電力を生み出すために核エネルギーを利用することは許されない」とし、教会内に異論もあるが、「今、発言しないことは中立ではなく、原発推進者を助けることになる」と警鐘を鳴らした。
 福音主義キリスト者平和市民の会(正田眞次代表)は8月6日、大阪市中央区のVIP関西センターで「原発再稼働の是非を問う~クリスチャンが『フクシマ』から学ぶこと~」をテーマに集会を開いた。「『フクシマ』は世界のエネルギー政策を激変させるキーワード。日本のキリスト者がこの課題を抱える日本で、どのように考え行動すべきなのかを祈り、平和を求める者となりたい」と願い企画した集会で、正田氏はまず福島が依然高い放射線量であり、特に子どもたちが危険にさらされている現状に言及。子どもたちや保護者を一定期間県外に避難させる疎開保養プログラムを進めており、教会が継続できる支援として今後も進めて行くことを提案した。
 パネリストとして発言した(株)あんどシステム役員の池田順一氏は、マンションの理事会で白熱球をLEDにするなど、コミュニティでの節電を実現したことを例に挙げ、教会にも節電への意識を促した。「原発事故を通して、主は特別にクリスチャンにメッセージを送っているのではないか。今回の再稼働も含め、大きな経済の流れの中でのエネルギー問題などと併せて多くのことを示唆している。生活の基本となることを、聖書に基づいてどう判断し、いかに実践できるか考えたい」
 参加者から「原子力の平和利用を神が許されているのか祈り続けている」「福島は今も危険な状況。私たちは正しい情報を流し、そこに住むと決めた人を支援していかなければ」「近代技術をサタンが利用しようとしている。今は戦時体制。情報を共有し祈りを結集しなければ」「神を畏れる政治家の出現を祈ろう」など、熱心な意見交換があった。

◎戦争体験を若い世代に−−8・15千鳥ヶ淵戦没者墓苑で平和祈祷会=1209020201

 敗戦から67年目の8月15日朝7時から、東京・千代田区の千鳥ヶ淵戦没者墓苑で今年も「8・15平和祈祷会」(同実行委員会主催)が開かれた。説教者に西原美香子氏(日本YWCA総幹事)が立ち、「『いのちを選ぶ』─つながっていきるということ─」と題して語った。
 西原氏は「あなたは命を選び、あなたもあなたの子孫も命を得るようにし、あなたの神、主を愛し、御声を聞き、主につき従いなさい」(申命記30・19、20、新共同訳)を引用。「父は17歳の時、学徒動員で8月15日を迎えた。戦地に行かなかったが戦争の犠牲者の一人。私が今、自分の生き方として憲法9条を選び、平和の集会に足を運ぶのも、父の姿が原点となっている」と証しした。その上で、「父が経験した悲しい時代を忘れず、ここにいる戦争の時代を生きた方々のストーリーをお聞きし、私よりも若い世代につなげていきたい」と語った。
     ◇
 千代田区猿楽町の在日本韓国YMCAでは「第39回許すな!靖国国営化8・15東京集会」(同実行委員会主催)が開かれ、九条の会事務局、許すな!憲法改悪・市民連絡会の高田健氏が基調講演。高田氏は「憲法を変えていこうという点に関しては与野党の合意があり、『解釈改憲』の動きが強まっている」と警鐘を鳴らした。
 最近の脱原発デモにも触れ、「原発問題と憲法問題は不可分。日本国憲法の三大主権の一つ、国民主権から見て、原発は相容れない。脱原発、9条を中心とした憲法改悪に反対する運動は結びつくべきだ。脱原発、憲法改悪反対を実現する鍵は、憲法の精神を生かした市民運動にかかっている」と強調した。

◎羽田雄一郎国交相ら閣僚の靖国神社参拝に抗議=1209020204

 野田首相が在任中は靖国神社に参拝しないと表明するなか、閣僚のうち羽田雄一郎・国土交通大臣と松原仁・国家公安委員長の2人が8月15日、東京・九段の靖国神社を参拝した。閣僚が靖国に参拝するのは09年以来で民主党政権では初めて。
 特に羽田氏はクリスチャンで、キリスト教界の諸団体や有志グループから参拝中止を求める抗議声明が相次いでいた。
 羽田氏はキリスト教主義の敬和学園高校(新潟県)在学中に信仰に導かれ、日本基督教団新潟教会で洗礼を受けたとされる。クリスチャンであることを公言し、国家晩餐祈祷会にも出席しているが、かねてから靖国参拝論者でもある。
 日本同盟基督教団「教会と国家」委員会(柴田智悦委員長)は?閣僚が靖国神社を参拝することは憲法の政教分離原則、公務員の憲法遵守義務違反、?日本の侵略戦争を正当化する靖国への参拝は戦争を美化するもの、?野田首相が在任中の靖国参拝はしないと表明した中での閣僚の参拝は、野田内閣の盤石性が揺らぎ、アジア諸国との信頼が失われる、の3点に加え、「クリスチャンであるならば、靖国神社を参拝し『英霊』に頭を下げることは、十戒の第一・第二戒に背く偶像礼拝にほかなりません」として、悔い改めるよう祈り求めることを伝えた。
 美濃ミッション(石黒イサク代表)は19030年代に神社参拝を拒否して弾圧されたが、「非国民」と呼ばれないために神社参拝をし迫害する側に立って誹謗中傷するキリスト者もいたことに触れ、「靖国参拝を行うならば、戦前の信者迫害・弾圧を後押しした人たちと同じこと」と批判した。