[CSD]2013年6月23日号《ヘッドライン》

[CSD]2013年6月23日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎JEA第28回総会:震災で問われた福音に焦点——被災地支援を継続 福島で宣教フォーラム——
★ヘボン塾から150年——人格教育を繋ぐ礼拝

 = 2 面 ニュース=
★原発と私たちの責任——福音主義の立場から初の神学的論考[上]
◎JEA:韓国基督教総連合会との宣教協約を解消——異端容認での混乱などを受けて
★県人会近畿:関西人から天国人へ——大阪市長のためにも祈る
★救世軍・山谷少佐の名誉棄損裁判が佳境に——原告のクリスチャン・トゥデイ社長の証言に矛盾
★<落ち穂>黒子と呼ばれる乳幼児の捨て子

 = 3 面 =
★<フクシマの声を聴く>[6]母たちからの声?——教会裏は子どもたちの遊び場だった 記・中尾祐子
★9月横浜でE・フィッシュ宣教師記念会——1951年に日曜学校助成協会を創立
★<オピニオン>恩恵論からの宣教を 記・稲垣久和
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4・5 面 キリスト教主義学校特集=
★キリスト教的人格を一貫して促す——明治学院
★人生を考える「ためになる場所」——西南学院
★カジュアルでオープンな演出——梅光学院

 = 6 面 関西だより=
★「主の愛に満たされて」——JMC第2回イエスさまフェスタ
★天国の出店のような新会堂——広島・福井ミッションシャローム高島チャペル
★人の生き方を学ぶ学校——大阪キリスト教学校フェア

 = 7 面 伝道・牧会を考える=
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>?[54]同盟基督・高麗聖書教会?——イエスがした奉仕を高麗で実践
★<憲法が変わるってホント?>[11]「先生、私、汚い?」——日本人でないことがなぜ苦しいのか 記・崔 善愛

 = 8 面 ひと・証し=
◎リンダ・ホーグランドさん(映画監督、字幕翻訳家)——贖罪と弔い 80分の時空間 ドキュメンタリー映画「ひろしま 石内都・遺されたものたち」



◎JEA第28回総会:震災で問われた福音に焦点−−被災地支援を継続 福島で宣教フォーラム=13062

 日本福音同盟(JEA=安藤能成理事長、品川謙一総主事)は第28回総会を6月3~5日、2016年第6回日本伝道会議の開催予定地・神戸市のホテルで開き、東日本大震災以後のさらなる被災地支援と次の大災害に備える取り組みなどを主とする2013年度事業計画案を決議した。12年度事業報告では神学委員会と社会委員会が取り組んできた原発問題についての検討結果を報告。総会プログラムも東日本大震災で問われた「まるごとの(ホーリスティックな)福音」に対応、被災地支援の現場からの声に聞きつつ、教会が担ってきた福音宣教のあり方に焦点が当てられた。

 公開シンポジウム「東日本大震災で問われたもの」で発題したのは、住吉英治(同盟基督・勿来キリスト福音教会牧師、福島県キリスト教連絡会)、森恵一(保守バプ・津田沼教会牧師、保守バプ諸教会グループ)、中澤竜生(聖協団・西仙台教会牧師、南三陸町を支援するキリスト者ネットワーク)、鈴木真(福音伝道・戸塚めぐみキリスト教会牧師、イザヤ58ネット)の各氏。それぞれの被災体験、被災地支援の体験から、今後被災地で求められている支援のありよう、ひいては被災地支援をとおして見えてきた都市部の教会における福音宣教のあり方の見直し、教団として被災教会を支援する際の課題などを語った。
 2日目の特別講演会では賀川督明氏(賀川記念館館長)が「『痛みのシェアー』~賀川豊彦たちが遺したもの」と題して講演。賀川豊彦たちが自らを救霊団、イエス団と呼び、牧会集団と自認して活動していたことを紹介。貧困救済や協同組合運動などの社会的実践の根底には、イエス・キリストに倣う「痛みのシェアー」があったとし、福音を見える形で実践することの重要性を語った。
 JEAでは被災地支援の取り組みとして、当初2年間としていた東日本大震災対策室の活動期間を2014年3月まで1年間延長することを打ち出した。宣教委員会では「フクシマと生きる宣教」をテーマに「宣教フォーラム・福島」を11月18~19日、福島県郡山市で開催する。宣教フォーラムは、次期伝道会議を目指して毎年開催されてきたが、震災以降東北で行われ、一昨年の秋田、昨年の仙台に続き、今年は福島を会場とする。
 現在の社会状況の認識として、安藤理事長は事業計画案で昨年末の衆議院議員選挙の結果としての右傾化の兆しに言及、憲法論議及びアジア諸国との関係に危機感を表明した。社会委員会は7月12日、「憲法を変えさせない緊急祈祷会」をお茶の水クリスチャン・センターで開催する。
 第6回日本伝道会議(2016年9月27~30日)に関しては総会プログラムの中で「JCE6テーマ・フォーラム」を開催、?次世代を育てる、?働き人を育成する、?地域で宣教のために協力する、?この国で主に仕える、?世界宣教に貢献する、?教会・教団が互いに仕え合う、の各テーマに分かれて話し合った。

◎JEA:韓国基督教総連合会との宣教協約を解消−−異端容認での混乱などを受けて=1306230202

 日本福音同盟(JEA=安藤能成理事長、品川謙一総主事)は韓国基督教総連合会(韓基総=CCK)との交流について、昨今の状況に対応しての判断をしたことを、第28回総会中の2012年度事業報告で明らかにした。4月22日の第133回理事会で、韓基総との間で2009年12月に締結した宣教協力に関する覚書は、最近の韓国キリスト教界の状況に鑑みて終結したことを確認した。
 JEAが宣教協力に関する覚書を交わした当時は、韓基総が韓国で最も広く教団教派を糾合する連合体であったが、異端問題などによって主要教派が離脱し、昨年3月、別に新しい連合機構「韓国教会連合(CCKI)」を組織したことなどから、事実上、韓国教会を代表する連合体としての立場を失っていると判断した。
     ◇
 韓基総は諸教団を代表する連合体として90年代に発足したが、04年以降、異端・カルト疑惑が起きた「クリスチャントゥデイ」創立者張在亨氏の受け入れをめぐり紛糾。韓基総の現執行部が世界福音同盟(WEA)北米理事にも食い込む張氏の仲介でWEA総会の韓国誘致に動いたことから分裂に至った。今年4月には、来日した韓国基督教異端相談所協議会の陳用植会長が、韓基総が他にも異端とされる複数の団体を容認し教界に混乱を招いていることを報告した。

◎リンダ・ホーグランドさん(映画監督、字幕翻訳家)−−贖罪と弔い 80分の時空間 ドキュメンタリー映

 7月20日から8月16日までのおよそ1か月間、東京・千代田区の岩波ホールでひろしまをテーマにした2本のドキュメンタリー映画が緊急上映される。その1作品が「ひろしま 石内都・遺されたものたち」。
 写真家の石内都さんが、広島平和記念資料館に保存されている衣類や靴、人形などの品々を撮影した作品48点をバンクーバー市で展示した写真展でのドキュメンタリーだ。被爆当時の物言わぬ遺留品たちに何を語らせたかったのか。リンダ・ホーグランド監督にこの作品の意図を聞いた。

 日本人の感性を受け止めてくれているように語る流ちょうな日本語。山口と愛媛で開拓伝道していた宣教師の娘として日本の小学校・中学校を卒業した。ドキュメンタリー映画監督でもあるが、黒沢明や宮崎駿作品などの字幕翻訳家としての評価も高い。

これからの時代へと
語り継ぐ模索の一つ

 最初に原爆投下されたひろしまをテーマにした作品だが、当時の破壊された後のモノクロ写真や証言者たちは一切登場しない。それは、この作品を撮る前に自ら決めていたことの一つだという。
 「もう、過去のモノクロの悲惨な写真からではなく、石内都さんが被爆した遺留品をアートにして撮った、美からひろしまに入るという全く新しい切り口と出合った」
 灼熱の炎で破壊する地獄からではなく、美からひろしまを見るということは何を意味するのか。
 「それは、地獄になった1分前が見えてくるということ。戦争中だったけれど、モンペ姿の内側にきれいなブラウスを着ておしゃれをしていた。そういう風に見えてくると、私もこういうドレスを着ていたかもしれないし、明日核戦争が起きたら、こういうドレスを着ているかもしれない。要するに、原爆投下1分前と今日、もしかしたら明日の私というふうな、私には石内さんの写真が両方につながる特別な入口のように見えた。それは、その衣服に宿された一種のスピリットのようなものが見えるから、生きていた人間とそして私というふうに素直につながるんじゃないのかしら」
 映画は、学芸員の下村麻理子さんの協力を得ながら遺留品を撮影する石内さんの取り組みと、カナダ・バンクーバー市ブリティッシュ・コロンビア大学人類学博物館での写真展の様子がルポされている。
 「ホロコーストもそうですが、原爆の語り部の証言者が毎年亡くなっている世代ですので、石内さんや、(遺留品にまつわる)悲惨な証言を書き留めていく下村さんのようなこれからの語り部がどのような形で語り継いで行かれるのか。この作品はその模索の一つという思いもあります」


まだ弔われていない
人々へのレクイエム

 写真展には、カナダ人だけでなくメキシコ人、韓国人や日本からの観光客、修学旅行でたまたま立ち寄った200人の女子高生など様々な国の人たちが訪れた。遺留品を使っていた人の面影が石内さんにふとよぎった時、シャッターが切られた。その面影なのか声なのか、写真を見て感じた思いを個人的に、主観的にそれぞれが語っている。
 遺留品の中には誰に使われていたのか分からないものもある。「爆心地で被爆した方や、一家全員亡くなられて未だに弔われていない方もいるでしょう。この作品は、そうした方々へのレクイエムというか、告別式というか。原爆から68年、そろそろ送ってあげられる時間と空間の80分間です。原爆を落とした私の国は贖罪していないけれど、限りなくアメリカ人の監督が、ひろしまと贖罪というテーマを目指したら(アートと美を入り口にした)こういう作品になりました」
 08年に映画「TOKKO/特攻」(リサ・モリモト監督)をプロデュースし、自身が監督した作品は10年の「ANPO」(安保)に次いで本作品が2本目。戦争を見つめる次の計画はあるのだろうか。「リンダの太平洋戦争に関しては、この三部作で終戦を迎えました。全員負けでね(笑)。戦争は、みんな負けるんですよね。アメリカは勝ったのではなく、終わりなき軍事依存への開幕でした。今や、経済的には軍事中毒で、戦争なしにはやっていけない。勝利したというのは錯覚です」と真摯に見つめる。