[CSD]2013年10月27日号《ヘッドライン》

[CSD]2013年10月27日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
★日本は変わる! 京都から新たな祈りの息吹——エンパワード21全日本大会
◎北朝鮮収容所から2万人消えた——人体実験で虐殺の恐れも?

 = 2 面 ニュース=
◎認知症介護 語り合う場を教会に——日基教団埼玉地区で懇談会
★オペレーション・ブレッシング:NPO法人格取得し東北での活動を継続
★明治学院150周年:日本近代史に触れる2つの展覧会開催中 http://mg150.jp/
★日基教団・福島教会再建へ——震災で取り壊した国登録有形文化財のヴォーリズ建築
★<落ち穂>大教会からテント礼拝へ転職したチャック・スミス

 = 3 面 =
★<フクシマの声を聴く>[23]母たちからの声——なぜ福島だけ特別扱い? 記・中尾祐子
★開かれた聖餐で免職 人権侵害判断せぬ司法——北村慈郎前牧師 上告審報告集会
★<オピニオン>教会の真の繁栄は バランスの取れた繁栄に 記・菅原 亘
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4・5 面 シリーズ対談/この人 この天職=
★宮原寿夫さん(ぼてじゅうコーポレーション代表取締役社長)vs. 中野雄一郎さん(伝道者)
「お前が頑張らなくてどうする」——子どもを亡くして知った神の愛

 = 6 面 新会堂建築シリーズ No.146=
★日基教団・富士見町教会——新しい皮袋が街の顔に 地域のためにも祈る

 = 7 面 伝道・牧会を考える=
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>?[79]日本基督教団和気教会?——神様がいればどこでも安らげる
★新連載<迫られる宣教と教会の再構築>[2]——拒絶反応を起こした独自の世界観 記・石田 学

 = 8 面 レビュー=
◎Movie:「ある愛へと続く旅」11月1日公開 http://www.aru-ai.com/
★Book:『民衆と歩んだウェスレー』清水光雄著(教文館、1,995円本体価格) 評・藤本 満
★Book:『イエスの足跡に従う——アナバプテストの伝統』アーノルド・スナイダー著(東京ミッション研究所、1,890円税込) 評・宮崎 誉
★Book:『神学入門シリーズ はじめてのウェスレー』W・J・エイブラハム著(教文館、1,995円税込)
★Book:『おかんとボクの信仰継承』大嶋重徳著(いのちのことば社、945円税込)
★Book:『こころの旅路——罪なき「罪人」の足跡を辿りつつ』中島武彦著(かんよう出版社、1,890円税込)
★Book:『日本YMCA人物事典 われらまたこぞりて起たん』YMCA史学会編集委員会編(日本YMCA同盟、2,100円税込)
★CD:「恵みの歌」TAKEO(アルファトラックス、全11曲、1,890円税込)
★CD:「そっと寄り添って」森 祐理(モリユリ・ミュージック・ミニストリーズ、全12曲、2,310円税込)


◎北朝鮮収容所から2万人消えた−−人体実験で虐殺の恐れも?=1310270102

 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の大規模な強制収容所から最近、少なくとも2万人の良心の囚人が消えたことが分かり、北朝鮮の人権問題を監視している関係者らは大虐殺の可能性を懸念している。アシストニュースサービス(ANS)が10月14日、同国の元良心の囚人で人権活動家のロバート・パク氏の話として伝えたところによると、昨年、22番収容所の番兵所、尋問施設、勾留施設などが取り壊された映像を入手したという。22番収容所はロサンゼルスより広い敷地があり、以前は3万から5万人の囚人を収容していたと見られている。
 7千~8千人の囚人が一夜のうちに列車で、山中に隔絶された16番労働改造所ないしチョンジン近郊の25番労働改造所に送られたとの観測があるが、残りの消息は不明。
 元収容所番兵のアン・ミュンチョル、クォン・ヒュク両氏は、22番収容所が文字通りのキリングフィールド(虐殺現場)だと証言している。囚人が生体解剖や、毒ガス、化学兵器の実験台に使われた証拠があるという。
 

◎認知症介護 語り合う場を教会に−−日基教団埼玉地区で懇談会=1310270201

 少子高齢化が進み、教会でも認知症の人の介護が課題となっている。日本基督教団関東教区埼玉地区で設立した「障がいを負う人々と共に生きる教会を目指す懇談会」(愛称=アーモンドの会)は第19回懇談会を「高齢化社会と教会0認知症に向き合う」と題して9月23日、和光市にある埼玉和光教会で開催した。2人の家族介護体験者、介護施設介護士が自らの介護実体験を報告し、川越キングス・ガーデン施設長の児島康夫さんが助言者としてアドバイスした。
 斗内寿子さん(埼玉和光教会員)、滝川英子さん(七里教会員)は、それぞれ夫の母親を介護した体験を語った。
 斗内さんの義母は夜間に徘徊して交番に保護されたり、水道栓を全開にして家中や階下の家を水浸しにするようなことがあった。
 10年間介護して義母は亡くなった。当時、子どもが教会の幼稚園に通っていた。かつては「自分は決して教会などに行くものか」と思っていたが、義母の死後、幼稚園の母親のための聖書を学ぶ会に自然に参加するようになり、介護を通して「神様に見守られている」と知り、受洗に導かれた。
 滝川さんは義母の介護以外でも教区、教団の多くの委員を務めて「超多忙」であり、「一人静かな時間を持てる余裕は全く無い」ほどであった。
 義母が転んで腰の圧迫骨折で入院すると、要介護2から5になった。元看護師の義母は入院していた病院内を夜間徘徊し、他の患者の点滴パイプを切断して回るような事件を引き起こし、退院を迫られた。県内55件の施設、病院に転院を打診したが、全て断られ、医療施設の限界を目の当たりにした。
 この間滝川さんは母校女子聖学院の校訓「神を仰ぎ、人に仕える」を支えに義母の介護を全うすることができた。
 佐久間文雄さんは「たすけあいネット」理事長であり現役の福祉介護士。「認知症の人の異常にも見える言動には、その人がどんな人生を過ごしてきたかが『こだわり』として現れてくる。その言動には意味があります」と解説。
 働き盛りの夫が介護に関われず、妻に大きな負担がかかるという事例は多い。「男性を巻き込むためには、『大変なのよ』と言い続けてもダメ。『こうすると、こうなる』と理屈を教えることが大事です」と話した。「夫は一言『ありがとう』と感謝を伝えるだけでも妻の負担感を減らすことができる。またできるだけ地域の支援センターやサービス機関を活用してほしい」と提案した。
 児島さんは、介護者が「本音をはき出す場」が無いことを指摘。施設で実施した分かち合いの事例を紹介して「『そんなことを言ってはダメ』ではなく、『分かるよ』と言い合える場が教会の中でもあると良い」と提言した。ローマ12章15節を引用して「喜ぶものと共に喜ぶ」教会でありたいと激励した。
 午後には607人の小グループに分かれてバズセッションで分かち合い、質疑応答では医療従事者からも、医師、看護士不足の実情などが報告された。最後に佐久間さんは「これからの教会は『幼稚園』ではなく、『老稚園』ですね」と締めくくった。

◎Movie:「ある愛へと続く旅」11月1日公開=1310270801

 愛する人の子どもを産み、愛し育てたい。そう強く願うが出産できない母体と診断されたジェンマ(ペテロぺ・クルス)。彼女の願いを受け止める夫のディエゴ(エミール・ハーシュ)。二人の心の機微を物語の核に据え、イタリア女性とアメリカ人カメラマンの二人が出会った町サラエボが戦火に包まれた。そして波乱を経て明日へと生きる現代のジェンマの人生。
 だが、シンプルな愛情物語ではない。自分らしい生き方を求めて商業カメラマンの道を捨て戦場カメラマンとしてサラエボへ赴くディエゴ。ジェンマも後を追ってディエゴとともにサラエボの友人ゴイコたちとともに人道支援の活動に参加する。戦場の町にいてもディエゴの子どもが欲しいという想いを捨てきれないジェンマは、躊躇するディエゴといっしょに代理母を探し始め、ミュージシャンを目指す女性アスカと出会う。ロックバンドのニルヴァーナに心酔するアスカは、代理母を引き受ける謝礼で外国へ行く夢を実現したいという。自分の夢のために割り切る意志の強さと気さくな明るさにも打ち解けることができたジェンマは、アスカに代理母としての願いを託す。
 だが、サラエボの戦況は悪化し日ごとに激しくなっていく。しばらくは散り散りになった3人。そうした悲惨な戦場の町でアスカは男の子を出産した。アスカのことを気遣いながらも、生まれたばかりの赤ちゃんの安全のためにイタリアへ戻る決心をしたジェンマ。だが、戦場でパスポートを紛失したディエゴは、救助に来た飛行機に同乗することができなかった…。
 こうした縦の糸に、現代と当時の状況のシーンが複雑に絡み合い緊迫感とミステリアスなストーリー展開へと引き込む脚本と演出そして俳優たちの上手さ。戦争という人間の罪性と暴力による悲惨の最中でも善きものは起こりうるのか。男女の愛だけではないある愛とは。原題のこの世に生まれる生命というニュアンスが静かに、深く染み入ってくる作品だ。

監督:セルジオ・カステリット 2012年/イタリア=スペイン/イタリア語、英語、ボスニア語/129分/映倫:PG12/原題:Venuto al mondo、英題:Twice Born 配給:コムストック・グループ 2013年11月1日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー。
公式サイト http://www.aru-ai.com/