2001年9月16日号《ヘッドライン》

2001年9月16日号
《ヘッドライン》
 = 1面 =
◎「人は従属物ではない」——虐待被害者の自立を手助けするプテラつばさの会
◎新設58教会、全国に7772教会——『クリスチャン情報ブック2002』教会データ集計結果
★映画「親分はイエス様」一般公開開始——滑り出しは上々
★マレーシア:クリスチャンの施設を回教過激派が放火
★<落穂抄>「らい予防法」は両刃の剣  = 2 面 =
★日本発の教会音楽専門校、来春開校——ジャパン・ミッション・ミュージック・スクール
★JTJ宣教神学校が自前校舎を来春、東上野に完成
★韓国国会議員ら、「歴史教科書」禁止仮処分申請を取り下げ
★「朝鮮人虐殺は国家犯罪」——9・1集会で石原都知事発言を検証
★アフガニスタン:キリスト教布教の逮捕者ら健康で待遇良い——米独外交官ら面会
★アフガニスタン:タリバン政権がNGO事務所を閉鎖
★<論説>首相の靖国参拝——「宗教問題」と認識し代案を 記・稲垣 久和  = 3 面 全面広告=
☆『クリスチャン情報ブック2002』9月15日発売
http://csd-news.gospeljapan.com/publish/db2002/db2002.html  = 4・5 面 新・地域宣教シリーズ:中国地方編=
★岡山県:アメリカンボードによる宣教の結実
★島根県:歴史に残る松江バンドの霊的遺産
★鳥取県:2,600人を集めた伝道集会=
★広島県:19世紀からのアライアンス教会進出
★山口県:迫害下で前進した開拓期の伝道  = 6 面 日本宣教のパイオニア=
★レオナルド・W・クート——不可能は挑戦となる
★レオナルド・W・クート年譜
 = 7 面 =
★「クリスチャンイメージ変わった」——VIPクラブ サマー・フェスティバル2001
★生かされている喜びを本に——生駒聖書学院院長・榮 義之さん
★ゴスペルアート展覧会「ニュー・ミレニアム」(9月28日~29日、東京・OCC8Fで)
◎<北から南から>栃木県:小山平和教会——夕方、結婚式場は教会に
★米国:ぬいぐるみで子どもに伝道  = 8 面 生活のページ=
★<あの日のメッセージ>「折々のみことば」今日の私を作った3説教 記・大土 努
★<真っ向勝負>質問:アメリカンな私、どうしよう 回答者:平林 佐知子
★<今週の本棚>『からだの救い』松永晋一著(新教出版社、2200円)
★<今週の本棚>『鼓動する東アジアのキリスト教』富坂キリスト教センター編(新教出版社、3300円)
★<今週の本棚>『ザビエルの同伴者 アンジロー』岸野 久著(吉川弘文館、1700円)
★<情報クリップ>催し情報ほか

「人は従属物ではない」−−虐待被害者の自立を手助けするプテラつばさの会0109160101

「人は従属物ではない」虐待被害者の自立を手助けするプテラつばさの会  夫やパートナーからの暴力、大人から子どもにと強いものが弱いものへ暴力をふるう。
そんなドメスティック・バイオレンス(DV)や虐待の話題を最近よく耳にするようになった。
12年前から被害者を励まし、社会的自立に至るまでの手助けをしてきた矢野悦子さん(アッセンブリー・柏カナンキリスト教会副牧師/プテラつばさの会代表)は、「(解決への)突破口はキリスト教にしかない」と確信すると同時に「キリスト教界が、DVを助長してしまう面もある」と指摘する。
 1997年に東京都が行った調査では、夫やパートナーから精神的、身体的、性的のいずれかの暴力を受けた経験のある女性が63・4%にも及んでいる。
3人に1人は殴られるなどの身体的暴力を受け、5割以上の人が「だれのおかげで食べられるんだ」と脅され、従わなければ無視されるといった精神的暴力を受けている。
 だが、日本では「夫の暴力は犯罪である」という意識が薄く、警察も民事不介入の姿勢をとってきた。
夫の暴力も夫婦喧嘩ととられてしまい、女性も無意識のうちにゆがんだ性役割意識を許容している。
女性は「依存して生きるもの」といった意識が男性だけではなく、女性の中にも根深くあるようだ。
特に被害者は、「私の努力が足りないから暴力を振るわれる」と思いこまされ、自尊感情が低く、選択・決断がしづらい学習された無力感にさいなまれるという。
 「加・被害者の『依存する』病理性を見ても、突破口はキリスト教しかない。
人間が人間として生きていくことを神が望んでいる。
加害者と被害者がそれぞれの罪に気付いて、人間が従属物ではないことに気付かなければならない。
そのような人間の尊厳を語れる場所は教会です」と、矢野さんは確信する。
 教会を逃れの場として逃げ込んでくる被害者は少なくない。
だからこそ、矢野さんはクリスチャンが正しい知識とネットワークを持って、被害者に目を向けてほしいとの願いを持つ。
 突破口は聖書にある。
そう言いながら「キリスト教界もDVを助長してきた面があるのではないでしょうか」と、矢野さんは言う。
 「夫が『いのちを捨てたキリストのように妻を愛す』ということよりも、妻が『夫に従う』に重点を置いて、耐えられないのは女性が悪いと言ってこなかったでしょうか」。
実際に、不当な暴力を振るう夫がいても、「離婚はいけないこと」とつらいことを我慢し、自分を責めうつ病になってしまう人も少なくないという。
夫が妻に暴力を振るう姿を見ることは子どもにとっては虐待となる。
また、「神」の権威で、個人の感情や意思を無視してしまう支配者的な牧師、逆に、「依存症」的なクリスチャンの存在も見逃せない。
 「信仰は、自分の責任で選び取っていくもの。
指導者に人生を決めてもらうのは楽。
でも聖書は決してそうは言っていない」。
プテラつばさの会では被害者をエンパワー(力づけ)し自尊心回復をし、不当な暴力や支配から、被害者自身が選び逃れ、社会的にも自立に至る手助けをしている。
 矢野さんが、被害者を援助する働きに携わることになったのは、18歳のころ、教会に来ていた後輩が家族に虐待されていたことがきっかけで、DVについて調べ始めた。
伝道師となった後も、教会に逃げてくる女性たちのケースに触れた。
結婚してからは、教会とは別に、カウンセリングセンターを始め、99年に被害女性を援助するNGOとして会を設立。
今までに70ものケースを扱い、神によって「自立して生きること」を語ってきた。
千葉県家庭裁判所で研修を依頼される実績もある。
 2002年4月からは「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV法)」が施行される。
だが、被害者たちへの対応はまだ十分ではない。
神によって認められた人の尊厳を宣言できる教会が今、立ち上がらなければならない時が来ているのだろうか。
 カウンセリングはセンターへ。
予約制。
1時間1万円。
「プテラつばさの会」への問い合わせはTel.090・4678・6172まで。

新設58教会、全国に7772教会−−『クリスチャン情報ブック2002』教会データ集計結果010916

新設58教会、全国に7772教会『クリスチャン情報ブック2002』教会データ集計結果  教会員数、礼拝出席者数は微増。
だが、人口が増加している大都市圏で、教会の増設が人口増加に追いつかなかったり教会数が減ったりした都県もある——9月15日に本紙から発行する『クリスチャン情報ブック』2002年版のデータで、そんな日本のプロテスタント教会(推定会員数52万人)の現況が明らかになった。
教会へのアンケート調査は、今年3月下旬から5月末に実施、約3400の各個教会からの回答および諸教団教派の協力を得た。
中間集計結果では、全国にプロテスタント教会は7772教会で、昨年より71教会増となった。
 今回調査で新たに登録した教会は136教会で、そのうち「設立年」の回答で2000年設立が43教会、2001年設立は15教会で、計58教会が新たに誕生している。
 教会の増加が最も多かったのは福岡県の12教会、次いで秋田県(9)、長野県・岐阜県(7)。
一方、教会が減少した都道府県は、沖縄県(-8)、千葉県(-6)、宮城県(-4)、茨城県・鹿児島県(-3)。
教会数の多い都道府県は、東京都(966)、大阪府(571)、神奈川県(511)、兵庫県(432)、北海道(404)が上位5位。
人口密度の高い順位とおおむね符合するが、唯一、全国で2番目に人口密度の低い北海道(1平方キロメートル当たり68・1人)が5位に入っている。
 全国平均で、人口1万6221人に1つの教会がある。
この集計値よりも1教会あたりの人口値が低い都道府県は13。
沖縄県(6463人)、香川県(1万1624人)、鳥取県(1万2114人)、東京都(1万2157人)、京都府(1万2383人)。
上位5位の顔ぶれは変わらないが、前回2位の東京都が今回4位に退いている。
東京都は前回より2教会増だが、人口は6万2699人の増加で、1教会当たり40人伝道対象者が増えた。
 ほかに大都市圏では、千葉県(6教会減)は人口2万9984人増で教会対人口値も429人増、愛知県(教会増減無し)は人口3万1256人増で教会対人口値も100人増。
教会数が増加した神奈川県(3教会増)は人口4万2937人増で教会対人口値は7人減、埼玉県(5教会増)も人口3万1839人増で教会対人口値167人減となっている。
 移転・閉鎖などで教会未設置になった市町村は16個所、前回教会未設置から教会が設置された市町村が21個所あった。
 教会が一つもない市は北海道赤平市と歌志内市、山形県尾花沢市、富山県滑川市、新潟県両津市、岐阜県美濃市、長崎県松浦市、鹿児島県加世田市の8市。
昨年まで未設置とされていた富山県新湊市は99年から宣教師らによって開拓伝道が始まっている。
 教会未設置市町村へのチャレンジと共に、人口増加が著しい地域での教会数増加も望まれる。
教勢面では横ばい状態  教勢面では「教会員数」回答が5616教会(前回より510増)、「礼拝出席者数」回答は5319教会(前回より329増)あった。
回答集計による教会員数は37万7599人(平均67人=前回より2人増)で、推定52万人のプロテスタント人口といえる。
 礼拝者数の回答集計は22万3516人(平均41人=前回より1人増)で、推定の礼拝人口は31万人台になる。
礼拝者数の増減で見ると、東京都(7095人増)、大阪府(1487人増)、神奈川県(1454人増)が1000人以上増加の地域。
一方、礼拝者数減少の地域は、高知県(29人減)、長崎県(20人減)、富山県(15人減)、山口県(14人減)の4県だった。
 だが、平均値の増減では、増加は15地域で東京(5人)、岡山県(3人)、茨城・愛知(2人)のほか11県が1人増で、平均値減少は10県あった。
教会員数・礼拝出席者数ともに、教勢面の集計は横ばいの情況といえよう。

<北から南から>栃木県:小山平和教会−−夕方、結婚式場は教会に0109160604

<北から南から>栃木県:小山平和教会夕方、結婚式場は教会に  JR小山駅から歩くこと10分。
思川(おもいがわ)に架かる橋の上から2本の尖塔が鮮やかに見える。
今年3月に栃木県小山市にある結婚式場「ベルジューネ小山」(株式会社東武ブライダル)が建てた新しい教会、カテドラル「シャぺル・ドゥ・サンタムール」だ。
この教会堂で日曜午後6時からキリスト教会が礼拝している。
 ベルジューネ小山ではすでに結婚式用のチャペルを持っていたが、設立10周年を機に本格的な教会堂の建設に1年半前から取り組んできた。
当初は神社スタイルの神殿を作る計画もあったが、最近は圧倒的にキリスト教式が多いため教会堂建設の計画を進めた。
進めていくなかで、会社役員から「単に商業ベースの結婚式場になることなく、せっかく建てるのだからスピリチャルなものを込めたい。
キリスト教会を誘致して、無償で会堂を使用してもらったらどうか」という意見が出され、いくつかのキリスト教会にこの話を提示した。
断る教会が多い中で、日本バプテスト同盟・東京平和教会牧師の丹野真人さんは「突然の壮大な計画に驚いたが、こうした話をお断りするのはよくないのではないか」と思い、教会員とも相談し教会として話を受けることにした。
 丹野さんは毎日曜日、東京平和教会で午前中の礼拝を終えてから午後、教会員数人と共に車で小山市に移動する。
4時ごろからJR小山駅前で路傍伝道をし、教会の地図の入ったトラクトを配っている。
3月に礼拝を始めた時には東京平和教会のメンバーだけで礼拝を行っていたが、8月半ばから地元に住む日本人、フィリピン人、ブラジル人ら10数人が礼拝に参加し総勢20人ほどの出席者になった。
 ベルジューネ小山の取締役総支配人の蓮見公夫さんは「初めてのことで戸惑うことも多くあったが、これからもよい関係を保っていきたい」と語る。
教会内部にはステンドグラスが施され、150人がゆったりと入ることができるスペースがある。
バプテスト教会ということで、結婚式には直接必要ないが浸礼槽も設置された。
 丹野さんは「結婚カウンセリングを通して協力していく。
10年ぐらいの計画で教会形成を進め、いずれは独立できるようにしたい」と話す。
日本の新しい教会形成の試みとして注目される。