2001年10月28日号《ヘッドライン》

2001年10月28日号
《ヘッドライン》
 = 1面 =
◎アフガン難民への救援トレイン——パキスタンのクリスチャンが計画
★アジア福音同盟「教会奉仕と宣教に関する世界宣教」——世界に聖(きよ)い模範を
★映画「親分はイエス様」に感動——坊さんも十字架行進に参加
★パキスタン:クリスチャンが怒りのはけ口に
★テロ後緊急レポート:アメリカの教会は今<4>——教会に戻る人々
★<落穂抄>やられても相手を赦す愛  = 2 面 =
★小泉首相の「神学論争」発言——座視できない問答無用の議論否定 記・櫻井圀郎
★武力によらない平和を!——日基教団西東京教区が緊急集会
★埼玉YMCA「平和を求める祈りの集い」——テロ犠牲者を追悼
★キ政連女性有志ら武力報復反対票の米議員に連帯
◎JEA:米ワールド・リリーフの遺族への救援活動を支援
★日本宗教連盟が武力攻撃を憂慮
★ロシアからドイツ移住のユダヤ人——旧約予言の抜粋でメシヤ知る
★米の価値観、世界へ押し付けに警告——聖書同盟国際会議で比女性が発題
★NCCはアフガン難民緊急支援募金
★日基教団もアフガン難民救援に募金開始
★日キ教会はアフガン攻撃反対声明を大会決議
★<世界の出来事フラッシュ>インドネシア、フィリピン、バングラデシュ
★<論説>アジア教会奉仕宣教会議の意義——21世紀の「教会と宣教」方向付け 記・蔦田 公義  = 3 面 =
◎同時テロ直後の「教会奉仕・宣教会議」——問われた教会・宣教のあり方
★アジア福音同盟実行委員に小川国光氏選出
☆「第20回クリスチャン写真大賞・第24回あかし文学賞」公募  = 4 面 宗教改革特集=
★民衆の信仰覚醒——個人の問題意識、霊的探求から 記・井上政己
★フルドッリヒ・ツヴィングリ
★マルティン・ルター
★ジャン・カルヴァン
★宗教改革後の会衆賛美の重要性を
★ビデオ「カルヴァン&ツヴィングリ  = 5 面 =
★元全学連書記長 映画「親分はイエス様」で回心
★若者の「出会いの場」演出——ROS企画主催「ゴスペルナイト」
★日本語で励ましを待つ人がいる——米アハイオ州シンシナティで日本語礼拝開始
★日本福音同盟:フィリピン・ホテル火災の被害者へ義援金
★<召天>B・L・ヒンチマン氏(元関東学院院長)
★カンボジア:母国語初の賛美歌集  = 6 面 生活のページ=
★<あの日のメッセージ>教会学校で聞いたことば 記・蒔田 栄
★<投稿>今、緊急の時
★<投稿>無牧の教会は進んで韓国の教職者を
★<投稿>川柳
★<今週の本棚>『公共の哲学の構築をめざして』稲垣久和著(教文館、2800円)
★<今週の本棚>『ナルニア国物語をつくった人』M・コーレン著(日本基督教団出版局、3600円)
★<今週の本棚>『キリストの血潮』ロバート・コールマン著(福音文書刊行会、1600円)
★<情報クリップ>催し情報ほか

アフガン難民への救援トレイン−−パキスタンのクリスチャンが計画0110280101

同時多発テロ後の米英などによるアフガニスタンへの攻撃で、隣国パキスタンでは激しい反米感情が吹き荒れ、クリスチャンが厳しい立場に立たされている。
そうした中で、この時にキリストの愛をアフガンからの避難民や地域住民に示そうと、同国のクリスチャンたちが祈りと救援の列車を走らせる計画を立てている。
 計画を提唱したのはOM(オペレーション・モービライゼーション)パキスタン総主事で同国のマーチ・フォー・ジーザス(MFJ)代表ピーター・ジル氏。
同氏から祈りを要請するメールが、日本のマーチ関係者らに届いた。
マーチが「迫害の中に在るキリストの体を覚えて」をテーマにした98年、日本はイスラム原理主義者による圧迫が強まっていたパキスタンのために祈った。
同年パキスタンのマーチは予定を延期しながらも、すべての人のための平和的な行進として住民や行政当局の理解を得て実現した。
 10月初旬にジル氏から入った連絡によると、パキスタンでは10月21日から27日まで、列車を使っての伝道的マーチ「ゴスペル・トレイン」と、20万人規模の大集会および奉仕訓練学校の開催を予定していた。
これらのイベントは同時多発テロ後の緊迫した状況で中止となったが、代わりにアフガン難民のための「ナショナル・クリスチャン・リリーフ(救援)トレイン」を発案した。
 期間は11月25日から30日までで、東のラホールからアフガン国境に近いクェッタまで列車を走らせ、国境沿いのバロチスタン地方の難民のために愛を表す活動をしようという計画。
具体的な方法は模索中。
諸教派・団体に呼びかけ、同国聖書協会と教界指導者らが決定した。
すでにアフガン難民のために活動している救世軍なども、計画に関心を示しているという。
 列車は途中の各駅に止まって祈りの手引きを配り、パキスタンや世界の状況のために祈る。
イスラム教徒とクリスチャンの関係はこの戦争によってさらに悪化することが予想され、「この列車によって、この悲しみと痛みの時に、人間としてひとつであることを表したい。
イスラム教徒の中にある、クリスチャンへの苦い思いを減らすことができるかもしれない」。

JEA:米ワールド・リリーフの遺族への救援活動を支援0110280205

米国同時テロ事件の犠牲者家族に対する救援のため、日本福音同盟=JEA=援助協力委員会(中台孝雄委員長)は支援献金を募っている。
同じ世界福音同盟のメンバーである米国福音同盟(NAE)の援助協力機関ワールド・リリーフの活動を支援する。
 ワールド・リリーフはニューヨークの諸教会と共に、▽犠牲者の家族への霊的・精神的サポート▽犠牲者家族を訪問したり、葬儀に参加する人々の宿泊・食事の世話▽医療および葬儀費用の援助▽病院への訪問▽犠牲者・家族・災害現場援助チームのために仕えている教会への資金援助▽米国の福音的援助機関への資金援助▽今後起こりうる、特に中東からの難民、移民への援助などを企画中。
 募金の期間は12月末まで。
あて先は郵便振替00190・5・7790(JEA)日本福音同盟援助協力委員会あてに(「米国支援」と明記)。

同時テロ直後の「教会奉仕・宣教会議」−−問われた教会・宣教のあり方0110280301

アジア福音同盟主催「教会奉仕と宣教に関する世界会議」は、米国同時テロ直後の開催とあって、講演や討議、祈りの随所でこの未曾有の出来事の意味に言及した。
 暴力と敵対の中で  福音宣教の意味は   世界福音同盟宣教委員 長のウィリアム・テイラー氏は、米国人として事件の衝撃を語り、今日クリスチャンが多方面で迫害・暴力や多元主義に直面し、聖書の権威や真理の定義などで困惑していることを指摘。
そのような時代にあってクリスチャンで福音的であることの意味を問いかけた。
そうした中で宣教学のあり方を模索し、テロ事件を受けて、特に▽クリスチャンとイスラム教徒はどのように、霊性を攻撃してくる道徳的・倫理的な敵と戦えるか▽アメリカの宣教師運動によって担われてきた役割はどう変わるのか。
もっと低くなり、うぬぼれを捨て、キリストのように謙遜にならなければいけないのではないか▽私たちのイスラム理解と彼らへのキリスト教宣教のあり方はどう変わるのか、などの問題を提起した。
 教会は諸国民の主  世界を変えるべき   アジア福音同盟初代議長で前世界福音同盟総主事のジュン・ベンサー氏は、「社会における教会」について講演した中で、この時代の文脈として▽テロリズムの頻発▽家庭崩壊の増加▽静かに進むホロコースト(大虐殺)としての中絶、エイズ、貧困、貧富の差の増大などを指摘。
「問題を解決するために人間は不適格であることを自覚し、イエスに期待しなければならない」として、「教会はキリストが主権をもって諸国民の主となりたもうところ」との理解を示し、イザヤ書などから「聖書には(実際生活において)生産的でありなさいという、社会進歩に関する教えがある。
安全で平和で穏やかな社会のビジョンを教会が失ったら、方向性を失ってしまう」と警告。
 「今日の教会の危険は、教会が自己中心的な枠の中に閉じこもってしまうこと」だとして、「この社会に神の国の実現を見るべきだ。
世俗社会と教会を結びつけなければならない。
私たちは社会で活発であるだろうか? 外の世界と力を合わせ、外の世界を変えなければならない」と述べた。
 キリスト者が悔い  改め和解の中心に  「教会を通しての和解」について発題したレグ・レイマー氏は、「主の前に立ち返る時に和解がなる。
父なる神だけがその和解を与えられる」と提言。
同時多発テロが起きた9月11日を「アメリカが初めて他の国々の痛みを共有し、理解を示した日」と定義した。
「キリストは十字架の痛みにおいて和解の道を示して下さった。
和解のためには互いに痛みを知り告白と赦しが必要だ」として、憎しみは十字軍から始まったことを指摘し、歴史を振り返り悔い改める必要を述べた。
 「福音の中に和解と平和の立て上げがある。
愛と義の武器を取って、痛む社会に福音を伝えなければならない」と、クリスチャンが中心となって和解をつくり出す者になるよう勧めた。