聖書のことばに聴く
「キリストは、神の御姿であられるのに、神としてのあり方を捨てられないとは考えず、ご自分を空しくして、しもべの姿をとり、人間と同じようになられました。」 新約聖書・ピリピ人への手紙2章6、7節
相手の立場になって
世界各地で隣国どうしの紛争や反目が起きています。少し前まで「友好」「親善」と言っていても、そうなると「反感」や「嫌悪」が渦巻きます。 考えてみれば、こういうことは国と国だけでなく、人と人の間でも起こりがち。家族や親しい友人でも「相手はどうして分かってくれないのか」と、憤然とした気持ちになることがあるのではないでしょうか。そういうとき、「相手の立場になって考えてみれば？」と言われます。でもこれが、言うは易く行うは難し。簡単にできることではありません。
連載 オカリナ牧師のゆるり散歩15
<<なぜですか？ の答え>>
日本ナザレン教団鹿児島キリスト教会牧師／オカリナ奏者 久保木 聡
道を歩いているだけで、涙がぽろぽろとこぼれる時期がありました。結婚して六年目、ようやく授かった子が流産のため地上の生を終えたあと、一年ほどの間です。
「神さま、なぜですか？」という問いが続きました。しかし世間を見渡せば、同様に流産のため生まれなかった命があり、はたまた生まれても事故や事件に巻き込まれ、無垢（むく）な子たちの命が絶たれることもあります。ご家族の悲しみはいかばかりかと思いますし、わたしと同様に涙が止まらない時期を過ごしていると思うのです。
連載 第7回 聖書カメラの捉えた 映画と人生
<<クレイマー クレイマー>>
小川政弘 （元ワーナーブラザーズ映画制作室長）
この映画は、エイベリー・コーマン原作、ロバート・ベントン監督・脚色、ダスティン・ホフマン主演の一九八〇年公開作品で、離婚後の父親と七歳の一人息子の一年半にわたる親子の愛の交流と、母親からの養育権請求裁判での闘いを描いた社会派ドラマです。一九八〇年代を代表する佳作として、第五十二回アカデミー賞で、監督、脚色、作品、主演男優、助演女優の五つの主要オスカーに輝きました。
連載 こころの食卓 ハーティーな英国の暮らし
<<第7回 恵みを感じる収穫の季節に>>
案内人＊山形優子フットマン(食エッセイスト・ロンドン在住)
今月は英国の秋を代表する、りんごのお菓子アップル・クランブル。りんごをたくさん使いますが、この時期の英国では材料に事欠きません。近くの森に行けば小ぶりの野生りんごがたわわ、住宅街を行けば古木が塀の外にせり出し、実の重みでおじぎをするよう。
でも、りんご泥棒にはおよびません。家々の木戸付近には、不揃（ふぞろ）いの実がたくさん入った段ボール箱が置かれ「ウィンド・フォールです。ご自由にお持ちください」とのメッセージが付いているから。
連載 再び季節が巡るまで 第7回
<<妻を喪った僕の3年>>
一級建築士 木下滋雄
大切な人を亡くした人に寄り添い、悲しみを癒やす助けをする「グリーフケア」という働きがあることは知っていました。
そんなグリーフケアをするグループの一つ、HUG Hawaii に初めて連絡を取ったとき、「まだ二か月しかたっていないのでは、つらいですね」と言われ、何とも言えないあたたかさを感じました。
周囲からは「もう二か月たった」とか「そろそろ元気になった？」と言われ始め、自分の思いが周囲とはかけ離れていることに苦しめられていたので、「まだ二か月」と、言わなくてもわかってもらえることにとても安堵（あんど）したのです。
ひとそのあしあと
人間が限界のある頭で考えた仮説よりも、神の創造の業のほうが大きいんです。
今月のひと…筑波大学教授 国際統合睡眠医科学研究機構長 柳沢正史さん
「生物にはなぜ睡眠が必要なのか」「長く起きていると、なぜ眠くなるのか」については現代の神経科学では解明されていない。一般に言われている「疲れた脳が休むため」という理由は間違いで、脳は寝ている間も活発に動いている。心臓や肝臓と同じように…。一般向けの講演会でこんな話をしているのは、柳沢正史さん。睡眠の世界的な研究拠点である、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構のリーダーとして、約百五十人のスタッフを束ねる。ということは、睡眠の世界的権威である。ノーベル医学賞候補の一人とも目される科学者にインタビューをしたら、なぜか聖書の話になってしまった。
