聖書のことばに聴く
「人とその妻は、神である主の御顔を避けて、園の木の間に身を隠した。神である主は、人に呼びかけ、彼に言われた。「あなたはどこにいるのか。」」旧約聖書・創世記 3章8、9節
あなたはどこにいるのか
幼い子どもは、どうして親に叱られるのか分かっています。自分が親の言いつけを守らなかったことを知っているからです。そして、親の目を逃れようと隠れるのです。考えてみるとこれは子どもに限ったことではありません。大人だって心にやましいところがあれば、顔向けできないと感じるでしょう。上のことばは、聖書の中でも有名な「失楽園」の描写です。神が造られた世界は、すべてが調和していのちにあふれ、祝福された中にありました。エデンの園が「楽園」と称されるゆえんです。現代風に言えば、生態系が守られたサステナブル（持続可能）な世界、本来あるべき自然の恵みに満ちた環境ということでしょうか。ところがアダムとエバは、すべてを自分の思いどおり支配しようとする欲望に駆られて神のことばにそむき、祝福を失います。その結果、被造世界の調和も壊れてしまった｜それが失楽園の物語です。
新連載 イエスの名言 それってありなの？ 5
「本当の豊かさって何だろう？」
水谷潔(春日井聖書教会 協力牧師 キリスト教性教育研究会 会長)
近年は「断捨離」が普及し、必要最小限の持ち物で暮らす「ミニマリスト」も、知られるようになりました。「所有＝豊かさ」とは異なる価値観やライフスタイルが評価され始め、「本当の豊かさとは何か」が問われているように感じます。そんな時代だからこそ、お読みいただきたいのが、ルカの福音書12章13～24節が記す「愚かな金持ち」と呼ばれるたとえ話です。
名画で読む聖書の世界 9「空の鳥を見なさい」
町田俊之(バイブル・アンド・アートミニストリーズ 代表/富士見聖書教会 牧師)
この絵の作者である田中忠雄は、明治三六(一九〇三)年に、札幌市に生まれました。父は札幌組合基督教会(現札幌北光教会)の初代牧師でした。田中の絵は、聖書をテーマにしている印象が強いですが、聖書をテーマに描くようになったのは、戦後のことでありました。太平洋戦争が大陸に拡大していったとき、時局柄彼も戦争への意識高揚をはかるような作品を依頼されたのでした。しかし、戦争が終わったとき、絵描きとしての自分の使命は何であるかを問うようになり、こうした思いから、幼少の頃から学んできた聖書をもう一度読み直し、この国の状況のなかで描き出すことこそが、自分に与えられた使命ではないかと考え、その後はキリスト教美術画家として生涯を全うしました。
新連載 祈りのある風景
第5回 <<神と対話をする人々>>
守部善雅(キリスト教ジャーナリスト)
十九歳で、はじめてキリスト教会の門を叩（たた）いたのですが、どうしても、お祈りをするということがよくわかりません。ある日、教会の老婦人に言われました。
「守部さん、リンゴは、書物で調べてもその味は分かりません。実際に、食べてみて、分かるのよ。同じように、お祈りは、いくら調べても分からないわ。とにかく、お祈りをしてみて」
連載 バイブル・コラム いやしの言の葉 <17>
<<神の畑の″落ち穂”には祝福が>>
「落ち穂拾い」はご存知ですよね。穀物を収穫した後、こぼれ落ちた穂を無駄にせぬよう拾い集める、あれです。とは言っても、ミレーのあの有名な絵は思い浮かべる方は多いでしょうが、実際にやったことのある方はきっと少ないでしょう。もう一つピンときませんが、今日の聖書の箇所は、その落ち穂を拾い集めに行く、外国人（イスラエルの人にとっては）ルツの言葉です。
ひとそのあしあと
「酒抜きでもこんなに豊かなコミュ二ケーションがとれることを知った…」
今月のひと…日本Ｇ＆Ｍ文化財団代表理事 文俸柱（ムン・ボンジュ）さん
「私の人生は三部作なんですよ」と言う。第一部は外交官、第二部は牧師、第三部は一般財団法人 日本Ｇ＆Ｍ文化財団代表理事というキャリアを指してのことだ。そして、外交官時代も、牧師時代も、現在の理事としての仕事でも、一貫して変わらないテーマがある。それは、人に聖書の読み方を教え、その魅力を伝えるという自身の使命だ。
