宗教法人

全国霊感商法対策弁護士連絡会は9月30日、元信者、牧師、研究者らと都内で集会を開き、記者会見で声明を発表した 10月13日、文部科学省は、統一協会（現・世界平和統一家庭連合）による被害は甚大で民法の不法行為に該当するとして、解散命令を東京地裁に請求した。全国霊感商法対策弁護士連絡会（全国弁連＝川井康雄事務局長）は９月30日、速やかな解散命令と、統一協会の財産が隠匿・散逸されないため財産保全の特別措置法を今臨時国会中に速やかに成立させることを求め声明を発表した。 統一協会をめぐる問題は、キリスト教界では「異端・カルト問題」として教理や実態が解明されてきた。サークル活動やビデオセンターによる偽装勧誘、外部の情報を遮断した中で『原理講論』の教えを植え付けるマインドコントロール、詐欺的な因縁トークを使った霊感商法や家庭崩壊を招く高額献金の強要など、その活動は社会問題にもなってきた。 信者の救出・脱会支援は、被害者の家族から助けを求められたキリスト教会の牧師・信徒らを中心に行われていたが、１９８７年に全国弁連が発足し、法的・経済的な面でも救済が進んできた。ジャーナリストらによる実態解明とともに、脱会した元信者からもたらされる内部情報、脱会カウンセリングを重ねてきた牧師・信徒らによってだましのメカニズムが解明され、複合的に被害救済が進んできた経緯がある。 今回の全国弁連声明は、統一協会に対し、過去の違法・不当行為について第三者を関与させるなどして適切に調査し、献金等の経済的被害を訴える者からの献金記録等の開示請求に応じ、自身が生み出した被害に真摯に向き合い誠実に対応して謝罪し、損害の一切を賠償するよう改めて強く求めた。 全国弁連は昨年７月の安倍晋三元首相銃撃事件以後も統一協会に対し、個々の信者に責任を押しつけることなく被害者に謝罪・賠償するよう繰り返し求めてきた。だが統一協会は真摯に向き合うことなく、全国弁連や所属の弁護士、ジャーナリストなどの批判者、統一協会との関係を適切に対応しようとする地方自治体などを被告とし、相次いで民事訴訟を提起するなど、対決姿勢を強めている。 解散命令請求の意義について全国弁連は「文化庁が解散命令請求を行うということは、政府が統一協会について『法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした』（宗教法人法第81条１項１号）つまり反社会的行為を法人として組織的に継続して行ってきたものと判断したことを意味する」と説明する。 統一協会がアピールする「教会改革」については、欺瞞（ぎまん）であり世間への目くらましに過ぎないと断罪。被害が教団に反対する者によってねつ造されたものであるかのように主張し、被害の声を上げる者を攻撃する姿勢さえ見せていることを厳しく批判した。統一協会は、２００９年３月25日に「コンプライアンス宣言」を出して教会改革を進め、それ以後は相談件数も裁判件数も急減したとしているが、実際には宣言以後も引き続き多くの相談・裁判が存在しているとして、被害の統計を公開した。全国統一教会被害対策弁護団（全国弁護団）所属の弁護士が交渉・訴訟事件として受任したコンプライアンス宣言以後の被害は、判明しているだけでも140件、19億５千万円余りに上る。 全国弁連代表世話人の山口広弁護士は「私たちが30年間訴え続けてきたことがようやく実現する。組織的・計画的・継続的悪質性を認定してほしい」と期待を寄せる一方、「（解散命令で統一協会は）組織が混乱し、分派がこれまで以上に増え悲惨な金集めの被害が起こるだろう。さらなる被害を防ぐ対策が必要だ。40年余りの最大の被害者は信者の子どもたち、独り暮らしのお年寄り、ロボットになってきた信者たちです」と訴えた。

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