聖書のことばに聴く
「女が自分の乳飲み子を忘れるだろうか。自分の胎の子をあわれまないだろうか。たとえ女たちが忘れても、このわたしは、あなたを忘れない。」 旧約聖書・イザヤ書49章15節
わたしは、あなたを忘れない
人生は四季にたとえられることがあります。春はこれから成長していく青年期、夏は壮年期……と。夏はさながら大輪の花も盛りのもっとも充実した時期、といったイメージでしょうか。ところが今、「80 50問題」が深刻化しています。ひきこもりが長期化して五十代になっても孤立し、世話をしてきた親が高齢になって先のことを悲観するような例が心配されています。
連載 オカリナ牧師のゆるり散歩13
<<認めてくれ！―怒りの果てに>>
日本ナザレン教団鹿児島キリスト教会牧師／オカリナ奏者 久保木 聡
話を真剣に聞いていない家族に対し、あなたはどちらの言い方をしますか？Ⓐ「どうして話を聞いてくれないのよ！」と声を荒げる。Ⓑ「お願い。話を聞いてほしいの」と心を込めて伝える。
ⒶもⒷも話を聞いてもらいたいという目的は同じでも、伝え方で目的への達しやすさが変わります。Ⓐのように感情に任せて怒っても、かえって聞いてもらうという目的は遠ざかりがちです。
連載 第5回 聖書カメラの捉えた 映画と人生
<<コンタクト>>
小川政弘 （元ワーナーブラザーズ映画制作室長）
この映画は、原作が天文学者でもあるカール・セイガン、監督が娯楽大作で知られるロバート・ゼメキス、主演がアカデミー女優ジョディー・フォスターという一流ぞろいで、一九九七年に製作されたＳＦ映画です。
テーマは地球外知的生命体との“コンタクト（接触）”ですが、並のＳＦと違うのは、映像のすばらしさと、科学理論に基づいたストーリーのリアリティーに加え、無神論者セイガンが、三人の主要登場人物の言葉を通して、“創造者”（神）の視点で、生命の根源を問うている点です。
連載 こころの食卓 ハーティーな英国の暮らし
<<第5回 英国女王が愛した“ヴィクトリア・サンド”>>
案内人＊山形優子フットマン(食エッセイスト・ロンドン在住)
今年はヴィクトリア女王生誕二百周年。今月のお菓子ヴィクトリア・サンドイッチ・ケーキは、この甘党女王の大好物で、ラズベリージャムとクリームがスポンジに挟まれたものです。ヴィクトリア・サンドという愛称で呼ばれ、今でも英国人のお茶のお供の冠的な存在ですが、シンプルなだけに、上手に作るのは、なかなか難しいのです。
連載 再び季節が巡るまで 第4回
<<妻を喪った僕の3年>>
一級建築士 木下滋雄
六月中旬、直子は緩和ケア病棟に入りました。苦しみを緩和するには、もう少し薬を増やす必要があるが、そうするともう話すことができなくなるかもしれないと言われたので、その前に家族はもちろん、親しい友人や牧師にも来ていただいて、最後に話をする時間をもちました。
意識がなくなってからも、耳は最後まで聞こえているそうなので、病室にはずっと独立学園のコーラスや直子が好きだったメサイヤを流していました。それでも最後まで僕は奇跡を信じていたのですが、長女の誕生日である六月二十八日、病室でそのお祝いをした一時間後に、直子はついに天に帰ったのです。
ひとそのあしあと
大丈夫、大丈夫、すべてうまく行くから
今月のひと…ゴスペルシンガー 市岡裕子さん
「私も孤児だから。私もたくさんの人に、そして神様に、慰めてもらい、励ましてもらってきたから」。元吉本新喜劇座長の故・岡八朗の長女として生まれ、十六歳で母を自死で失ったゴスペルシンガーの市岡裕子さん。二〇〇八年から「市岡裕子インターナショナルミニストリー」を立ち上げて、タイのＨＩＶ孤児たちの支援を続けている。六月にＣＤ『LOVE IS WAITING FOR YOU～愛があなたを待っている～』をリリースした。収益の一部はチェンマイの孤児院四か所に暮らす子どもたちのために使われる。収録した八曲のうち、三曲は市岡さんのオリジナル。貧しくても夢と希望を持って生きている子どもたちを思いながら作った。父も弟も先に逝ったけれど、音楽と愛する人々と神に励まされて生きてきた。ユーモアとパワーを持ち味に、豊かな歌声で人の心を温め続けている。
