聖書のことばに聴く
金銭を愛する者は金銭に満足しない。富を愛する者は収益に満足しない。これもまた空しい。 旧約聖書・伝道者の書5章10節
参議院選挙で各党による政策論戦の目玉は、減税か、給付金か、社会保険料か……つまるところ暮らし向きを良くする〝お金〟の問題でした。もう少し生活にゆとりがあれば、と願うのは自然なことです。貧困で食べるのにも事欠くとか、進学をあきらめなければならないとかいう不安を、政治はなんとかしなければなりません。しかし「お金があること」が豊かさかというと、必ずしもそうではないようです。
連載 聖書エッセイ 私もこれで悩んでます
《6》私の薬膳
更正教会牧師 山口紀子
子どもの頃、今でいえばエイジングケア化粧品のCMをみていて不思議でなりませんでした。シミやシワなんて年をとったらできるのが当たり前。そのままでいいではないかと思ったのです。それから月日は流れ、30代。もともとそばかすがあるので顔のシミは意外と受け入れられましたが、気になるのはほうれい線や小じわ、手の甲や腕に現れたシミ…パックをしたり、美容液を買ってみたり悪あがきが始まりました。
連載 物語とキリスト教 深掘り・世界の名作文学
Vol.18 「アルジャーノンに花束を」
小松原宏子(児童文学作家・翻訳家)
「アルジャーノン」は、脳の手術によって人工的に知能が高められた、実験用ネズミの名前です。著しくIQが低いパン屋の店員チャーリーも同じ手術を受けます。三十二歳のチャーリーは知能障害のある成人のためのセンターで識字教育も受けていましたが、そこでの教師アリス・キニアン先生が、向上心のあるチャーリーを、脳の手術の候補者として推薦してくれたのです。
連載 小さな命の帰る家
第6回 小さくされた子どもの持つ力
松原宏樹(小さな命の帰る家 代表)
「小さな命の帰る家」には、毎週のように重い障がいや難病をもつ赤ちゃんの相談が届きます。すべてが最も重症であろうと思われる赤ちゃんたちのケースです。ひとつひとつの相談に向き合い、優先度の高い子どもから動いています。私のこの感覚は、もちろん聖書を基準としたものですが、路上生活者、虐待された子ども、児童養護施設の子どもたちとの関わりを通して培われ、今では確信へと変わってきました。
連載 中動態? 心に寄りそう聖書のメッセージ
18 信じて待つこと
中村穣(飯能の山キリスト教会牧師)
「わたしは去って行くが、あなたがたのところに戻って来る。」(新約聖書・ヨハネの福音書14章28節、太字著者)先日、教会でやっているカフェに久しぶりに来た方がいました。学生時代、教会に来ていた方でした。帰り際に「また礼拝に来てもいいですか」と彼女が言いました。いろいろあって今の自分を見つめたい、とのことでした。「またいつでも来てください」と伝え、別れました。安心して戻って来られる場所として教会があることをうれしく思いました。
ひとそのあしあと
聖書は世界のあらゆるものごとの窓になる豊富な内容がある
小説家 鈴木結生 さん
今年一月に、第百七十二回芥川賞を受賞した福岡市、西南学院大学大学院生の鈴木結生(ゆうい)さん。受賞作『ゲーテはすべてを言った』(朝日新聞出版)をはじめとした各作品には、西洋文学の深い読書経験が生かされている。その土台には、幼少から親しむ聖書で養われた世界観、信仰がある。鈴木さんが集う教会を訪ね、話を聞くと、鈴木さんの文学と聖書への思いがあふれ出た