2025年8月27日

「牧師にとってのふさわしい助け手とは誰だろうか」と橘内智徳さん （保守バプテスト同盟・北信カルバリー教会副牧師）は言う。「仕える人・支援者のケア」をテーマにする特集「3人に聞く」（※）。今回は執事時代に、牧師の「燃え尽き」に直面した橘内さんが寄稿する。 ※「仕える人・支援者のケア」：9月は防災月間。近年教会も災害支援活動に取り組むが、支援者側も疲弊する過酷な状況に気を付けたい。通常の牧会、奉仕の現場でも「燃え尽き」は起こりうる。コロナ禍でも経験されたが、今後予想される「人手不足」は、少数の働き手に負担をかけそうだ。「燃え尽き」にどう対処するか。経験者やカウンセラーなど、三人に聞く。 § § 「人がひとりでいるのは良くない。わたしは人のために、ふさわしい助け手を造ろう」（創世記２・18） 神はアダムにエバというふさわしい助け手を与えられたが、牧師にとってのふさわしい助け手とは誰だろうか。以前執事だった時は牧師の助け手となれるよう努めたつもりだったが、実際は牧師からの悩み・相談を受けることはなく、結果牧師は燃え尽きにまで至ってしまった。 牧師となった今感じるのは、ふさわしい助け手を得るには牧師側も相手に近づく必要がある、つまり「弱さを見せること」（＝信頼の証）が大切だという点だ。 （次ページで「なぜ弱さを見せることができないのか」「イエスの模範」など。約1150字） 勿論牧師は執事を信頼しているだろう、しかし実際、執事や教会員に自分の弱さを見せることができず苦しむ牧師が多いのではないか。そのことで牧師本人が苦しむのはもちろんだが、それは教会員にとっても不幸なことだ。なぜならそのことで教会が互いに祈り助け合い、一致し、教会が「キリストの体」として建て上げられることや「弱さの内に働く神の力」といった真理を体験する機会を失うという、教会の成熟を妨げることになるからだ。 では、牧師はなぜ弱さを見せることができないのか。例えば、「神の羊の群れを…心を込めて世話をし…群れの模範となりなさい」（Ⅰペテロ５・２～３）は、牧師の指針となるみ言葉だが、この箇所から群れの模範という言葉が独り歩きをし、教会員の信仰を損なわないようにという配慮によって弱さを見せることをせず牧師が疲労し、孤独を感じ、葛藤を抱えても「語れない」という不健全が生まれる。 私が言うべくもなく、み言葉は正しく、牧師は教会員の模範となるべきだ。そして、模範には「弱さを見せる」ということも含まれるべきだ。牧師自らがそのようにすることで、教会員も自分の弱さを告白し、共にそのために祈る、互いに弱さを担いあう「キリストの体」が建て上げられ、「弱さの内に働く神の力」を経験し霊的な成長の機会となるだろう。 なにより、私たちが模範とするイエス様はゲッセマネの祈りにて「できることなら、この杯をわたしから過ぎ去らせてください」と弱さを告白し隠していない。しかし、このことでイエス様を否定する人がいるのだろうか。かえって、イエス様の神であり人であるところの「杯」に対する苦悩・恐れ・孤独が表現され、それほど神の御子であられるイエス様が私たちの罪のために苦しんでくださったのか、と神の愛を知る機会となっている。 弱さの内に働く神の力が現れるために与えられた弱さを神が用いてくださるならば、牧師はそのことにも従順になるべきだろう。牧師はスーパーマンではない。罪びとの頭であることに変わりはない。牧師に力が必要なのではない。パウロはむしろ自分の弱さを誇ろうと語る。モーセは「私一人で、この民全体を負うことはできません」と神に訴えた。エレミヤは「主よ。私はあなたに惑わされました」とつぶやき、ダビデは「いつまで御顔を隠しておられるのですか」と嘆いた。これらは不平というより神に心を注ぎだす信仰の表現である。これらのことに解を得て、自らが歩み寄りふさわしい助け手が与えられ孤独から脱出することを願ってやまない。 私は足に障害があり、発達障害、アトピーを持ち、以前はうつ病を経験したが、それは同じ苦しみをもつ人に寄り添うパスポートを神様がくださったものと思い感謝する。弱さを感謝する時、誇る時、それは弱さではなくなる。正に真理は人を自由にするのだ。 関連記事 https://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/article-xefkzrvhirup3k82/ https://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/article-YMCsy6vR978Q1fDF/

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2025年8月27日

【映画】「壁の外側と内側」――知らされない占領下の日常

「助けてもらう」も学ぶべきスキル　郭ヘレンさん　仕える人・支援者のケア　3人に聞く②

なぜ信徒に弱さを見せられないか　寄稿　元執事・現牧師　橘内智徳　仕える人・支援者のケア　3人に聞く①

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