Movie「ピラミッド 5000年の嘘」――考古学はもちろん建築、物理、天文学など多方面から謎に挑む
とにかく面白い。子どものころから、写真で見慣れている古代エジプトの遺跡「ギザのピラミッド」。その巨大さに、すごい!の一言と片付けていた。そのすごさの疑問が、現代の建築学でも設計的・技術的にも不可能なほど、科学的な疑問にあふれている。そのいくつもの謎を、アップテンポな解説で畳み掛けるように次々と提示していく。そのいくつかを挙げると。
◆建設期間20年でホントに建造できたのか?
「ギザのピラミッド」は200万個の石で構成され、20年間で建造されたといわれる。だが、この年数では、1日12時間365日労働で200万個の石を積み上げるとしたら、セダン1台分の重さの石を2分30秒で積み上げていくことになる。果たして、紀元前2700―2500年前にできるできることだろうか。
◆じつは8面体という事実
4面体(四角錘)と思われているが、春分と秋分の年2回のみ、真東から昇る太陽がピラミッドの角度に達するわずかな時間、8面体であることが目視できる。これは偶然ではなしえない、地理学・天文学的観点からも緻密な計算で設計されていることが解かれていく。
そのほか、複雑な形に切り出した石の積み上げ方にも複雑な法則性がある。王の室など内部の室の驚くほどの精緻さ。この巨大なピラミッドが真北に向かって驚異の精度で方位を保って建造されているなど、様々な謎についてエジプトを専門とする考古学をはじめ建築学や人類学、物理学、地質学、数学、気候学、天文学など多方面なジャンルの学者や研究者が検証し、新説を証言していく。
これまで常識とされてきた’嘘’が、論理的・視覚的に映画の特質を活かして提示されていく。そこから導き解明された’謎解き’の結論は、映画としてもミステリアスで面白い。 【遠山清一】
監督・脚本: パトリス・プーヤール 2011年/フランス/100分/英題:THE REVELATION OF THE PYRAMIDS 配給:スターサンズ 2012年2月18日(土)より新宿バルト9、丸の内TOEIほか全国ロードショー。
公式サイト:http://pyramid-movie.jp