映画「TRASHED -ゴミ地球の代償-」――ゴミは容赦なく地球の寿命を縮めている
地球が壊されていく。誰に。私たち人間が、毎日の生活からつくりだすゴミによって、確実に地球は壊されていく。切なくなるほど、その事実を実感させられるドキュメンタリー作品だ。
環境問題にも関心の高いアカデミー賞受賞俳優のジェレミー・アイアンズが、解決への希望を捨てずにレバノンやイギリス、中国、ベトナムなど世界各地の情況をルポする。
毎日80トンものゴミが海岸線の処理場に排出される。川沿い水面にせり出すように家が立ち並ぶスラム街からは、直接川へ生活ゴミを投棄し、やがて川を下り海へと流されていく。 地球に危険な放射能だけが最終処理が確立されていないだけではない。さまざまな産業廃棄物や生活ゴミは、実際のところ最終処理の方法が確立していない現実。かつては地域生産地域消費の営みで、ゴミは腐葉土になり自然界を循環して食物や水に還った。
だが、150年ほど前からは、腐らない物質が大量生産され、投棄したままでは化学反応を起こして猛毒化していく。焼却すればダイオキシンや二酸化炭素など有害物質を輩出し大気汚染や温室効果の要因にもなる。
現代のゴミが有毒化する問題は深刻だ。粉塵化する有害物質やダイオキシンなどの毒素は、魚や鳥類にも蓄積する。だが、「健康被害を与える証拠は不十分」という。
‘ゴミは容赦なく地球の寿命を縮めている’現実をみつめながら、地道だが刺激的なエコライフ、サステナビリティ(持続可能)な発展への問題提起だ。 【遠山清一】
監督:キャンディダ・ブラディ 2012年/イギリス/英語/97分/原題:Trashed 配給:GREENROOM FILM 2013年9月28日(土)よりシネマライズほか全国ロードショー。
公式サイト:http://trashed.jp
Facebook:https://www.facebook.com/pages/Trashed-ゴミ地球の代償/217650015059039
2012年カンヌ国際映画祭特別上映作品、第25回東京国際映画祭TOYOTA審査員特別賞受賞作品。