df-00190
カウンセラー(右)に裏ビジネスの怖さも警告するウェストリー。 ©2013 Twentieth Century Fox.

マイケル・ファスベンダー、ペネロペ・クルス、キャメロン・ディアス、ハビエル・バルデム、ブラッド・ピットら錚々たるキャスティングが話題の作品。原題は、’The Councelor’。そう呼ばれる弁護士が、恋人との優雅な生活を夢見てか悪の世界へと一歩踏み出していく。その心の隙間がもたらす結果は…。悪の世界の怖さをブラックなユーモアで語る悪の理論と法則には、妙に頷かされてしまう心理サスペンスドラマだ。

主人公の名前は明かされない。ただ’カウンセラー’と呼ばれる青年弁護士(マイケル・ファスベンダー)。仕事は波に乗っているようだ。フライト・アテンダーをしている恋人のローラ(ペネロペ・クルス)に高価なダイヤモンドを贈ってプロポーズする。

カウンセラーは、実業家として成功している友人のライナー(ハビエル・バルデム)を通じて裏社会でのビジネスに手を染めようとしている。ライナーにいつも寄り添っている妖艶な魅力を持つマルキナ(キャメロン・ディアス)も、二人が進めようとしているビジネスについては関心がある様子。

カウンセラーは、このビジネスにはもう一人、ブローカーのウェストリー(ブラッド・ピット)が噛んでいることを教えられ、彼と会う。ウェストリーは女性に目がない伊達男だが、周囲を観察する用心深さも卓越している。

ウェストリーは、今回のビジネスが想像以上の巨額の利益を生み出す話であること。一方で、取引相手のメキシコ人組織の残虐さを実例を挙げてリアルに説明する。その上で、「奴らは、人間とは別の種族だ」、手を引くのなら今のうちと、何度もカウンセラーに警告する。だが、カウンセラーは、ウェストリーが警告している組織の本当の怖さを理解できなかった。そして、悪のビジネスへの一歩を踏み出す。

裏ビジネスのパートナーを組むライナー(左)とマルキナ。 ©2013 Twentieth Century Fox.
裏ビジネスのパートナーを組むライナー(左)とマルキナ。 ©2013 Twentieth Century Fox.

「奴らは、人間とは別の種族だ」。この意味が、テンポのあるストーリー展開とシニカルなユーモアを交えながら裏社会の趣向、価値観、実行力を描いていく。メキシコ人組織のボスが、カウンセラーに得々と語るラストでのメッセージ。そのリアルさがズシンと耳に残る。

金銭欲、情欲など欲望・野望を満たそうとする誘惑とか慢心がもたらすもの。やはり、悪ことには近寄らない方がよい。「あなたがたが自制力を欠くとき、サタンの誘惑にかからないためです」という聖書の一節をふと思い出した。 【遠山清一】

監督:リドリー・スコット 2013年/アメリカ/118分/映倫:R15+/原題:The Councelor 配給:20世紀フォックス映画 2013年11月15日(金)よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー。
公式サイト:http://www.foxmovies.jp/akuno-housoku/
Facebook:https://www.facebook.com/akuno.housoku