©2013 Dallas Buyers Club, LLC. All Right
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酒、ドラッグ、女好きの自堕落なロディオ・カーボーイ暮らしの男が、HIVで余命3か月と診断されてから’死にたくない。生きなければ!’と生き方を変えた。気づくのが遅いと揶揄する向きもあるかも知れない。だが、突然に余命宣告されて、自暴自棄に陥らず、生きる努力に目を向け、生きるための薬が政府未承認であることの怒りを生きるバネにしていく負けず嫌いな生き方につい魅せられていく。自分だけのためではなく、同病の患者にも分けて未承認薬の効果を実証し、’個人が健康に生きる権利’を主張する生き方への転換。実話を基にした作品なだけに、生きていても死んでいるような生活から、ほんとうに生きることを見いだす大切さを考えさせられる。

1985年、テキサス州ダラス。ロディオ・カーボーイのロン・ウッドルーフ(マシュー・マコノヒー)。放埓な暮らしをしてきたが、ある日トレーラーハウスで倒れ意識不明のまま入院した。検査結果は、HIV陽性で余命30日と宣告される。HIVが死に至る病と言われ、同性愛者の罹る病気という偏見で見られていた時代。ゲイを毛嫌いしていたロンには、身に覚えのないことで、信じられないとばかりに怒って病院を出ていく。

だが、その兆候は感じ始めていた。ロンは自分でHIVについて新聞記事や図書館で調べ始める。診断した病院の女医イブ(ジェニファー・ガーナー)を訪ね、AZTという抗HIV薬を処方してほしいと頼むが、未承認の薬は投与できないと断られる。

余命30日と宣告されたことで、「生きたい。死んでたまるか」と未承認薬を求めてメキシコへ渡ったロンは、毒性を持つAZT以外の抗HIV薬の研究したことで米国で医師免許をはく奪された医師セバード(デニス・オヘア)と出会う。ロンは、毒性のない抗HIV薬を大量に買い込んみダラスへ持ち帰った。
自分だけではなく、HIV感染者にも毒性のない抗HIV薬を売りさばこうと考えていたロン。その手助けに病院で侮蔑したトランスジェンダーのレイヨン(ジャレッド・レト)が手を貸すという。

アメリカ食品医薬品局(FDA)がAZTを承認した。一方で、毒性のない抗HIV薬は未承認のまま。その背景には製薬会社の方針も影響している。副作用の危険を訴え、毒性のない薬の選択権を主張するが認められない。ロンは、薬を’売る’のではなく、会員制にして会費で頒布する’ダラス・バイヤーズクラブ’を設立する。FDA、メキシコやアジアから持ち込む未承認薬を持ち込むロンに目を光らせる警察、そして裁判所に訴えられても、ロンは毒性のない未承認薬を求める人たちに提供し続ける。

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エンターテイメント性に富む映画では、実話と事実の違いはあるのだろう。重要な役どころのレイヨンも、女医のイヴも実在の人物ではないようだ。ロンとゲイの世界を結ぶ展開には理解が自然なレイヨン。医師として未承認薬で商売するロンとは、なにかと対立するイブ。だが、病院と製薬会社の関係に疲れた彼女に、ロンは「一度っきり俺の人生を生きたい」、そして死が迫っている実感からか「ほかの人の人生の分まで生きたい」と、人生の意味を語り合い、互いを認め合う。そこに、ロン・ウッドルーフという実在した男の生き様が、メッセージとなって響いてくる。 【遠山清一】

監督:ジャン=マルク・バレ 2013年/アメリカ/117分/映倫:R15+/原題:Dallas Buyers Club/ 配給:ファインフィルムズ 2014年2月22日(土)より新宿シネマカリテ、ヒューマンタラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー。
公式サイト:http://www.finefilms.co.jp/dallas/
Facebook:https://www.facebook.com/pages/ダラスバイヤーズクラブ-Dallas-Buyers-Club/440687969373071

2014年第86回アカデミー賞主演男優賞(マシュー・マコノヒー)・助演男優賞(ジャレッド・レト)・メイクアップ&ヘアスタイル賞受賞。第71回ゴールデン・グローブ賞ドラマ部門男優賞・助演男優賞受賞。2013年ハリウッド映画祭男優賞、ブレイクスルー男優賞受賞。