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レフ・ワレサ(ポーランド読みでは’レフ・ヴァウェンサ’)。1980年代ロックシーンのパワーとスピード感を呼び覚ますような、自由と改革に突き進んだ人物として記憶に残る名前だ。

ポーランドがソビエト共産主義政権傘下にあった80年代に、独立自主管理労働組合「連帯」の初代委員長として労組から反共運動へとリードし、東欧民主化への口火を切った指導者でもある。ポーランドは90%以上がカトリック教会信徒の国で、同時代のローマ・カトリック教皇ヨハネ・パウロ2世(在位1978年10月―2005年4月)とともに世界的に知られたポーランド人の一人。アンジェイ・ワイダ監督は、一電気技師からポーランドの初代大統領になったワレサを’自由を希求し続けた男’として描いている。

ワイダ監督は、当時のニュース映画のフィルムの挿入と16ミリカメラでの撮影シーンを併合し時代のリアル感を演出するなど歴史の証言性でも魅せられる。だが、ワレサをオリンポスの高台に祀るようなことはしない。インタビューでは、いかに人望を得て食糧・職場・自由を求めて反共産主義国家を目指した話を得意気に語るワレサ。そこには、上り詰めた昂揚感のような、生身の一人の男がいる。一方、知識人でない自分が「連帯」幹部に押し上げられていく苦悩や拘束され命の危機にさらされる闇の世界への入り口も経験する。その夫を8人の子どもたちを育てながら支え続ける妻が、夫との厳しい共闘する姿をウィットに富んだ演出で人間ドラマとして仕上げている。

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Brygada Kryzys’Centrala’やRoze Europyの’Mama dla was kaminenie’など80年代ロックミュージックを多用し当時のムーブをリアルに映画板演出。「時に私たちは、自由のために闘わなければならない」というキャッチコピーのひと言は、この言葉に生きたワレサとともにワイダ監督から若者たちへのメッセージでもあるのだろう。【遠山清一】

監督:アンジェイ・ワイダ 2013年/ポーランド/124分/映倫:G/原題:Walesa. Czlowiek z nadziei 配給:アルバトロス・フィルム 2014年4月5日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー。
公式サイト:http://walesa-movie.com
Facebook:https://www.facebook.com/walesarentai

2013年第70回ヴェネチア国際映画祭パシネッティ賞受賞、第49回シカゴ国際映画祭最優秀男優賞(ロベルト・ビェンツキェビチ)受賞作品。第38回トロント国際映画祭正式出品作品。