シークレットサービスのソレルズ(左)はザプルーダーに重要証拠として8ミリフィルムの提出を要請する  © 2013 Exclusive Media Entertainment, LLC

1963年11月22日12:30、アメリカ合衆国第35代大統領ジョン・F・ケネディが、テキサス州ダラスのエルム通りをパレード中に銃撃され市内のパークランド・メモリアル病院に緊急搬送された。警護していたシークレットサービス、事件を目撃した人々とその家族、救命処置に携わった医療関係者、犯人を捜査するFBIと警察関係者、そして狙撃犯としてリー・H・オズワルドが事件当日に逮捕された。20世紀の歴史的暗殺事件に巻き込まれ、その後の人生に多大の影響を受けた人々を通して、ケネディとオズワルドが埋葬されるまでの4日間の真実を追う。

ケネディ大統領が瀕死の状態で搬送されたパークランド病院。当日の担当医は、新人研修医のチェールズ・’ジム’・キャリコ(ザック・エフロン)、チーフ研修医のマルコム・ペリー(コリー・ハンクス)らやベテラン看護師のドリス・ネルソン(マーシャ・ゲイ・ハーデン)たち。頭部を打たれたケネディ大統領とともにジャクリーン夫人、シークレットサービスやFBI、警察、マスコミ関係者らがなだれ込んでくる。緊急事態に駆けつけてきた病院の医師団など混乱状態に陥る処置室をドリスはテキパキと指示し、チャールズとマルコムらの救命処置をサポートする。だが、ケネディは大統領暗殺4人目の犠牲者として13:00を死亡時刻と認定された。

シークレットサービスのダラス支局長フォレスト・ソレルズ(ビリー・ボブ・ソーントン)は、パレードを8ミリカメラで撮影していたエイブラハム・ザプルーダー(ポール・ジアマッティ)の店を訪ね、重要証拠としてフィルムの提供を要請する。現場指揮の責任者としてシークレットサービス創設後初めて大統領を暗殺されたソレルズのショックは大きい。ザプルーダーも大事件をフィルムに写したショックと、マスコミ報道からのフイルム提供が殺到する影響などに心悩まされている。
事件当日に狙撃犯容疑者としてリー・H・オズワルド(ジェレミー・ストロング)が別件逮捕されたニュースは、兄ロバート(ジェームズ・バッジ・デール)は戸惑い驚くが、母親のマーガリート(ジャッキー・ウィーバー)は「息子はアメリカの工作員なので、犯人の身代わりにされた」と主張する。一方で、オズワルドの家族にもましてFBIダラス支局に激震が走った。リーの行動は、1年半も前からマークしていたからだ。そして翌日、リーが警察署内で銃撃されパークランド病院に緊急搬送されてきた。

オズワルド(左)は、兄ロバートにも犯行容疑を否定も肯定もしない © 2013 Exclusive Media Entertainment, LLC

この暗殺事件は、地方検事ジム・ギャリソンの著書を映画化した「JFK」(オリバー・ストーン監督、ケヴィン・コスナー主演)など真相究明をミステリアスに描く作品やドキュメンタリー映画が数多く発表されている。だが、本作はそれらとは趣をことにしてこの事件が起きた4日間の’現場’と、この事件によってその後の人生大きく影響された人々の内面性にフォーカスを当て、彼らの目を通しての’真実’が描かれていく。

実録ものだが、いわゆる再現ドラマとは格段に違う。誰か一人をピックアップし主役に設定した作りではないだけに、ひとり一人のセリフはわずかでシーンの展開もはやい。それでいて自分に人生が、この事件に巻き込まれていく戸惑いと衝撃を人間に豊かに描いている。 【遠山清一】

督:ピーター・ランデズマン 2013年/アメリカ/93分/原題:Parkland 配給:ファントム・フィルム 2014年6月28日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかロードショー。
公式サイト:http://parkland-movie.jp
Facebook:https://www.facebook.com/JFK.Shinjitsu?fref=ts

Award* 2013年第26回東京国際映画祭特別招待作品。