映画「ヴァチカン美術館 天国への入口」――ヴァチカン公認の実験的ミュージアムシネマ

世界の最高峰ともいえるシツティーナ礼拝堂の壁画と天井画 © direzione dei muse i – governatorato s.c.v

ラオコーン群像などの彫刻、ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂の天井画、ラファエロの「キリストの変容」などヴァチカン美術館所蔵のエッセンスをアントニオ・パオルッチ同館長が監修し、案内役をしている見応えのあるドキュメンタリー作品。彫刻や絵画を最先端の4K3Dでの実験的精緻立体映像と従来の2D映像の2通りで上映される。絵画の4K3D画像がどのようなリアル感として受け止められるのか、鑑賞後に語り合うのも一興。

500年の歴史をもつヴァチカン美術館。歴代の教皇たちによって収集された芸術作品の数々と年間500万人もの来館者を迎える入れる同美術館の壮大なスケール感が、リアルな映像美で迫ってくる。
紀元1世紀のローマ彫刻「ラオコーン群像」や「ベルヴェーデーレのトルソ」などの古代彫刻やミケランジェロの「ピエタ」など彫刻作品の立体感は4K3Dならではの迫力。ラファエロのスタンツェと呼ばれる4つの部屋の作品、祭壇画やルネサンス後の作品なども紹介されている。
紀元1世紀のローマ彫刻「ラオコーン群像」や「ベルヴェーデーレのトルソ」などの古代彫刻やミケランジェロの「ピエタ」など彫刻作品の立体感は4K3Dならではの迫力。ラファエロのスタンツェと呼ばれる4つの部屋の作品、祭壇画やルネサンス後の作品なども紹介されている。
コリンは、カトリーヌとジョルジュが恋人関係の時代があったことを知らない。良妻賢母とみられているタマラは、夫ジャックの浮気にも見て見ぬふりをしてきた。だが、ジュルジュの最期が近いことを知り、昔の思い出と共に気持ちがジュルジュに近づいていく。そこに、カトリーヌの夫婦たちと参加している素人劇団での4人芝居に1人出られなくなり、ジュルジュを代役に出演させることに成功した。しかも、ジュルジュの恋人役を務めるのはタマラだ。稽古をとおしてジュルジュとタマラは、しだいに親密になっていく。
ヴァチカン美術館でも最高峰の作品は、ミケランジェロの「システィーナ礼拝堂の天井画」、壁画の「最後の審判」の壮大さ。礼拝堂の下から見上げても、およそ作品の細部を鑑賞するなど無理なこと。この最高の作品までもが4K3Dで映像化されている。そもそも、4K解像度の精緻画像では、絵画のぼかしのような趣が失われはしないものかと懸念されるし、そのうえ絵画を3D立体映像化するというチャレンジが作者のイメージを超えてどのようなリアリティを観客に与えるものなのか。ヴァチカン市国公認のこのチェレンジ、確かに一見の価値がある。

システィーナ礼拝堂の天井画に描かれている「アダムの創造」(ミケランジェロ作) © direzione dei muse i – governatorato s.c.v

彫刻絵画の芸術作品だけではない。システィーナ礼拝堂、サン・ピエトロ大聖堂、ラファエロのスタンツェ、ピオ・クレメンティーノ美術館、ブラッチョ・ヌオーヴォ(新館)などで構成される壮大な’ヴァチカン美術館’。それぞれの美術館をつなぐ回廊や大広間そのものすべてがアート。ヴァチカン美術館のエッセンスが66分にまとめられ、堪能させてくれる。 【遠山清一】

監督:マルコ・ピアジャーニ、監修:アントニオ・パオルッチ(ヴァチカン美術館館長) 2013年/イタリア/4K3D、2D/66分/原題:The Vatican Museums  配給:コムストック・グループ、配給協力:クロックワークス 2015年2月28日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー。
公式サイト http://vatican4k3d.com
Facebook https://www.facebook.com/pages/ヴァチカン美術館4K3D-竏駐V国への入口/864660453558956?ref=tn_tnmn