雷鳴をとどろかしながらわき上がる不気味な雲から雹、火の柱などの激しい天変地異が残された者たち大きな災いを及ぼす。 ©2014 Sony Pictures Worldwide Acquisitions Inc. All Rights Reserved.

ホラー、パニック・スリラー系の作品情報サイトに紹介されていたので少々引き気味な気持ちで観たのだが、聖書の携挙(けいきょ:イエス・キリストが再臨するとき、地上にいる真の信仰者が空中に引き上げられて主キリストと会い、不死の体へのよみがえりを経験するという終末預言)をテーマにきちんと描いている伝道的なパニック・スリラー映画だ。

豪華ホテルで結婚式・披露宴を挙げているスカイラー(アレクサ・ベガ)とダン(ブライアン・デチャート)。親友のトミー(ジョニー・ペイカー)はビデオ撮りで2人をサポートし、ブライダルメイド、ベストフレンドのアリソン(イタリア・リッチ)とジャック(ショーン・サイポス)は、長すぎる春に少し気持ちが揺らぎ始めている。
宴も一区切り、着替えに部屋へ行く途中、エレバーターの中でスカイラーの両親が突然倒れ、即死した。あまりの出来事にパニック状態のスカイラー。助けを呼ぶため宴会場へエレベーターを戻すと、幾人もの人たちが突然倒れ即死している惨状を目の当たりにする。

やがて不穏な天候になり空から無数の隕石が街に落ち、地震が起こり大きな雹、雷鳴が轟く天変地異が起こる。この町だけでなく世界各地で同様のことが起きている。スカイラーは、両親が信じていた聖書の預言、携挙のことを想い起した。だが、ダンやトミーたちはその言葉の意味も知らず聞こうともしない。それでもスカイラーは、救護センターへ避難しようというダンたちの意見を遮り、まず教会へ行くことを主張して避難する。

そこには、携挙されずに残されたシェイ牧師(ジョン・P・ファーガソン)が逃れてきた人たちを受け入れていた。シェイ牧師は黙示録に預言されている「第一の御使いのラッパが吹かれたのだ。これからはもっとひどくなるばかりだ」とトミーたちに告げる。そして、黙示録9章15-16節に記されている、人類の三分の一を殺すために二億の騎兵の軍勢が襲ってきた(黙示録9章15-16節)…。

スカイラーとダンは、教会に避難してきた。そこには残された牧師と信徒も祈っていた。 ©2014 Sony Pictures Worldwide Acquisitions Inc. All Rights Reserved.

この世界の終わり、終末預言が成就していくプロセスを描いているだけに、ホラーのジャンルにピッタシの描写には目を背けたくなる向きもおられることだろう。一方で、サタニックな恐怖ホラーとは一線を画し、神の裁きが起こっている状況で、人は何を信じ、どのような決断をするのか。その問いを映画的に描いている作品ではある。 【遠山清一】

監督:ケイシー・ラ・スカラ 2014年/アメリカ/88分/原題:The Remaining 配給:ミッドシップ 2015年5月16日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次公開。
公式サイト:http://qualite.musashino-k.jp/quali-colle2015/
Facebook:https://www.facebook.com/qualicolle15

**2015年5月16日(土)より6月26日まで、新宿シネマカリテの自主企画「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2015」にて上映されます。昨年に続き第2回「カリテ・ファンタスティック!」では、幅広いジャンルから50本の作品がセレクトされています。詳しくは上記の公式サイトをご覧ください。