「誰も必要としてくれない」「生きていてもしょうがない」「助けてください……」─電話の向こうから悲痛な叫びが聞こえる。風光明媚(めいび)な観光名所、南紀白浜の三段壁。美しい断崖は自殺の名所としても知られている。この場所に立てられている「いのちの電話」の看板。この電話は藤藪庸一牧師(白浜バプテストキリスト教会)につながる。働きを始めて20年。これまでに905人(2018年10月現在)の自殺志願者を死の淵から救ってきた。また、その助けを求めてきた人の生活再建を目指して共同生活を送り、家族も仕事も失った人たちの働く場として、弁当配達を行う食堂も運営する。この働き、その生き方を追ったドキュメンタリー映画「牧師といのちの崖」(URL https://www.bokushitogake.com)が一月から順次公開され、同時にその働きの中での藤藪さんの苦悩と葛藤、将来向けての幻(ビジョン)を書きつづった『あなたを諦めない』(いのちのことば社フォレストブックス)が発売される。【宮田真実子】(12月23、30日クリスマス合併号で詳細)