映画「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」--神の癒しに触れた女の子のファッショナブルでポップスな青春ミュージカル
ストーリー展開に特段の仕掛けがあるわけではない。少しうつ症状の女の子が、好きな音楽で繋がった男女の友達とくったくなく付き合っているうちに自分の進む道へチャレンジしようとするファッショナブルでポップな曲で愉しめる青春ミュージカルだ。ただ、どことなく懐かしい感覚の曲と青春の機微に親しみを覚える。その要因の一つに、スコットランドのロックバンド“ベル・アンド・セバスチャン”のリーダー、スチュアート・マードックが、自己の体験を基に脚本と曲を描き下ろした映画で、完成までに10年もかかった愛着が伝わるのは確かだろう。
グラスゴーの一角にある街。うつと拒食症で入院している少女イヴ(エミリー・ブラウニング)は、ピアノに向かい曲を作る日々。ある夜、病院を抜け出してライブハウスへ行き自分の音楽の理想を求めるジェームズ(オリー・アレクサンデル)と出会い、彼の友達キャシー(ハンナ・マリー)を紹介された。
一人ぽっちだがミュージシャになりたい夢を持つイヴと自分の音楽にふさわしいメンバーを探していたジェームズ、不思議な感性と鋭い直観力を持つキャシー。3人は次第に曲を作り合いバンドづくりへと想いが膨らんでいく。
ジェームズはイヴに魅かれていくが、イヴはクラブで声を掛けられた男(ピール・ブーランジェ)と魅入られたように付き合い始める…。
恋に揺れ動く青春の夏。イヴたちが作曲した曲が、どうにか集まってできたバンド“ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール”で演奏すると人気が上がってきた。ジェームズも納得の音楽が出来上がり演奏活動が上向き始めてきたが、イヴには自分の将来に向かって新たなチャレンジが思い浮かんでくる。
恋と将来の進路への悩み。青春のテーマをポップミュージックに乗って愉しめる作品。ミュージシャン、スチュアート・マードックの初監督作品、ロンドンのダンス&シンセポップバンド“イヤーズ&イヤーズ”ヴォーカリストのオリー・アレクサンデルが準主役を演じるなど話題も多い。だが、タイトルの「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」は、バンドの名称やバンドのテーマソング♪God Help the Girl♪から? いいえ、そこには神の癒しに触れた大切なシークエンスが隠されていました。その顛末は、ぜひ劇場で。 【遠山清一】
監督:スチュアート・マードック 2014年/イギリス/111分/映倫:PG12/原題:God Help the Girl 配給:アットエンタテインメント 2015年8月1日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー。
公式サイト http://godhelpthegirl.club
Facebook https://www.facebook.com/godhelpthegirljp
*Award*
2014年第30回サンダンス映画祭審査員特別賞受賞。第28回SXSW映画祭正式出品作品。第64回ベルリン国際映画祭正式出品。
*Topics*
ベル・アンド・セバスチャンがフジロック・フェスティバル出演のため来日するのを記念して、7月22日(水)に東京・渋谷クワトロで一夜限りの『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』&『Belle and Sebastian Live From Hostess Club Weekender』 先行上映会が開催されます。
http://www.qetic.jp/film/belleandsebastian-150630/152224/