宇宙から飛来する隕石に衝突す確立は1憶分の1と言われる。その隕石の一部が運転する車に衝突したら、それは奇跡的な出来事。そんなファンタジーな語り出しから、日々日常の出来事にも思いがけない結果へ導く隕石のような要因があり、前向きな気持ちで見上げたら奇跡に出会っていることに気づかせてくれる物語。

確率1億分の1の奇跡的
経験が変えた芙美の心

訳あって断酒会に通うひとり暮らしの芙美(小林聡美)だが、ツユクサの草笛をきっかけにどこか寂し気な篠田(松重 豊)を親しくなっていく… (C)2022「ツユクサ」製作委員会

とある小さな田舎町で暮らす芙美(小林聡美)は、ボディタオルを作る会社で働きながら、ひとり暮らしをしている。同じ職場の直子(平岩紙)と妙子(江口のりこ)は、何でも話せる友達。妙子は、亡き夫の菩提寺の住職と付き合っている。直子は貞夫(渋川清彦)と再婚しているが、ひとり息子で小学生の航平(斎藤汰鷹)は義父の貞夫に馴染めないでいる。そんな航平を、芙美は「親友」と呼び義父・貞夫とうまくコミュニケーションが取れない航平の相談に乗ったり、遊びに連れ出す大の仲良し。

芙美は、ある出来事に重い責任を感じアルコール依存に陥った。この町に来て、少し前から断酒会に通っている。ある日の断酒会の帰り道、芙美が運転する車に何かがぶつかり、車体が転倒してしまう事故が起きる。どうやら港に落ちてきた隕石の破片が、芙美の車に当たった衝撃で横転したようだ。幸い芙美に怪我はなく、直子に連絡して迎えに来てもらった。好奇心の強い航平は、ネットで隕石に当たった事例や確立のデータを検索すると、1億分の1の確立だと分かる。芙美は、奇跡ともいえる経験をした。航平と芙美は付近の浜辺を探し隕石の破片を見つけた。航平が一つ芙美に分けてあげるとペンダントにしようと大喜びする。

芙美は、毎朝ジョギングしている。ときどき山の方から下りてくる中年男性と出会い、挨拶を交わしていた。その男性・篠田(松重 豊)が、馴染みのバー「羅針盤」でマスター(泉谷しげる)が作るナポリタンを食べながら話していると篠田が店に入ってきた。顔は見知っていたが言葉を交わすのは初めての二人。篠田は、ツユクサで草笛を吹きながら山みちを散策しているという。その日から、芙美と篠田は親しくなっていく…。航平を「息子です」と篠田に紹介する芙美。篠田に草笛を習い、夕食に招いたりと、芙美の心に日々の出来事が小さな奇跡を起こしていく。

監督:平山秀幸 2022年/95分/日本/映倫:G/ 配給:東京テアトル 2022年4月29日[金]より全国ロードショー。
公式Webサイト https://tsuyukusa-movie.jp
公式Twitter https://twitter.com/tsuyukusa_movie