
「『燃え尽き』は突然ではなく、じりじりとやってくる」とジョン・ヒューレットさんは話す。「仕える人・支援者のケア」をテーマにする特集「3人に聞く」(※)。スリーストリームミニストリーズ主事で、牧師のためのケア、教会のためのコンサルティングを提供するヒューレットさんに話を聞いた。ヒューレットさん自身、牧会の中で「燃え尽き」を経験したという。その対策やリソースについて語ってくれた。
※「仕える人・支援者のケア」:9月は防災月間。近年教会も災害支援活動に取り組むが、支援者側も疲弊する過酷な状況に気を付けたい。通常の牧会、奉仕の現場でも「燃え尽き」は起こりうる。コロナ禍でも経験されたが、今後予想される「人手不足」は、少数の働き手に負担をかけそうだ。「燃え尽き」にどう対処するか。経験者やカウンセラーなど、三人に聞く。
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まず自分に起こっていることがよく分からなかった…
―「燃え尽き」とはどのようなものでしょうか。
一時的ではなく、深い疲れ、異常なストレスで燃え尽きになります。
―ヒューレットさんが燃え尽きを経験されたとき、どんな状況だったのでしょうか。
まず自分に起こっていることがよく分からなかったですね。講壇に立っても2人の自分がいるような気がしました。教会の皆さんは御言葉を求めていて、私は物理的にそこにいても、自分が語っている内容と情緒的につながることはできませんでした。自分の目的意識とか、喜び、やる気がわかなかったんですね。
燃え尽きというと、バーンアウト(burnout)というように、走っている車がいきなり爆発するようなイメージかもしれませんが、違うんです。『牧師のレジリエンス 逆境でも燃え尽きない再起力』(ジョン・ヒューレット著、いのちのことば社)の事例(第4章 牧会移行期についての証し)で豊田信行牧師がウィリアム・ウィリモンの『牧師 その神学と実践』(新教出版社)を紹介しているんですが、英語で言えば、「停電」blackout、もしくは「電圧低下」brownout。いきなり全部真っ暗になるのでなく、電気の容量が少しずつ弱くなっていくイメージです・・・
(次ページで「神様との関係の中でのBecoming」、「燃え尽きの予防」「『牧師はこんなに楽しい』と思える環境を整えたい」など。約2800字)
