
マルチン・ルターが語ったといわれる「たとえ明日、世界が終わりになろうとも、今日私はりんごの木を植える」という言葉があります。長年牧師を務めながら、この言葉が腑に落ちずにいました。母からよく「まさひろ、死んだらお終いだからね」と言って育てられたからでしょうか。心に根付いた「物語」のテープが、何かの拍子に回りだし、私の思いを支配することがあります。
前回
R・シントラーの『シモンとクリスマスねこ』を子どもたちに読み聞かせ、アドベントを過ごしたことがありました。主人公シモンは、クリスマスを迎えるまでの日々、両親が交代で寝床でお話を聴かされます。こんな話がありました。
あるところに小さな白い老犬がいて、アドベントを迎え〈家族に贈り物をしたい〉と考えました。寝静まったのを見計らい、家族の靴をピカピカになるまでなめて磨き、それをクリスマスプレゼントにしようと思い立ったのです・・・
(次ページで、クリスマスのエピソード、「中途半端な人生」などについて)
