
単立・シオンの群教会の牧師であり、聖契神学校の霊性センター「ピエタス」の所長として広く教会内外の霊的ケアに取り組む吉川直美さん。臨床宗教師、臨床美術士でもあり、死が身近にある人、「喪失」を体験しスピリチュアルケアを必要とする人などにも日常的に関わる。
「臨床宗教師」とは、被災地や医療機関、福祉施設など、公共の場で心のケアを提供する宗教者のこと。布教や伝道ではなく、宗教者としての経験をいかして、苦悩や悲嘆を抱える方々に寄り添うことを目的とする。2011年の東日本大震災を機に、被災地でのケアの必要から、東北大学で養成が始まった。
遠ざかる「死」のリアリティ
近年、社会の死生観に影響を与える要因の一つに、医療の高度化があるのではと、吉川さんは話す。かつて多くの人が自宅で最期を迎えたが、今は病院が主流だ。それは、肉親の死のプロセスを直接見守る機会の減少を伴い、死のリアリティを遠ざけているようにも見える。また、延命医療が寿命を押し延ばす一方で、「自然な死」自体がもはや稀有なことかもしれない。さらに、いのちをコントロールできるかのような錯覚や、効率性で生を推し量る価値観が語られる状況もあると危惧する。
創作の世界では死後の転生やリセット可能な死が描かれることも多いが、それは若者の死生観にどう影響するだろうか。一方、リアルな死を知らず、「タブー化」されているからこそ、遺体の写真に執着するなど死の「ポルノ化」とも呼べる特異な関心の持たれ方も見受けられる、と話す・・・
(次ページ[下部ボタンから]で、「変わる死生観、変わりにくい既成概念」、「既成概念の落とし穴」、「死への意識がもたらすもの」など約1500字)
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