《特集フォーカス・オン》いのちに向き合う①ー(2)手を伸べ、生きるほうへと引きあげたい 自殺予防の研究者 北川裕子さん

 かつて大切な人を自殺で亡くした悔しさが、自殺予防の研究の動機になったという北川裕子さん。現在は東京大学大学院教育学研究科の特任助教として、また、一般社団法人RAMPSの代表理事として、研究や様々な自殺予防の取り組みに携わる。


※「『死』と『殺す』はまったく違うもの。自殺予防の研究者として、『自殺』ということに違和感をもち続けるべきと思い、『自死』はあえて使わないようにしています」との北川さんの意向により、本稿では「自殺」という言葉を使用。

 自殺については、あらゆる見解があふれている。「自殺は本人の意思だ」、「メンタルの弱さなど、個人の問題だ」、時に宗教の現場では、「自殺は罪だ」など。北川さんは、こうした声は多くは誤解や偏見から来るものと指摘する。


 「『自殺は個人の問題』という思想が社会全体に根差していて、だから『罪』という言葉にも親和性がある気がしています。自殺は個人ではなく社会の問題で、社会によって手を差し伸べられなかったり、様々な虐げを受けたり弱い立場に置かれたりして、追い詰められて、社会によって押し出された死、殺人だと思っています。ここで言う『殺人』とは、社会的圧力によって命が奪われるという意味です。決して自分で『選択』した死ではありません。『選択』とはいくつもの選択肢から選ぶことですが、自殺の場合は『そうするしかない』という状況に追い込まれて押し出されるものだから、決して選択ではない、と思っています・・・

(次ページ[下部ボタンから]で、身近な死の体験、教会には死以外の道を示す可能性がある、など、約2200字)

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