キリスト教徒と世界の指導者らがキーウに集い祈る

ウクライナで開かれた国家朝餐祈祷会について、本紙提携の米国誌「クリスチャニティトゥデイ」が8月28日に、記事で紹介した。

ジル・ネルソン キーウ(ウクライナ)発

独立広場に掲げられたウクライナ国旗   写真=Akio Mukunoki   Phot AC

第48代米副大統領マイク・ペンス氏を含む650人以上の外国人が、ウクライナでの国家朝餐祈祷会に参加

オクサーナ・クラフチュクさんは8月22日、ポーランドのプシェミシルからウクライナのキーウへ向かう列車の寝台から出て、窓の外に広がる故郷の緑の牧草地に目を向けた。

シアトルからポーランドを経由してきたため疲れていたにもかかわらず、10時間に及ぶ夜行列車の旅で彼女はほとんど眠れなかった。クラフチュクさんはウクライナの防空警報アプリを起動しており、キーウへの攻撃の可能性を警告する警報が夜通し何度も鳴ったのだ。

「爆撃があるので怖いですが、なぜ自分が行くのかは分かっています」と、2014年のロシアによる最初のウクライナ侵攻の後に米国へ移住したクラフチュクさんは語った。

クラフチュクさんと夫のアレックスさんは、戦死したウクライナ兵の子どもたちを3週間、米国のホストファミリーのもとに招き、文化を学びキリスト教のキャンプに参加させる活動を行うキリスト教団体「ウクライナの子どもたちとつながろう(Uniting for Ukrainian Kids)」のボランティア・コーディネーターを務めている。ウクライナ滞在中、夫妻は以前ホストした2人の少女の家をサプライズで訪問することを楽しみにしていた。

夫妻はまた、8月23日にキーウで開かれたウクライナで3回目となる国家朝餐祈祷会に、17か国から集まった650人以上の外国からのゲストの一人として出席した。出席者たちは午前8時に屋外の中庭に集まり始め、クラシック音楽が流れる中、コーヒーとペストリーを手に旧知の友人らと挨拶を交わした。

その集まりは、他の欧州の都市でのフォーマルな行事と似た雰囲気だったが、時計が午前9時を指し、スピーカーから時を刻む音の録音が流れると様子は一変した。会話は止み、カプチーノマシンの音も止まった。ウクライナでは、過去4年半の戦争で亡くなった兵士や民間人を追悼するため、毎日1分間の黙とうがささげられているのだ。

今年7月は、2022年2月に本格的な戦争が始まって以来、ウクライナにとって最も犠牲者の多い月となり、キーウは特に大きな被害を受けた。この東欧の国は、ウクライナの都市を攻撃するロシアのミサイルや無人機を撃墜するために必要な迎撃ミサイルが深刻に不足している。米国は、イランとの戦争で備蓄の多くが消耗した後、パトリオット迎撃ミサイルの追加供与をまだ確約していない

「少なくとも150発のパトリオット・ミサイルが必要だ」と、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領府顧問のオレグ・ガブリシュ氏はキーウのカフェで語った。「購入する用意はある」と同氏は付け加え、資金は欧州から拠出されると述べた。ロシアがウクライナの水道、エネルギー、衛生システムへの攻撃を強める中、この冬に深刻な人道危機が発生することを同氏は懸念している。

朝餐祈祷会では、約1500人が縦長のホールに設けられたテーブルに集い、ウクライナの各教派のキリスト教指導者たちが、疲弊に直面する医師、兵士、救助隊員のため、嘆き悲しむ人々に神の近さがあるように、捕らわれている人々のため、そして敵の計画を神が混乱させるように祈った。

元米副大統領のマイク・ペンス氏が演説に立つと、会場にいるウクライナ兵に敬意を表し、イエスが「驚いた」と言った唯一の場面は兵士との出会いだったとして、マタイの福音書8章10節を引用した。また、出席していたゼレンスキー氏へ、「ロシアの戦争マシーンに力強く立ち向かった」ことと、その忍耐についての謝意を示した。

一方、ゼレンスキー氏は、2月に5年目を迎える戦争への懸念を語った。「戦争は長く続いており、今最大の危険は前線での疲弊ではない。世界が(戦争に)慣れてしまうことだ」と同氏は述べた。

ウクライナは、米国に次いで、法律によって毎年恒例の祈りの日を定めた2番目の国である。今年の朝餐祈祷会は、ウクライナがソビエト連邦からの独立を宣言してから35年を記念する独立記念日と重なった。

コロラド州テリュライド在住のコルビー・バレット氏は、ウクライナを訪れるたびに、現地のクリスチャンが逆境にどう立ち向かうかを目の当たりにし、霊的に豊かにされると語った。ドキュメンタリー映画プロデューサーとしてウクライナ人との友情を育んできた。彼の会社は最近、戦時下の信仰をテーマにした5話からなるシリーズを公開した

朝餐祈祷会の最中、バレット氏はウクライナ人の友人の一人である牧師と再会した。牧師の教会は1年前、イラン製のシャヘド無人機2機による直撃を間一髪で免れたという。

「私はウクライナ語が話せない。彼も英語を話さない」と同氏は語った。「しばらく抱き合っただけだ」。キーウでの行事の後、バレット氏は今後の映画制作のため他の都市へ向かった。

一方、朝餐祈祷会に出席したオクラホマ州タルサ出身のチャプレン(従軍牧師)、カール・アルグレン氏は、その後、ロシア国境から約29キロに位置し、絶え間ない攻撃にさらされているウクライナ北東部の都市スーミを訪れた。スーミは今年初め、タルサと友好都市提携を結んでおり、アルグレン氏は2人の友人を連れ、牧師や市当局者らと会い、人々を支え、励ます方法を探した。

タルサのアズベリー教会で宣教・伝道担当の主任牧師を務めるアダム・バーネット氏は、アルグレン氏の旅の同行者の一人だった。当初、朝餐祈祷会への招待を受けたときは参加を辞退しようかと考えたという。「2番目の子どもが高校の最終学年を始めたばかりなのに、なぜ戦禍の国に行く必要があるのかと思いました」とバーネット氏は語った。

しかし最終的には考え直した。「私たちがウクライナの地でウクライナと共に立つとき、それは非常に大きな意思表明になるのです」と、キーウの独立広場で戦死した兵士たちの写真とウクライナ国旗が並ぶ列の間を歩きながらバーネット氏は説明した。「私はそのメッセージを持ち帰り、北米の教会に祈りの必要性を目覚めさせるためにここに来たのです」

バーネット氏がキーウの街を歩くと、夏の楽しみを手放すことを拒むウクライナ人たちの姿があった。人々は公園を散策し、犬の散歩をし、カフェに集っていた。ドニプロ川を見下ろすある公園では、ガゼボの下に置かれたピアノを女性が弾き、ウクライナ人たちが順番を待って列を作っていた。

それでも、ウクライナ人は、ほとんど事前の警告なしに飛来するミサイルや無人機におびえた夜のことを語る。あるレストランの女性従業員は先月、キーウにミサイルが着弾する大きな爆発音を聞き、恐怖に包まれたと語った。近所の人たちは地下鉄へ逃げるのはもう遅すぎると言ったが、彼女は走らずにはいられなかったという。

国家朝餐祈祷会と独立記念日の前後の数日間、他の都市が攻撃を受ける中、キーウは比較的静かだった。多くのウクライナ人は、その静けさの理由を重要な米国の指導者らの滞在にあると指摘した。彼らへの攻撃は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を米国との直接的な戦争に引き込む可能性があるからだ。朝餐祈祷会の後、ウクライナ人ジャーナリストが、元米国務省ウクライナ担当特使のキース・ケロッグ退役中将に「ウクライナ人はあなたがたが最高の防空システムだと言っています」と語った。

米陸軍で36年間勤務したケロッグ氏は、朝餐祈祷会での演説で箴言と詩篇を引用した。「国によっては軍隊や武器を誇るところもあるが、我らは神の御名を誇る」と、詩篇20篇7節を意訳して語った。

翌日の夜、ケロッグ氏をはじめとする外国からの参加者数十人がポーランド行きの列車に乗り込んだ。出発の45分前に空襲警報が発令され、多くの渡航者は秩序正しく地下鉄の駅へ向かうウクライナ人の集団に従い、20分間避難した後、安全を知らせる別の警報で地上に戻ることが許された。ウクライナ人たちは動じる様子もなく、地下へ荷物を運びながら談笑し、心配する外国人からの質問にも丁寧に答えていた。

「私はいつも国民の精神に感銘を受ける」と、キーウからの列車の旅を経てポーランドに戻ったケロッグ氏は「クリスチャニティトゥデイ」誌に語った。「彼らがこれほど素晴らしい回復力を持っているという事実、この国の心は負かすことができないのだ」

クリスチャニティトゥデイの記事。許可を得て翻訳しています。クリスチャニティトゥデイの日本語版記事(※)はすべてこちらでご覧いただけます。※主に日本関係の記事

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