ウクライナの船越真人宣教師から現地の情報が6月19日に編集部あて寄せられた。一部編集して掲載する。

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ヘルソン州のドニプロ川東岸(ロシアが占領している地域)の浸水被害は西岸のそれよりも深刻です。しかし、東岸での救助活動は十分に行われていません。ウクライナからの救助隊はそこには入れません。国連からの支援物資の搬入もロシアは受け入れを認めようとしません。人為的に引き起こされた災害に苦しむ占領下のウクライナ人たちは放置されています。

昨日、礼拝の後でヘルソン市(西岸)からオデッサに避難してきているご夫婦と話す機会がありました。彼らの家は5月の砲撃で半壊しました(水害に関しては、彼らの家は高台にあるので被害を受けませんでした)。彼らは、こう話してくれました。

「ロシア軍はいずれヘルソン州から撤退しなければならなくなることを知っている。だから、手放さなければならない領土は撤退する前にメチャクチャにしておく。これが彼らのやり方です。去年の11月も、ドニプロ川西岸からの撤退が分かったとき、ロシア軍はヘルソン市でまるで獣のような略奪行為と破壊行為をしてから出ていきました。たくさんの地雷も仕掛けていきました。今、彼らはヘルソン州全体に対して同じことをしているのです。」

この説明に、深い怒りと悲しみとともに納得してしまいました。プーチン氏はアフリカ代表団との会合の中で、和平交渉を拒否しているのはウクライナ側だと一方的に非難しました。しかし、ロシア側が提案している和平交渉とはウクライナの降伏と、ウクライナから武力で奪った4州をロシア領だと認めることです。国際社会が想定している「停戦」とまったく違う内容を指しています。そのような「停戦」をもちろんウクライナは拒否します。そこの部分だけを切り取って「ウクライナが和平・停戦交渉を拒否している」というロシアの詭弁(きべん)にだれも騙(だま)されることがないことを心から願います。

船越真人・美貴