2024年のノーベル平和賞が10月11日、日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)に決定した。これを受け、被爆の歴史がある、広島、長崎の教会からも声が届けられた。

 

〇長崎の被爆者の声など(10月15日追加)

楠美美津子さん(84歳)

この度の受賞は思いもかけない大きな喜びです。恐ろしい原爆投下によって、痛み苦しみ、子どもの頃から友人達と共に我慢に我慢を強いられてきたことでしょうか、既に亡くなった方々も沢山いますが、連絡を取り合って喜びます。私自身はイエス様を信じ、クリスチャンてされていることが何よりの感謝です。

ミッションスクール活水学校の高校生Mさん(平和学習の部活で核兵器廃絶の署名活動をしている)

今回の受賞は平和学習に力を入てきた学校にとっても大きなこと、すごく意味があると思います。これまでずっと先輩達が活動してきた核廃絶の署名活動を今も続けていますが、受賞を心から感謝いたします。

山下清美さん(92歳)

多くの親友や愛する方々を一瞬に失った恐ろしい当時の光景が昨日のように思い出されます。今回の受賞は痛みを抱えつつも第一線で活動して下さった方々や耐え難い痛みをもったまま亡くなられた方々を思うと、言葉にならない喜びです。核の脅威にある今、世界に向けた意味深い受賞と思います。

被爆二世の井之上早苗さん

私は被爆二世です。母の父は坂本町爆心地近くて被爆し、即死。弟は三菱製鋼所で被爆し、窓下に身をかがめたため、幸いにも命を失わずにすみました。母と弟妹を助け蚊焼町の親戚宅にリヤカーで移動している途中妹(久美)は多量の吐血をし亡くなりました。諫早に嫁いでいた母は家族を助けるため爆心地に行き、長時間歩き回ったため被曝しました。いつも母は妹の「久美ちゃんはかわいそかった」と血をいっぱい吐いて死んだといってました。それから間もなく母の親、兄弟は次々に亡くなりました。どうしてこのような悲惨な事がおこったのでしょうか。人の罪ゆえですね。誰もうらんだりしません。私はこの度のノーベル平和賞を長崎市の被団協が受賞されたことはとても良かったと感じております。No more長崎、Stop War.とロシアやイスラエルなど戦争をやめようとしない国々の指導者をはじめ世界中に高らかに発信したいです。

 

〇広島、長崎の牧師、代表者らから(10月12日)

立野泰博(日本福音ルーテル広島教会牧師、広島市キリスト教会連盟会長)

まずもって伝えたいことは、被爆者の方が教えて下さった言葉です。
「原爆は広島・長崎に落とされたのではなく、この人類に落とされたのだ」。
それを全世界が真摯に受けとめるノーベル平和賞受賞でした。この言葉を私たち一人一人も心に刻み、平和を創造するものになってまいりましょう。
大切なことは2つ、「Never forget」と「Never again」。これも被爆者の方から教えられたことです。
平和の実現にむけて私たちも被爆者の方々と共に歩むキリスト者でありたい。

坂田ひとみ(インマヌエル長崎キリスト教会副牧師、長崎キリスト教協議会メンバー)

長い間、若者からご高齢の方々まで、長崎市民が特別な思いで反核・平和活動をされてきた。

長崎キリスト教協議会(門田純代表)としては、原爆が投下された8月9日に毎年、平和祈念礼拝を開いており、インマヌエル長崎キリスト教会としても、コンサート開催など様々な形で平和活動をしてきた。

学生たちが礼拝後すぐに駅前に立って、欠かさず署名活動をしてきた姿を見ているし、平和祈念イベントでご高齢の方々が声を上げている姿も目の当たりにし、長崎の町で折々開催される原爆写真展の活動も見てきた。

それらの活動がむなしく地に落ちることは決してありえないと思って、教会の牧師たちは祈り続けてきた。

それが今回、思いがけずノーベル平和賞受賞という形で実を結んだことに、言葉に尽くせない感動、感激を覚えた。長崎で牧会する者としては、本当に大きな出来事だった。

教会員の中には、直接日本被団協と関わりのある方はおられないが、被爆者の方は何人かおられ、天に帰られた方々もおられる。そういう方々の話を、私は何回も聞いてきた。明日の礼拝では、教会員の皆様から感動のコメントが聞けると思う。

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