トランプ氏 大統領選勝利演説で「神が自分に国を救う使命を与えた」
ドナルド・トランプ氏は選挙の夜、ウェストパームビーチで演説した。
本紙提携の米国誌「クリスチャニティ・トゥデイ」より
ドナルド・トランプ氏は選挙運動を通じて福音派の支持を集め、「暗殺者の銃弾から神が救って再び大統領になれた」と主張し、再選を果たした。
トランプ大統領は火曜日の夜、カマラ・ハリス副大統領を破り、国の大部分が右傾化する中、ペンシルベニア、ジョージア、ノースカロライナなどの主要な激戦州で民主党候補を僅差で破った。
トランプ氏はフロリダ州ウェストパームビーチで家族や選挙陣営とともにステージに上がり、午前2時半ごろに勝利演説を行った。
「多くの人が、神が私の命を救ったのには理由があると言っています」と前大統領は語った。「その理由は、私たちの国を救い、アメリカを再び偉大な国にするためでした。そして今、私たちはその使命を果たそうとしています。」
勝利がまだ明らかでなかった時にも、バージニア州アーリントン郡で行われていたある集会では、トランプ氏が勝利した州が発表されるたびに共和党員数十人が歓声をあげた。接戦となった後も、トランプ氏支持者たちは勢いが自分たちに傾いていると感じていた。
「人々はバイデン・ハリス政権の4年間を経験し、経済面での悪影響を目の当たりにしており、変化を切望している」とアーリントン共和党の信仰啓蒙活動ディレクター、ハリー・モーディンガー氏は語った。
ワシントン ・ポスト紙の出口調査によると、白人福音派有権者の81%が再びトランプ氏を支持したが、福音派と自認する有権者自体は、2020年の28%に対し、今年は22%と減少した。
生粋のカトリック教徒であるジョー・バイデン大統領が選挙戦から脱落したことで、トランプ氏はカトリック教徒の支持も獲得した。彼らはその共和党候補を、ハリス氏に2桁の差をつけて支持した。
多くの福音派の有権者は、共和党支持者全体と同様に、今回の選挙で経済と移民問題を主要課題として 挙げた。
シーダービル大学政治研究センター所長マーク・カレブ・スミス氏によると、トランプ氏の勝利は、民主党の選挙運動で重要な原動力となっていた中絶など「他の社会的、文化的要因を経済が圧倒した」ことを示している可能性があるという。
トランプ氏は火曜日夜の勝利演説の中で、観衆が「USA! USA!」と連呼する中、この選挙運動を「史上最大の政治運動」と呼び、次期副大統領のJ・D・ヴァンス氏は、この選挙運動が国の「最大の経済復活」を告げるものになるだろうと語った。
「我々はこの国を癒やすために尽力する」とトランプ氏は述べた。「今こそ分裂を乗り越えて団結するときだ」。トランプ氏は25分間の演説を「皆さんに神のご加護がありますように。そしてアメリカに神のご加護がありますように」と締めくくった。
実業家から政治家に転身したトランプ氏は、最初の任期中は一部の福音派からの懐疑的な見方に直面したが、宗教の自由を優先し、「ロー対ウェイド判決」を覆す保守派判事を任命することで、福音派の忠誠心を獲得していった。
保守系福音派の少数派は、トランプ氏の性格や口調、そして2020年の選挙結果の拒否に対する懸念から、トランプ氏の立候補を拒否し続けた。
「ネバー・トランプ」の立場の福音派の中には、第三政党や記名候補者に乗り換えた者や、ハリス支持の福音派にならって、民主党候補に同調した者もいた。
火曜日の夜、ハリス支持の福音派はソーシャルメディアに、支援者への感謝の意を投稿した。「念のため言っておきますが、私たちは消えるつもりはありません」と彼らは付け加えた。
トランプ氏の中絶に対する穏健な姿勢は熱心なプロライフ派を失望させたものの、彼は宗教的な有権者に対し、第2次トランプ政権のテーブルにプロライフ派も座ると約束した。また、彼はセブンスデー・アドベンチストの外科医で2016年の大統領選に出馬したベン・カーソン氏を、信仰啓蒙活動キャンペーンの責任者に任命した。
このキャンペーンには、保守的な宗教団体からの支援も数多くあった。ラルフ・リードの「信仰と自由連合」、「アメリカ家族協会」、「マイ・フェイス・ヴォッツ」、「全米信仰諮問委員会」などの福音派の支持者は、激戦州の有権者を動員した。トランプ氏の当選を予言した新使徒改革派の指導者、ランス・ウォールノーも、リバイバルをテーマとした政治イベントを開催した。
黒人やヒスパニック系有権者の投票率は低かったが、共和党はヒスパニック系の間で投票率が向上した。激戦州でのハリス氏のヒスパニック系有権者の支持率はバイデン氏よりも低く、経済を懸念するヒスパニック系有権者は2対1の割合でトランプ氏を支持した。ヒスパニック系キリスト教徒は2024年初めに本誌に対し、トランプ政権時代共和党は、彼らの支持獲得のためにより多くのことをしたと語った 。
トランプ氏は、暗殺未遂事件を生き延びたペンシルベニアという重要な激戦州で勝利し、彼の熱烈な支持者たちは、この危うい暗殺未遂事件を神の介入と捉え、選挙活動中のトランプ氏の保護を祈った。ヴァンス氏は「あの日、神がトランプ大統領の命を救ったと心から信じている」と語った。
トランプ氏は数週間前、銃撃現場に戻った。トランプ氏のTシャツを着たグローブシティー大学の学生2人のような、初めて投票する若者を含む何千人もの支持者の熱狂的な歓迎の中だった。(1枚のシャツには「建国の父たちも重罪犯だった」と書かれていた)
「詳細を知るのは時期尚早だが、トランプ氏は、男性、特に不満を抱えた若い男性へのアピールに成功したようだ」とスミス氏は語った。
ドナルド・トランプ氏は、第45代アメリカ合衆国大統領であり、これから第47代大統領となるため、 1800年代の民主党のグロバー・クリーブランド氏以来、連続しない任期を務める2人目の大統領となる。
開票結果はまだ未確定だが、ウェストバージニア州、オハイオ州、ネブラスカ州での票の獲得により共和党が上院を制した。民主党はこれまで51対49で多数派を占めていたが、共和党現職と新人が上位陣の好成績を収め、多数派を覆した。下院でどの政党が勝利するかは不明で、最終結果の 集計には数日かかる可能性がある。
アーリントンのモーディンガー氏はトランプ氏の勝利を祈ったが、トランプ氏が過去に「神に許しを乞う必要のある人間ではない」と発言していたことを指摘し、神が前大統領の心を変えてくださるようにとも祈った。
「何が起ころうとも、神はそれを善のために働かせる」とモーディンガー氏は語った。「彼の命を守り、第2期政権の計画を立てることは可能だと思う」
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