兵士たちと

ウクライナの船越真人宣教師から、12月25日編集部あてに寄せられたレポートを一部編集して掲載する。

 

2024年もいよいよ終わりを迎えようとしています。

今年1年間、ウクライナは筆舌に尽くし難い多くの傷を受けてきました。病院訪問で出会う兵士たち、手や足を失っている兵士たちの数が去年とは比較にならないほど増えています。私たちの教会もさまざまな試練の中を通りました。

この1年を終えるにあたって、それらの「傷」に注目することもできます。しかし、主が注いでくださった恵みに注目したいと思います。

ウクライナが傷だらけになりながらも立ち続けていること。私たちの教会が守られ、愛するみなさまのお祈りに支えられてきたこと。与えられたさまざまな出会い。それら一つ一つを考えると、本当に感謝があふれてきます。

12月19−21日、私(真人)は他教会のチャプレンたちとともに、スームィとドンバスに行きました。

スームィはウクライナとロシアの国境近くの街で、現在クルスク方面での戦闘に参加している兵士たちの多くがここに駐屯しています。その部隊の1つに物資と福音のメッセージを届ける働きができました。非常に危険な任務を受けている彼らに希望を伝えたい、切実な思いで彼らとの時間を過ごしました。

その後、ドンバス方面に移動し、ポクロフスク郊外で防衛戦に当たっている兵士たちを訪問しました。そのうちの1つの部隊には、私たちの教会に集っている家族(母と娘)のご主人がいます。その家族は、ヘルソン州のドニプロ川東岸部(現在はロシアの占領下)に住んでいた農業を営む家族でしたが、そこはロシア軍に占領され、家も農地も車もすべて奪われてしまい、帰る家がなくなってしまった状態です。今は家族がオデッサで避難生活をし、ご主人が前線で戦っています。このような家族がたくさんあります。

病院訪問では、上述したように、手や足を失った兵士たちの数が増えています。

今、私たちが話す機会の多い元兵士(50代)は、両手と両足を失い、脳にも記憶障害を負っています(ただ、それに気づかないくらい快活に振る舞っておられます)。奥さんも住み込みで世話をしています。お二人はまだ福音を受け入れていませんが、聖書に強い関心を持っています。このご夫婦(アレクセイとエレーナ)のためにお祈りください。

もうひと組の夫婦(コーリャとアリーナ)のためにもお祈りください。コーリャ(34歳)は戦場で重傷を負い、昏睡状態でキエフの病院に搬送されました。アリーナはオデッサからすぐにキエフの病院に行きましたが、医者からは「ご主人は数日以内に死にます」と宣告されました。その知らせを受けたアリーナは病院を出て、その前にある公園のベンチに座り号泣したそうです。しかし、その涙の中で天を見上げて神に奇跡を願いました。そして「諦めてしまうよりも信じることを選び取るために、湧き上がる疑念と戦った」と言います。その後、コーリャは昏睡状態から意識を取り戻すことができ、今は肢体に重い障害を負いつつも、リハビリに励んでいます。(病室でも、弱気なことを言ってしまうコーリャをアリーナが励ます姿がいつも印象的です。)アリーナは、コーリャの命を守ってくださった神が、彼に回復も与えてくださると信じて、病室に住み込みで夫を励まし、世話をしています。彼女は神の存在をはっきりと信じていますが、まだ福音を受け入れているとは言えない状態です。どうか、コーリャとアリーナがイエス・キリストにある救いをはっきりと信じ受け入れることができるようにお祈りください。

 

HOPEヘルソンも今年、用いられました。
毎月、食糧支援物資をヘルソン市のオレグ牧師のもとへ運びました。
12月6日は、ポサド・ポクロフスケとミルーナの2つの村も訪問、子どもたちへのクリスマスのプレゼントと聖書からのメッセージを届けました。

この2つの村はヘルソン郊外にありますが、2022年のヘルソン地方占領の際に徹底的に破壊された村です。ほとんどの住人たちは村を離れて避難しましたが、避難先での生活を続けることが困難となった人々は、壊れた家に戻り、今、厳しい環境の中で生活を再開しています。

その二つの村で宣教しているのがアンドレイ・アーニャ夫妻です。私たちは彼らを支援しています。12月24日にもこの教会に食料支援物資を届けることができました。

 

ミールナ村の様子。22年11月の解放から2年以上が経月が、村の大部分は今もこのような状態

この教会の祝福をお祈りください。
24日にはヘルソン市のオレグ牧師たちにも食料支援物資をお届けしました。オレグ牧師は15日の私たちオデッサ教会での礼拝で証とメッセージもしてくださいました。彼ら家族があの危険な場所で守られ用いられていることは本当に驚異的です。(24日、私たちがヘルソン市にいた約30分間の間だけでも10回以上の凄まじい砲撃音が轟きました。)引き続き、オレグ牧師家族の守りと働きの祝福をお祈りください。

HOPEニコラエフも用いられています。26日(マリフカ村)、27日(イングルカ村)、28日(ノヴァウクラインカ村)で「こどもクリスマス集会」を行います。

1月5日(日)にはクリスマス礼拝(説教は勇貴)を行います。(ここ数年、ウクライナではクリスマスが12月25日となっているため、12月25日の礼拝でもクリスマス・メッセージを語りましたが、伝統的には1月7日をクリスマスとしてきたので、1月5日にもクリスマス礼拝を行います。)

1月9日(木)、オデッサに新設された子ども病院でクリスマス・イベントをさせてもらうことになっています。この病院には激戦地でPTSDを負って現在治療を受けている子どもたちもいます。この活動が用いられるようにお祈りください。

水曜集会では、12月はダニエル2章を学んできました。歴史を支配しておられる神の主権と真実さを、感動をもって学びました。1月はダニエル3章を学びます。バビロンという異教世界に生きた三人の信者たちが、ネブカドネザル王の火の炉から救い出されたのではなく、火の炉の中で守られ、主の栄光を体験した出来事から学びます。祝福をお祈りください。

愛するみなさまの本当に尊いお祈りとご支援に心から感謝しています。本当にありがとうございます。みなさまの上に、主の守りと導きと祝福が豊かにありますように、オデッサで心から祈っています。

船越真人・美貴

関連記事

大規模攻撃の危険いまだ ウクライナ船越宣教師報告2024年11月21日

侵攻1000日目の祈り ウクライナ船越宣教師報告2024年11月19日

□―――――――――――――――――――――――――□
【お知らせ】★週刊「クリスチャン新聞」がリニューアルしました!!★

☆新たな装い 今求められる情報を伝道牧会の最前線へ
☆紙面レイアウトを刷新 文字が大きく読みやすく
☆独自取材による特集企画で教会が今直面している重要テーマを深く掘り下げる特集企画
☆教会の現場の必要に応じた新連載が続々スタート

□―――――――――――――――――――――――――□

★「クリスチャン新聞WEB版 https://クリスチャン新聞.com/csdb/」(有料)では、
1967年創刊号からの週刊「クリスチャン新聞」を閲覧、全文検索(1998年以降)できます。