阪神・淡路大震災から30年。そのメモリアルとなる祈念早朝礼拝が1月17日5時15分から兵庫県西宮市の夙川聖書教会で、ゲストに森祐理さんを迎えて行われた。同教会主管牧師の秦賢司氏=写真=に思いを聞いた。

―夙川聖書教会は「十日えびす」で知られる西宮神社の近く、因習の強い地域にあります。私たちの教会では、震災前から「ジェリコ祈祷」をたびたび行い、町内を回りながら「主よ、この霊的な壁を打ち破ってください」との祈りを続けてきました。
震災の直後、ようやくの思いで外へ出て、近所の様子を見て回った時、自分の視点が高くなったように思いました。道の両側のブロック塀が崩れ落ちた上を歩いていたのです。私たちは「壁を打ち破ってください」と祈っていましたが、そもそもそのような形で崩されることを祈っていたわけではありません。しかし、その状況を見て私は神からの霊的な促しを感じました。もっと個別に伝道する必要をです。
教会のある阪神間地区(西宮、芦屋、宝塚、尼崎、三田、伊丹、川西の各市と猪名川町等)は全体を合計すると、神戸市と同じぐらいの人口があります。しかし、震災直後の全国ニュースでは阪神間地区の認識度のなさを感じ、取り残されている気がしました。さらに2か月後に東京で地下鉄サリン事件が起きると、人々の関心は一気にそちらへ移っていきました。
何とかしたいと、近隣の約50教会と協力し「We Love 阪神!大震災復興ミニストリー」を立ち上げ、さまざまな取り組みを進め、私も10年間関わりました。
思い返すと、日常生活がある程度、元のレベルに戻ったと感じられるまで、7~8年はかかったように思います。現在、コロナ禍が始まってほぼ5年が経過したところですから、いろんなことが落ち着くのに、あと2~3年はかかるのではないでしょうか。
昨今も震災の爪痕残る跡地を各地に見て、あの震災の強烈さを思い起こします。しかし、真の復興は「信仰による霊的復興」であることを信じています。私たちは「震災の語り部」として自分たちの体験を次世代に伝えるとともに、聖書的な信仰に堅く立った信徒を「主の弟子」として育てることが責務であり、あの日感じた主からの霊的なチャレンジへの応答だと強く思わされています。
礼拝、祈祷会、研修会を最大限に活用して、自分たちの教会に合った主の弟子を、震災以後に執筆に導かれた教材で育てる取り組みを続けてきた結果、教会を担える教会員が着実に育ってきています。私の3人の子どもたちも、副牧師として教会の働きに取り組んでくれています。
弟子作りとは孫弟子を育てることだとわかりました。私たちは「御霊の実」を結ぶとともに、「救霊の実」を結ぶことも大いに求められているのです。―



1月17日の祈念早朝礼拝で

2025年02月02日号 02面掲載記事)