第四回ローザンヌ世界宣教会議(以下L4、昨年9月開催)参加者に聞く。今回は宣教団体アジアンアクセス・ジャパン(A2J)全国大会(1月26日合併号で一部既報)初日(2024年11月25日)の内容から。L4を日本宣教に生かす趣旨で、篠原基章さん(東京基督教大学学長、日本ローザンヌ委員)の講演や全体討論があった。2回に分けて紹介。

前回
和解の希望/聖書翻訳急務 ローザンヌ世界宣教会議からの共同の旅⑧

 

篠原さんは「L4のテーマ『教会はともにキリストを伝え示そう』だが、特に『ともに』に力が入っていた。先の見えない時代に、キリストを共にどう示すかを学んだ。また1974年以来50年のローザンヌ運動の歴史の延長線上にL4があることも確認した。ローザンヌ運動は会議、組織である以上に運動。世界宣教を考えるシンクタンクであり、協力プラットフォームだ。L4も会議で〝終わり〟ではなく、2050年に向け大宣教命令を推進する協働を〝始める〟のだと捉えれていた」と述べた。

L4のためにまとめられた「大宣教命令の現状報告」からは、西欧から非西欧へと人口比重が移っていること、世界人口におけるキリスト教人口比は100年以上3割を保つが拡大していないことなどをグラフで示した。

会議のハイライトとして、①多中心、②弟子化、③99%、④テクノロジー、⑤セクシャリティーを挙げた。

①について。「世界宣教は『西欧から非西欧へ』という構図から、『すべての人からすべての場所へ』という方向に変化した。19世紀から20世紀にかけて西欧が中心的役割を果たしたが、そもそもキリスト教は特定の国、文化、または民族に依存する宗教ではない。L4では、自分たちの組織だけでなく、お互いが必要だとして、協働が強調された」と語った。

②について。「世界中のリーダーが考える最大の宣教課題は弟子化だった。ローザンヌ運動をけん引した神学者ジョン・ストットは、かつて『教会は成長しているが、深みがない』と指摘した。弟子化がともなっていないということだ」

③について。教職以外の信徒が99%いる。その人たちが、職場で証しできれば、1%の教職だけが伝道するよりも広がる。

④について。「テクノロジーは、神様からの賜物でもあるが、バベルの塔のように呪いにもなる。テクノロジーは新たな社会的責任として位置づけられた」

⑤について。「同性愛指向の登壇者も立ち、1960年代以来の性革命の混乱を指摘。今回の会議で宣布された『ソウル宣言』では、性別の自己決定や同性婚を認めようとする試みに対して深い悲しみを表明する一方、当事者に対して愛が不十分だったと悔い改めを告白した」

全体を総括して、「もっとも大きな課題は、、、、、

2025年02月09・16日号 11面掲載記事)