第四回ローザンヌ世界宣教会議(昨年、9月)から今回は2人のレポート。

前回
先端分野の共通理解必要 ローザンヌ世界宣教会議からの共同の旅⑪

 

〇塚本良樹(キリスト者学生会[KGK]副総主事)

世界中から集まった様々な見た目、文化のクリスチャンが共に賛美し、交わりをもつ姿は本当に美しいもので感動した。韓国語、スペイン語、フランス語で賛美をするときには特に感動した。ただ、もっと多くの言語で賛美したかった。

ホテルが遠かったことから、毎朝毎晩、一時間弱、バスのなかで、じっくり一対一で交わりをもち、その方のミニストリーについて聞くことができたことは本当に幸いだった。

ワークプレイスミニストリー(職場における宣教)が全体プログラムの一コマのテーマとなり、使徒の働き全体から、仕事と伝道は一つであること、クリスチャン全員がフルタイムの宣教師であること、教会に二級市民などいないことなどが分かりやすく、また力強く語られたこと。KGKの卒業生会の働きに適用していきたい。

Z世代についての講演も興味深かった。インターネットの急激な発達で、Z世代と呼ばれる世代は国や地域を超えてかなり共通の課題を抱えているそうで、だからこそ世界の教会が最も助け合えるテーマである。

迫害のストーリーは心燃える。英語のリソースが多いので、それをもっと日本語にできたら、と思わされた。

本会議で最初に受けた印象は「お金をかけすぎである」。ローザンヌの精神Simp
licity(質素)はどこにいったのか? と思った。大規模な大会である以上、お金がかかるのは当然だが、ここまで豪華な演出でなくても良かったのではないか。

世界のキリスト教会がLGBTQとイスラエル・ロシアへの態度の問題で分断していることが見えたことも悲しかった。6日目夜「和解」のテーマで、イスラエル国籍をもつパレスチナ人の女性が、非常に注意深く言葉を選びながら、素晴らしい内容を語っておられたが、和解は人格的働きであるのだと感じた。

§   §

〇岡谷和作(英国ダラム大学神学・宗教部博士課程在学中)

※以下はウェブマガジン「Church Leaders」への寄稿(churchleaders.com/voices/exchange/497826-lausanne-and-the-voice-of-the-flies.html)から翻訳要約。

「汚物ばかり見て、そこに留まる『ハエ』になるのではなく、美しさを見つめる『ミツバチ』になろう」世界ローザンヌ運動総裁のマイケル・オーの閉会の言葉だった。

5千人もの世界の福音派指導者が共に礼拝し、宣教について語り合う。それだけでも大きな成果だ。私はローザンヌ運動の、伝道と社会活動を忠実に統合しようとする情熱に長年養われてきた。よって、ローザンヌ運動自体を批判する意図はない。しかし、本会議は様々な課題を露呈した大会でもあった。実際、舞台裏では、非西洋諸国の多くの指導者が連日懸念や怒りを表明していた。だからこそ、オー氏の最後の言葉には、「私たちはハエなのか?」という疑問を抱かずにはいられなかった。以下に非西洋諸国の視点から表明されていた懸念点を短く六つまとめる。

①市場の原理と技術革新

本会議の進歩の一つは非教職者に焦点を当てた点にある。クリスチャン実業家や技術革新がもたらす宣教の可能性が多数紹介された。しかし経済的豊さやITは簡単に偶像化され、支配の原動力ともなる。ビジネスと技術のポジティブな面だけが取り上げられ、消費主義が多くのクリスチャンの精神を形成し、宣教の方法論がこの世の市場の原理と絡み合っている側面については、ほとんど触れられなかったことは残念だった。(つづく)

2025年03月09日号 07面掲載記事)