【地域特集】神奈川 砂浜は〝壁のない教会〟「Wave of Grace」

藤沢市の鵠沼(くげぬま)海岸で、「Wave of Grace」という働きが続けられている。始めたのは矢部昭仁さん(アッセンブリーズ・麻生キリスト教会牧師)。サポート役の山口武春さん(ニューホープ横浜牧師)とコンビを組む。
矢部さんは2020年、藤沢オリーブチャペルに伝道師として赴任。この頃サーフィンを始め、毎日のように海に行くなか、「どうせ毎日いるなら、ここで伝道すればいいのでは。ここが自分のフィールドだ」と思わされていた。全世界に出て行け、と命じられながら、牧師が教会の中だけにいてはいけない、という思いもあった。
ある時、山口さん含む牧師仲間とともに、ある先輩牧師に呼び出され、「若手なんだからビジョンを語れ」と発破を掛けられた。資金もないのに勢いで、サーフィン伝道の開始を宣言。山口さんがミニストリー支援団体を紹介してくれ、22年4月21日にWave of Graceは始まった。日付まで鮮明に覚えている矢部さん。麻生キリスト教会(川崎市)の主任担任牧師となった今も、鵠沼へ通う。
活動時間は毎週月曜と金曜の10~16時頃。特にプログラムはない。水やコーヒーを配り、ビーチクリーン(清掃)をして、ギターを弾く人が来れば賛美を歌う。一日にのべ20~30人が出入りする。長時間滞在して手伝うメンバーもいるという。
矢部さんは心持ちをこう語る。「自分一人でもやる、という気持ちでいるけど、一人でやった日はない。いつも助け人が来た。やめようかな、と思うと人が救われたり、いろんな奇跡があった。『もうちょっとやれよ』という神様のサインだと思う」
集まるのはサーファーに限らない。近隣住民などビーチに関わる様々な人が、このコミュニティーを気に入り、交わりを持っている。地域の子どもが学校からビーチに直接帰ってくるのを迎え、矢部さんが家に送ることもある。子どもをビーチで一日預かり、夕方に仕事を終えた母親が迎えに来ることもあった。この母親は後に受洗した。
建物がない分、出入りが楽で、行きたい時に行き、帰りたい時に帰れる。でもやはり「イエス・キリスト中心の集まりで、一人ひとりが各器官となって、立て上げられている」と矢部さんは語る。
この日の受洗者3人は、今も中心メンバー
Wave of Graceのコンセプトは、「クリスチャンでない人たちに、キリスト教にできるだけ近くで触れてもらう」。そして、「壁のないところで、クリスチャンが最前線に立っている」。この狙いを矢部さんは、、、、、
海での洗礼式。左が山口さん、右が矢部さん
(2025年05月11・18日号 04面掲載記事)