【地域特集】神奈川 子ども、高齢者、障がい者が一緒に 横須賀基督教社会館

横須賀市北部の田浦町。海と丘陵に囲まれたこのエリアに、戦後の地域福祉を先導してきた横須賀基督教社会館(岸川洋治理事長)がある。本館に近づくと、走り回る子どもたちの声が聞こえた。認定こども園善隣園の子たちだ。
三階建ての本館は、各階それぞれに、子ども家庭福祉、障害福祉、高齢者福祉にかかわる施設があり、多様な人々が行き交う。花飾りや、鯉のぼり、イラスト、似顔絵、などで彩られる。高齢の利用者が制作したものも多い。取材日の平日午後は、体操する高齢者、終礼に集まる障害者、学童、保護者、職員…など、様々な人々の声が響いていた。「元館長阿部志郎の『子どもも、高齢者も、障害者も一緒の場所で』という思想が現れている」と岸川理事長は話す。
戦後、米国海軍横須賀基地司令官ベントン・W・デッカーの文化福祉政策によって、横須賀市内には、キリスト教精神を土台とした病院、学校とともに、横須賀基督教社会館が設立された。初代館長には、戦前に日本で活動した経験がある宣教師エベレット・トムソンが就任。「初期は乳幼児健康診断、ミルク配布、図書館、英語学校、結核検診など、とにかくニーズに応えて活動していた」という。住民の要望で始まった聖書研究会から、日本基督教団田浦教会が生まれた。
1957年に日本人館長として阿部志郎さんが就任(~2007年)。岸川さんは、「以降、同館には、三つの時期があった」と整理する。「1957~68年は、専門福祉施設の役割を深めた。68~94年は、地域福祉への転換。本館を建て替え、地域の人々も主体的に協力して、バザー企画など地域活動が広がった。95年に再び本館を建て替え、多数の施設を展開し、現在の複合施設となった。『毎日社会福祉顕彰』の副賞(73年)をもとに基金を開設し、現在は団体の枠をこえて支援する『田浦地域福祉基金』となっている。バザーも地域の団体との共催で毎年継続している」と話す、、、、
利用者が制作した飾りは、目にも鮮やか